Webサイト管理者のための2020年版“IPv6対応入門”第3回
IPv6ネットワークへの接続からIPv6アドレス設定、DNS登録など、知っておくべきこと
Webサーバーの設定を変更して「IPv6対応サイト」にする【前編】
前回記事ではIPv6アドレスの特徴を、IPv4アドレスと比較しながら説明した。今回は、そのIPv6アドレスを使ってホストがネットワーク通信するために必要な設定を見ていきたい。
なおネットワークの「ホスト」という用語は通常、PCやスマートデバイス、サーバーなど、ネットワークに接続して通信を行うエンドポイント(端末)全般を指すものだ。ただし、本連載ではWebサイト管理者を主な読者対象としているため、本稿ではサーバーがIPv6対応するために必要な設定を中心にまとめる。
また前回と同様、今回も「IPv4と同じ部分/違う部分」という切り口でなるべくわかりやすく説明していきたい。
IPv6ネットワークで通信するために必要なホストの基本設定
まずはホストがIPv6ネットワークに接続し、他のホストと通信するために必要な基本設定からだ。必須となる設定項目はIPv4ネットワークと同じ、下記の3つである。
(1)ホスト自身を示すユニークなIPv6アドレス
(2)キャッシュDNSサーバーのIPv6アドレス
(3)同一リンク内にあるルーターのIPv6アドレス
IPv4環境でホストのネットワーク設定をしたことがあれば、それぞれの役割もわかると思うが、簡単に説明しておこう。
(1)は、パケットの送信元/宛先を表すのに使われるホスト自身の“住所”だ。当然、他のホストが使うIPv6アドレスと重複しないユニークな(一意の)アドレスでなければならない。前回述べたとおり、IPv6ではホスト(インタフェース)の初期化時にリンクローカルアドレスが自動設定されるが、サブネット外のホストと通信する場合には別途、グローバルIPv6アドレスも必要となる。
(2)は、ホストが名前解決(DNSクエリ)に使うキャッシュDNSサーバーのアドレスである。設定しなければ通信相手のホスト名(FQDN)からIPv6アドレスを検索することができないので、この設定も必須だ(なおドメイン管理者やWebサイト管理者が公開する「権威DNSサーバー」とは別である。権威DNSサーバーの設定は後述する)。
(3)は「デフォルトルート」や「デフォルトゲートウェイ」とも呼ばれる、ホストのリンクローカル(同じサブネット内)にあるルーターのアドレスである。これを設定しなければ、他のネットワークにあるホストと通信できない。
IPv6では、上記(1)~(3)のそれぞれを手作業で設定する方法だけでなく、自動設定する方法も用意されている。ただし、この自動設定にはIPv4とは異なる方法/技術も使われる。もう少し詳しく見ておこう。