このページの本文へ

ポイントを速習!「Azureの基礎(AZ900)」をみんなで学ぶ 第4回

Azureのインフラを理解して、構築したアプリのSLA(稼働率)を計算してみる

Azureのインフラ構成とサービス可用性を高める仕組み

2020年07月06日 08時00分更新

文● 横田力哉/FIXER 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

可用性セット/可用性ゾーン/リージョンペア

 インフラのレベルでこの冗長化を実現するための仕組みとして、Azureでは「可用性セット(Availability Sets)」「可用性ゾーン(Availability Zones)」「リージョンペア(Region Pairs)」が用意されています。ここからは、この3つの仕組みについて説明していきます。

可用性セット/可用性ゾーン/リージョンペア(マイクロソフトサイトより引用

 まずは可用性セットです。データセンターには大量のサーバーラックが配置されていますが、可用性セットでは、違うラックにあるサーバーにシステムを複製することで冗長化を行います。こうすることで、あるラックに据え付けられた物理サーバー/電源装置/ネットワークスイッチにハードウェア障害が起きても、別ラックに複製されたシステムが稼働し続けます。また、物理サーバーや仮想化環境のメンテナンス(ソフトウェアアップデートなど)が必要な場合も、1つずつ順に実行していけばシステムそのものはダウンタイムなしで済みます。

 続いて可用性ゾーン(AZ:Availability Zones)です。可用性ゾーンは、リージョン内にあるデータセンターを独立した3つ以上のゾーン(区域)に分け、それぞれのゾーンに同じシステムを複製配置して冗長化します。可用性ゾーンを適用することにより、火災などであるデータセンターが丸ごとダウンするような障害が起きても、システムはダウンすることなく稼働し続けることができます。

 最後がリージョンペアです。リージョンペアは、約500km離れている別のリージョンにシステムを複製することで冗長化を行います。地理的に距離の離れたデータセンターに複製しておくことで、大規模な自然災害や停電、暴動など、あるリージョンに含まれるデータセンター全体に影響がおよぶような障害にも対応することができます。

 リージョンペアの例としては、日本の東日本/西日本リージョンをはじめ、米国東部/西部リージョン、東南アジア(シンガポール)/東アジア(香港)リージョンといった組み合わせがあります。

 可用性セット、可用性ゾーン、リージョンペアは、利用するサービスや指定するリージョンによって利用できるか否かが左右されます。たとえば仮想マシン(Azure VM)を東日本リージョンで作成する場合、可用性オプションとしては可用性セット、可用性ゾーンが利用できます(あくまでもオプションなので、利用しないことも可能です)。

 また、Azureストレージ アカウントを作成する場合は、「ローカル冗長ストレージ(LRS、≒可用性セット)」「ゾーン冗長ストレージ(ZRS、≒可用性ゾーン)「地理冗長ストレージ(GRS、≒リージョンペア)」という3種類の冗長化オプションが利用できます。東日本リージョンを使う場合はLRS、ZRS、GRSの3つとも利用できますが、各リージョンで利用できる冗長化オプションは異なるため、インフラを構築する際には事前確認が必要になります。

カテゴリートップへ

この連載の記事