「500 KOBE ACCELERATOR デモデイ」レポート
AI×ヘルステックでの事例が多数 神戸発国際アクセラレーション
2020年04月30日 09時00分更新
神戸市と世界で最もアクティブなシード投資ファンドとして知られる500 Startupsがタッグを組んで行われる短期アクセラレーションプログラム「500 KOBE ACCELERATOR」が4期目を迎え、最終日の2019年12月16日に開催されたデモデイに15チームが登壇した。本記事では、ヘルステック領域のスタートアップを取り上げて紹介したい。
500 Startupsはシリコンバレーを拠点に世界74ヵ国2200社以上を支援するアクセラレーションプログラムで、2016年から神戸市をパートナーに迎え、グローバルチームによるマンツーマン指導を含めた6週間にわたる実践的なプログラムを毎年開催している。4期目にあたる今回は、ヘルステック領域からの募集に力を入れ、「神戸医療産業都市」との連携による特別メンターセッションや事業化支援、関連施設の視察、企業との交流機会の提供などのサポートを行なった。
生命科学の実験をAIで自動最適化
エピストラ株式会社
再生医療、遺伝子治療、創薬といった生命科学の実験をシミュレートするプロトコルをAIで自動最適化するサービスを提供するエピストラ株式会社。
生命化学関連の実験に必要なコストは、1件平均につき480億円で期間も15年かかる。国内では毎年3兆円、海外では19兆円が必要とされるが、エピストラが開発したAIソフトウェアを使えば大幅にコストも時間も削減できるとしている。
元IBMリサーチの小澤陽介氏がCEOを筆頭に、AI研究で知られる大阪大学の高橋恒一教授、そしてソニーコンピュータサイエンス研究所代表取締役社長兼所長の北野宏明博士が顧問を務め、50報以上の論文と30件以上の特許を取得。AIソフトウェアで研究開発を加速iPS細胞を使う再生医療研究で知られる高橋政代氏も利用しており、iPS細胞の分化効率を23%向上させ、必要期間を5年から半年に、コストは1.8億円から1千万に抑える成果を出している。
脳画像から認知症リスクを測定
株式会社Splink
脳科学とAIを融合した技術開発によるアルツハイマー病をはじめとした変性脳疾患の早期診断支援を行ない、適切な予防および診療の実現を目指している。複雑で経験も必要なうえにコストが高い認知症検査の課題を解決する。
壇上で紹介されたのは、頭部MRI画像をAIで解析し、客観的な指標を元に認知症のリスクを測定する検査サービス。医療機関向けの提供を目指しており、2000人以上の検査実績によれば、従来の検査より精度が大幅に向上し、必要とする脳画像の解析時間は600分の1になったという。
認知症予防研究の第一人者で37年の臨床経験がある医師の朝田隆筑波大学名誉教授が医学顧問に加わっており、経済産業省や総務省などの支援も受けている。今後はICTによる早期発見と疾患のケア、AI医療機器の開発、医療データを利活用した地域医療や個別化対応を進める。
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