早起きしてクラウド時代の学習の重要性とClinet VPNの使いどころを学ぶ
ラジオ体操から始まるJAWS-UG朝会のリブートに参加してみた
2020年06月29日 07時30分更新
コロナウイルスの影響で圧倒的に増えたオンライン勉強会だが、夜だと参加できないというユーザーも多い。なにをかくそう私もこの一人。そんな私の声が届いたのか、ラジオ体操から始めるJAWS-UG朝会のリブートだ。2020年6月23日に開催されたJAWS-UG朝会の模様をレポートしていきたい。
JAWS DAYS以降、遠のいていたJAWS-UGに戻ってきた
3月開催予定だったJAWS DAYS 2020のオンライン化は、自分にとってはかなりショックだった。緊急事態宣言以降は一も二もなくオンライン化されたイベントだが、2月中旬は多くのイベント主催者が迷っていた時期。中止か延期か、リアルかオンラインか、正直どの選択でもリスクはあり、JAWS DAYSに関しても、運営側の迷いは外からでも垣間見えた。そして、3月のオンライン開催という決断になった。
主催者側の決断は尊重するし、決断は今から考えても間違っていないと思う。だから、これから書くのは個人の感情の問題であり、運営側の責任はみじんもないのだが、オンライン開催になった段階でなんだかぷっつりと糸が切れてしまった。会場に雑多に人が集まって、見知らぬ人同士がクラウドだけでワイワイ盛り上がれるJAWS DAYSのあの「三密」を自分はこよなく愛していたのだろう。結局、JAWS DAYS 2020は取材せず、数多く開催されていたオンライン勉強会もなんとなく行けなくなっていた。
なにより、オンライン化されたことで、夜の勉強会はかえって参加できなくなった。コロナ以前はかみさんに夕食をお願いして、イベントに参加していたのだが、緊急事態宣言中は在宅の私が家事をかなり担当していた。そのため、多くのコミュニティでイベントが始まる19時は、子供たちと夕食をとっている時間にあたっており、オンラインでもイベント参加は難しくなっていた。実際、自分専用の仕事部屋があるわけでもないので、たとえ家事をかみさんにおねがいしても、家でオンラインイベントに参加するのは難しかっただろう。
そんな愚痴をFacebookに書いたら、「朝会リブートしますかね」と応えてくれたのが、JAWS-UG運営の波田野裕一さんと三浦一樹さんだった。すぐに仲間といっしょに今回の朝会が立ち上がり、ロゴまでできて、なんと100人以上が登録しているではないか。JAWS DAYS以降、なんとなく敬遠していたオンラインの勉強会だったが、一も二もなく参加することに決めたのであった。
世界で2番目に朝が来る東京リージョンでは早起きがお得!
朝会のスタートは7時30分。さすがに早い(笑)。子供にあわせて、いつも7時前に起きているのだが、朝食まで終わらせるのはけっこう忙しい。それでもなんとか食事を終え、マシンに向かって、Connpassから来たアドレスでAmazon Chimeを開くと、東京の波田野さんのほか、札幌の三浦さん、小倉大さんがスタンバっていた。「エンジニア=朝遅い」というイメージがあるが、Amazon Chimeのオープンとともに「おはようございまーす」とどんどん参加者がエントリしてくる。
朝会と言えば、やはりラジオ体操。数十年ぶりという三浦さんに合わせて、みんなでラジオ体操で汗をかく。出勤前のかみさんにあおられ、実際に音楽にあわせて体を動かしたのだが、これが実に爽快。これだけでも朝会に出た価値があったと感じた。
続いて登壇したのは「早起き、学習、AWS」というタイトルで登壇したのは、JAWS-UGの勉強会主催回数235回を数える波田野裕一さんだ。
もともとJAWS-UG朝会は2016年に立ち上がったもので、目黒のAWSジャパンオフィスで開催されていた。AWSのリージョンのうち最初に朝が来るリージョンは日付変更線に近いオーストラリアのシドニーだが、東京も僅差で2位となる。新機能のリリースもUTC18~23時頃にリリースされるため、世界で2番目に新機能・新サービスを使える可能性が高く、「やはり早起きはお得」(波田野さん)だ。実際、世界で一番早いAmazon S3の10周年パーティもJAWS-UG朝会で行なわれたという。
しばらく開催が滞っていた朝会だが、前述の経緯で通算10回目が今回オンライン版としてリブートすることになった。運営チームの橋本さんがロゴまで作成してくれたという。
クラウド時代における学習の重要性とは?
続いて波田野さんは2017年に発表したクラウド人材育成セミナーでの講演内容をリバイスし、クラウド時代における学習の重要性を説いた。
オンプレ時代、エンジニアの仕事はIT資産を増やすことが花形だったが、クラウド時代はビジネスの売上原価としてITを使う仕事がむしろ主流になっている。「JAWS-UGは道具として思い入れを持っている人は少なくて、その道具をどのようにビジネスに使うかを話す人が圧倒的に多い」と波田野さんは語る。また、学習に関しても、オンプレ時代はハードウェアがある現場で学ぶ必要があったが、クラウド時代はいつでも、どこでも学べる環境になっている。
エンジニアの専門性もコンテナを筆頭に「作り込み」より、「使い捨て」となり、手段より目的が重要になっている。そして、オンプレ時代に重視されていた確実性より、いまは圧倒的にスピードや迅速性が求められ、エンジニアの立ち位置が大きく変わっているという。誰でも使える同じ基盤で、残酷ながらスキルも客観化される。「極端な話、設定ファイルのJSONを書かせれば、その人のスキルが一発でわかってしまう。高校生も、ベテランも、技術的に同じ土俵で戦える時代になった」と波田野さんは指摘する。
その中で周りのスーパーエンジニアはなにをしているかというと、とにかく実際に触ってみるのが早いという。その上で、小さな失敗を繰り返し、自らの血肉にし、他人が到達していないところに到達していうのが大きい。「死なない程度にツライ目に遭うのが重要」(波田野さん)。
また、「思考を柔軟に持つ」ことも重要で、観念や思い込みにとらわれないすべきだという。「特にVPCは親しみやすけど、クラウドならでは違いがあったりするので、思い込みによるトラブルも多い。クラウドとオンプレミスで似たような概念があるけど、きちんと学び直す必要がある」と波田野さんは語る。