人気のデュアル水冷シリーズに第10世代Core最強モデルが登場!
10コア/20スレッドのCore i9-10900Kでも360mmラジエーターでガッツリ冷やす「G-Master Hydro Z490 Extreme」
2020年06月25日 11時00分更新
注目ポイントは、なんといっても水冷クーラー。360mmのラジエーターはフロント部に装着され、吸気を兼ねている。通常、ラジエーターは熱を外部に逃がすために排気を兼ねていることが多いが、これだとケース内のぬるい空気でラジエーターを冷やすことになり、冷却効率は若干とはいえ落ちてしまいがちだ。また、吸気口が小さいといった問題があれば風量が確保できず、さらに冷却性能が落ちてしまう。
これに対し、吸気口へラジエーターを取り付けるメリットは、常に冷たい外気を使い、十分な風量を確保しつつ冷却できること。ケース内温度は上がってしまうが、CPUの冷却を一番に考えるのであれば、この配置が最も適切といえるだろう。
もちろん、このままではケース内に熱が残ってしまい、徐々に温度が上がっていくことになる。この問題を解決するため、G-Master Hydro Z490 Extremeは天面に2つのケースファンを追加。排気までの流れをしっかりと作ることで、ケース内温度の上昇も抑えているのだ。
水冷クーラーの冷却性能はラジエーターの大きさだけでなく、いかに冷却液を効率よく流せるかも重要となる。G-Master Hydro Z490 Extremeでは、従来のExtremeシリーズでも採用されていたFractal Designの「Celsius S36」を採用。単純にラジエーターが大きいというだけでなく、実績のあるクーラーを選んでいる手堅さがサイコムらしい。
もう1つのポイントになるのが、ビデオカードも水冷化されていること。これは簡易水冷キットを使ったサイコムの改造によるもので、Hydroシリーズの定番だ。こちらは120mmと小さなラジエーターを採用したもので、ひとつずつ手作業で改造が行なわれている。
高速なビデオカードを動かすのに、120mmのラジエーターでは小さいのではないかと不安になるが、その点は心配無用。GeForce RTX 2080 Tiでも問題なく動作することは検証済みで、無改造の空冷と比較しても、静音性、温度ともに優れていることが確認されている。今回の構成ではGeForce RTX 2070 SUPERを搭載しているので、かなり余裕がある。
サイコムのPCを語る上で忘れてはならないのが、組み立ての美しさだ。裏配線をフル活用してケース内部のケーブルを極力排除し、見た目にも、エアフロー的にも優れたものになっている。ガラス側面ケースでは内部がバッチリ見えてしまうだけに、こういった職人技は大歓迎だ。
ここで気づいた人もいると思うが、フロント部が360mmラジエーターで占拠されてしまっているため、タワー型ケースを採用しているにも関わらず、ドライブベイが見当たらない。HDDなどは増設できないのかと心配になるが、その点は安心して欲しい。しっかりと裏側にベイが用意されている。
裏配線が多用されているといっても、ケーブルはしっかりと束ねて固定されており、見えない部分までこだわって組み立てられているというのがよくわかる。これだけスッキリしていれば、ユーザーが自分でHDDやSSDを増設するのも簡単だ。
フロントに用意されたインターフェースは、USB 3.0×2、USB 2.0×2、USB Type-C、ヘッドホン、マイク。USB Type-Cは搭載するマザーボードによっては使えないこともあるが、標準構成である「ASRock Z490 Taichi」であれば問題なく利用できた。
マザーボードについて触れたところで、もう1つ。実はこのASRock Z490 Taichiはネットワーク機能が充実しており、有線LANは2.5Gbpsと1Gbpsの2つ装備している。とくにうれしいのが2.5GbpsのLANで、スイッチやケーブルも対応品へと交換する必要はあるが、家庭内LANを高速化したい場合に活躍してくれる。
ルーターとPCが違う部屋にあり、LANケーブルを引き回せないという人にありがたいのが、最大2.4GbpsのWi-Fi 6(IEEE802.11ax)を搭載していることだろう。Wi-Fi 6なら無線ながらも1Gbpsの有線LANを超える速度で接続できるので、ストレスなく利用できるのがメリットだ。
もちろんWi-Fi 6対応ルーターの導入も必要となるが、Wi-Fiがボトルネックとなりにくくなるだけに、PCと一緒に環境を一新するというのもオススメだ。