『VIVEPORTインフィニティ』VRアプリレビュー 第5回
ちょっと違う“Apex”はいかが? 奥深い物語展開が魅力のVR SFアドベンチャー「Apex Construct」
2020年06月30日 23時00分更新
HTCが提供している「VIVEPORTインフィニティ」は、定額料金でVRコンテンツが遊び放題になるVRサブスクリプションサービスだ。月額1500円、年額プランだと、1か月あたり1000円で利用できる。
そんなVIVEPORTインフィニティのVRコンテンツを紹介する本連載、第5回となる今回は、VRアドベンチャーゲーム「Apex Construct」を紹介する。崩壊した世界に降り立った主人公(プレイヤー)は、弓矢を武器に、機械生命体を退けながら世界の謎を紐解く――というSFアドベンチャー作品だ。
機械生命体というワードからも連想できるように、本作は未来世界が舞台。“大変革”という出来事によって、文字通りバラバラに崩壊し、いびつに融合してしまった世界に降り立った「人類最後の生き残り」である主人公は、AI「ファーザー」の導きに従い、各地を冒険することになる。
崩壊世界には「マザー」と呼ばれるもう1体のAIが存在し、彼女が主人公に襲い掛かる機械生命体を送り込んでくるとされている。ただ、各地で発見できる痕跡やデータからは、主人公以前にも「ファーザー」と行動した人間が存在することや、「ファーザー」自体も一筋縄でいかないことが示唆されており、プレイヤーの心に各方面への疑念が渦巻くストーリー構成になっている。
このようにストーリーも作りこまれている「Apex Construct」だが、ありがたいことに、会話からファイル類に至るまで日本語化済み。翻訳の質も洋ゲーとしては良い方で、改行がおかしい箇所などは散見されたものの、筆者がプレイした限りでは致命的な誤訳は確認できなかった。
さて、そんな魅力的な世界観を展開する本作であるが、ゲーム中は機械生命体などとの戦闘も入る。そして本作の戦闘をユニークなものとしているのが、武器が弓矢というところだ。
弓矢はゲーム冒頭で拾うことになるのだが、弓を持つ手のハンドコントローラーのトリガーを引くことで、シールド展開までできる優れもの。この盾で相手の攻撃を防ぎつつ、矢で攻撃するのが基本的な戦闘の流れだ。弓を持つ手は利き手に合わせて変更できる。
矢は、無限に使用できる「通常弾」と、「電撃弾」など有限の特殊弾が存在する。多くのVRゲームで標準装備の銃とは異なり、構えたあとに自分で弦を引かないと撃てないという仕様だが、逆にこの“不自由感”こそが戦闘を面白くしていると評しても過言ではないだろう。狙った場所に矢を連続でヒットできた際などは、まさに“名アーチャー”の気分だ。
機械生命体を倒すとドロップするRPと呼ばれる経験値は、冒険の拠点になる隠れ家で使用することで、矢やシールドを強化できる。ただし、RPはステージをクリアする前に死亡するとロストする。なのでしっかりアップグレードしていきたいプレイヤーは、体力管理にも気を付ける必要がある。体力はオート回復ではなく、アイテムを使用して回復する形だ。
なお、ジャンルはアドベンチャーゲームなので、どちらかといえばバトルよりも探索に比重が置かれている。ちなみに難易度は「イージー」「ノーマル」「ハード」の3種類が用意されているので、プレイの際は自分の力量に合わせた難しさをチョイスしてほしい。
ただ「Apex Construct」にも、いくつか“粗”と呼べるような部分が存在する。特に気になったのが、手動セーブが実装されていないことだ。
いわゆるチェックポイントは存在しており、戦闘中に死亡した場合は直前の場面から再スタートできるが、これはゲームの終了時には機能しない。セーブは隠れ家に戻らないと行なわれないため、ステージ途中で終了すると、また最初からすべてをやり直さなければならないのだ。
各ステージには、メイン目標のほかにシークレットなど探索要素も多く存在するが、上記の通りステージ途中で気軽に終了できないので、VR酔いに見舞われるとなかなか大変な思いをする。酔いやすいプレイヤーなどは注意したい。
このように完全無欠ではないものの、「Apex Construct」はしっかりと作りこまれた、上質なアドベンチャーゲームと言えるだろう。謎解きの難易度も程よく、探索に良い緩急を作っていると感じた。グラフィックの質感も上々だ。
なお、筆者の環境では、VIVEPORT側からゲームを起動した際、なぜかハンドコントローラーが認識されなくなるという不具合が生じた。この場合SteamVRから起動することで問題が解消されたので、同じ症状に見舞われた人は、一度試してみてほしい。
「Apex Construct」の価格はVIVEPORTでは2241円。VIVEPORTインフィニティに登録すれば、定額で本作を含めたVRコンテンツが遊び放題になる。詳細はこちらから。
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