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オヤジホビー-ワタシが好きな物はみんなも好き、かもしれない- 第238回

パトカーの故障が思ったより深刻な事態でした

2020年08月02日 17時00分更新

文● にゃかむら(@TK6506) 編集● ASCII

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走行中にエンジンが不調に

 前回に引き続き、絶不調になってしまったCHPパトカー仕様のクラウンビクトリアの顛末です(前回:「カオスだもんね!」取材前にCHPパトカーに起こった悲劇)。

 週アスの「カオスだもんね!PLUS」でクラウンビクトリアの取材を受けることになったため、待ち合わせ場所であるお台場まで首都高を走っていたワタシ。ふと気づくとエンジン警告灯であるCHECK ENGINEランプが点滅していて、その後は点灯状態になってしまいました。

首都高を走行中にエンジン警告灯が点滅&点灯。結構ビビります

 アクセルを踏み込むとエンジンがガクガクすることから、いくつかのシリンダーがちゃんと爆発していない失火だろうと推測。いつもハンヴィーのメンテでお世話になっているスカイオートに電話してみたところ、特に症状がなくてエンジン警告灯が点灯するならマフラーのO2センサーの故障かもしれないけど、この感じからするとやはり失火が疑わしいとのことでした。

 失火の場合、すぐにエンジンが止まってしまうようなことはないので、取材後に自走でスカイオートに駆け込みました。いや、スルリと滑り込みました。失火に急加速急減速はご法度です。なるべく静かに走らなくては。

ただの失火じゃなかった診断結果

 到着して最初にやったのは診断機にかけること。このクルマにはOBD (On Board Diagnostics)という自己診断機能が搭載されていて、車載コンピューターに診断機をつなぐことで不具合の内容がわかるようになっています。運転席にあるコネクターに端末を接続してチェックすると、出てきた結果は【失火】。さすが診断機様! あっという間に解決です。

車載コンピューターに診断機を接続。どこに何のエラーが出ているのか、すぐにわかります

 ……と思ったんですが、甘かったようです。

 なんかね、ショップの人たちが首をひねってるんですよ。うーんって。診断機に表示された所を点検・修理すればいいんじゃないの? と思ったんですけど、見せてもらったパネルに表示されているのは【不特定のシリンダで失火を検出】の文字。

 不特定! エンジンに8つあるシリンダーのうち、どこかのシリンダーで失火しているけど、それがどこだかはわからないということです。

不特定のシリンダーで失火が見つかりました。全体的にヤバいということのようです

 これがたとえば5番シリンダーで失火であれば、5番のプラグや燃料系などをチェックすればいいんですけどね。不特定となると話は違ってきます。

 これはつまり、あっちのシリンダーがダメなこともあれば、こっちのシリンダーがダメなこともあるということで、同時に複数のシリンダーが失火しているのかもしれないし、大半のシリンダーで失火が発生しているのかもしれません。これは思ったより重症なのかも……。

大切なのは混合気と圧縮、点火

 失火という言葉からすると、点火プラグの火花がちゃんと飛んでいないという気がしますが、実際は違います。失火=正常に爆発していないということなので、原因となるのは点火装置そのものとは限りません。

 物が燃えるには、燃料と空気、火が必要です。ガスコンロでいくらカチカチと火花が飛んでも、ガスがタイミングよく出ないと火がつかないし、空気が遮断されてもガスが切れても火は消えてしまいます。それと同じような感じです。

 ガソリンエンジンが調子良く動くのに必要な要素というのがあって、それは良い混合気、良い圧縮、良い点火の3つ。混合気は燃料と空気が混ざったもので、点火はそのまま火ですから、ただ燃えるのに比べると良い圧縮が追加されていることがわかります。燃料が正しく供給され、燃料と空気の比率が理想的で、きちんと圧縮と点火がなされていること。それが条件になります。

 この中でまずアヤしいとにらんだのが空気です。もう20年以上前のクルマで、いつエアのホース類を交換したかもわからないので、ホースに穴があったりつぎ目に隙間があったりして、そこから余計な空気を吸い込んでしまっているのではないかと。

 空気の流入量を計測するエアフロメーターというセンサーがあるんですけど、別の場所から空気を吸い込んでしまうと、センサーが検知した空気量よりも多くの空気がエンジンに入ることになってしまいます。センサー側の故障もありえますが、いずれにしても空気をどのくらい吸い込んでいるかという情報に誤りがあると、エンジンが不調になることは確かです。

 ただ、その場合は主にアイドリングも不安定になることが多く、今回の症状とはちょっと違います。とはいえ原因を探る時は一つずつつぶしていくしかないし、エアホースの不具合は外から見て発見しやすいので、まずはエアからチェックしていくことになりました。

エンジンカバーを外すにも一苦労

 最近のクルマは防音などのためエンジンがカバーで覆われていることが多く、このクラウンビクトリアもカバーが付いています。

エンジンはカバーで覆われていてホース類がほとんど見えないため、カバーを外します

 で、このカバーを外すんですけど、ここでまたちょっと面倒なことが発生しました。カバーの固定ボルトが変わったカタチをしていたのです。

エンジンカバーは四角穴付ボルトで固定されていました

 ボルトの頭に四角い穴が開いていて、工具を差し込むようになっていたんですよね。六角穴はよく見ますが、四角っていうのがあるとは。木材用ネジには結構あるみたいですけど、こういう固定用のボルトでも使われるものなんですね。ショップにも合う工具がなかったようで、何とか回せる工具を使って外したみたいです。

カバーを外すとエンジンと補機類が顔を出します。スッキリしていたエンジン周りが急にゴチャついた感じに

 カバーを外すとエアのホースや配線、ワイヤーなどがたくさん出てきます。これでようやくいろいろとチェックができる状態になりました。

エアには異常なし

 作業を見ていたら、エアのホースや継ぎ目に手をかざしながらアクセルをオンオフしたり補機類をゆすってみたりしていましたが、ホースが劣化しかけているところはあったものの、特に空気を吸い込んでいるようなことはなかったようです。このエンジン特有のダメになりやすいホースがあるそうなんですが、そこも特に問題なしでした。

エアを吸っていそうなところを順次チェックしていましたが、特に問題なし

 空気がオーケーならあとは燃料と圧縮、そして点火です。

 一番マシなのは、点火プラグにつながっているプラグコードが緩んだり劣化したりしているだけっていう場合です。が、クラウンビクトリアはダイレクトイグニッションというプラグコードがない点火装置を使っているため、それはありません。また、点火プラグ自体が壊れている場合、該当のシリンダーだけが失火するので診断機でそう表示されるはずです。これらのことから、点火系そのもののエラーは考えにくい感じです。

 最悪なのは、ピストンリングが割れていたりバルブが損傷していて圧縮が正常にできていないというパターン。これは考えたくもありません。エンジンをバラさなくてならなくなります。

 燃料系の故障も結構厄介かもしれませんが、燃料系もそのものが壊れている可能性は低いだろうとのことでした。となると何ですかね。やっぱり圧縮なんでしょうか。

 いずれにしても、ここから先はバラして戻しての繰り返しになるためすぐに原因がわかりそうにはありません。仕方ないのでこの日は預けることにして、寂しく電車で帰りました。2時間近くもかけて。

 次回にショボーンと続きます。

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