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ベンチマークで性能をチェック、ストレステストで温度もチェック

性能文字どおり“桁違い”「Ryzen Threadripper 3970X」搭載ゲーミングPC「G-Master Hydro TRX40 Extreme」は冷却もすごくて安定動作

2020年02月03日 16時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Hydro TRX40 Extreme」

 コア数の多さは性能の高さに直結するものの、そのぶん発熱も大きくなる。適切なCPUクーラーが搭載されていなければCPU本来の性能が発揮できず、宝の持ち腐れとなってしまうことも考えられる。

 その点、サイコムが販売するゲーミングデスクトップパソコン「G-Master Hydro TRX40 Extreme」(関連記事)は、320mmの巨大ラジエーターを採用した水冷クーラー「Celsius S36」(Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK)を搭載し、32コア/64スレッドとなるRyzen Threadripper 3970Xの性能をフルに引き出してくれる構成だ。

本体フロント部分に360mmのラジエーターを装備。モンスタークラスとなるRyzen Threadripper 3970Xもしっかりと冷やしてくれる

 今回はこのCPUの性能がどのくらいなのか、本当に本来の性能が引き出せているのかをチェックしてみよう。

試用機の主なスペック
機種名 G-Master Hydro TRX40 Extreme
CPU Ryzen Threadripper 3970X
CPUクーラー Fractal Design FD-WCU-CELSIUS-S36-BK
グラフィックス GeForce RTX 2070 SUPER(サイコムオリジナル水冷静音仕様)
メモリー 64GB(16GB×4、DDR4-3200)
ストレージ 512GB SSD(M.2接続、Intel SSD 660p Series)
マザーボード ASUS PRIME TRX40-PRO
PCケース Fractal Design Define S2 Black TG
電源 Corsair RM850x(850W/80PLUS Gold)
OS Windows 10 Home(64bit)

CPU性能をベンチマークソフトを使って簡易チェック

 CPU性能の比較は、ベンチマークソフトの「CINEBENCH R20」を使用。CGレンダリング速度から性能を計測してくれるもので、結果は「pts」という独自のスコアで表示される。この数値が高ければ高いほど、CPUの性能が高いということになる。

 ちなみにCGレンダリングという用途はマルチスレッドが得意とする分野で、メモリーやバスのボトルネックがなければコア数が多ければ多いほどリニアに性能が高まる傾向がある。つまり、CPUの最大性能を比較しやすいベンチマークソフトになるわけだ。早速結果を見てみよう。

「CINEBENCH R20」のスコアは、マルチスレッドで17209 pts、シングルスレッドで513 pts。マルチスレッドのスコアはもはや数値がインフレ状態だが、とにかく速いということだけは確実だ

 結果はCPUのコアをすべて利用するマルチスレッドの「CPU」で17209pts。1つのコアだけを使うシングルスレッドの「CPU(Single Core)」で513ptsだった。

 この数値だけでは性能が分かりづらいので、過去データから比較対象をいくつか紹介すると、インテルのコンシューマー向けCPUのハイスペックモデルとなる「Core i9-9900K」(8コア/16スレッド)では4940pts、同じくAMDのコンシューマー向け「Ryzen 9 3900X」(12コア/24スレッド)では7131ptsとなっていた。

 そもそもクラスが違うため比較対象にするのはおかしいのだが、どちらのCPUも高性能パソコンに搭載されることが多いものだ。それだけに、この圧倒的な性能の差には唖然とするほかない。そう、文字どおり“桁が違う”のだ。

 メニーコアCPUとなるだけに最大性能が高いのはある意味当然だが、見逃せないのがCPU(Single Core)のスコアも513ptsと高いこと。従来のAMD Ryzenシリーズはコア数の多さからトータル性能では高くなるものの、コア当たりの性能はインテルCore iシリーズのほうが高いというのが常識だった。しかし、第3世代となるZen2の登場によってこの性能差が解消。シングルスレッドにおいても、RyzenがCore iへと追いついている。

 Ryzen Threadripper 3970Xでもこのシングルスレッド性能はしっかりと発揮されており、Core i9-9900KのCPU(Single Core)のスコア、508ptsを上回るものとなっていた。

ゲーミングベンチでも高スコアをマーク!
Ryzen Threadripper 3970Xはゲームでも高速

 もう1つの性能として、ゲーミング性能もチェックしてみよう。ゲームはCGレンダリングとは違ってマルチスレッドの恩恵が少なく、シングル性能が低くなりやすいメニーコアCPUでは、逆に速度が落ちてしまうことすらある。

 ゲーミング性能ベンチは、比較的負荷の高い「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(以下、FFXVベンチ)を採用。画質は「高品質」とし、解像度を1920×1080ドット、2560×1440ドット、3940×2160ドットと変えていった場合のスコアをチェックしてみた。

1920×1080ドット(フルHD)のスコアは10432で、評価は「とても快適」。GeForce RTX 2070 SUPER搭載ということもあり、フルHDでのゲーミングは文句なしに快適といえる

2560×1440ドット(WQHD)のスコアは7819で、評価は「快適」。解像度を一段高くしてみたがスコアは高いままで、遅くなりがちなシーンでもしっかり表示しきれるほどの性能がある

3940×2160ドット(4K)のスコアは4558で、評価は「やや快適」。シーンによってガタツキが出てしまう恐れも。ただしこれはCPU性能というより、純粋にビデオカード側の性能不足だ

 重ためなゲーミングベンチでも2560×1440ドットまでは十分なスコアが出ており、ゲーミング用途としても、メニーコアCPUにありがちだった性能低下は見られない。

 さすがに3940×2160ドットまで解像度が高くなると苦しくなるが、これはCPU性能ではなく、GPU側の性能限界とみるのが自然だ。4Kで快適にプレーするなら、画質を下げるなどして対処するといいだろう。

 CPU性能が使いきれないという意味ではゲーミング用途にはもったいないCPUだが、これはあくまでゲーム単体しか動かさない場合の話。ゲーム実況や録画を行なう場合、画面のキャプチャーとエンコードが同時に行われるため、CPUへの負荷が跳ね上がる。特に高画質で配信を考えているならなおさらだ。

 こういったバックグランドで重たい処理を行ないたい場合では、メニーコアCPUが有利となる。ゲームに影響を及ぼすことなく1台で配信まで行ないたい、というのであれば、Ryzen Threadripper 3970Xはかなり魅力的なCPUといえるだろう。

気になる発熱をチェック
「CPU-Z」を使って5分間の温度変化を見てみた

 ベンチマークテストでRyzen Threadripper 3970Xの性能が高いのは分かったが、やはり気になるのが発熱。短時間で終わるベンチマークでは問題がなくても、長時間高負荷が続くような用途では、熱の影響が出てくる可能性がある。

 そこで、CPU情報取得ツールの「CPU-Z」にあるストレステスト機能を使い、CPU温度と動作クロックの変化をチェックしてみよう。

 また、CPUの温度と動作クロックのチェックには、「HWiNFO」を利用。CPUやマザーボードなどに搭載されている各種センサー情報を表示してくれるツールで、CPU温度などをリアルタイムにチェックできるのが便利だ。

「HWiNFO」を使い、CPU情報を取得。情報はログに保存し、グラフ化してチェックした

 CPU-Zのストレステストは約5分間とし、その後約1分間アイドル状態を続けたものをグラフ化している。負荷を止めた後のアイドル状態で1分待っているのは、CPUクーラーの冷却性能を見るためだ。負荷時の上昇が緩やかで、アイドル時の温度下降が急激ならCPUクーラーの性能が高く、この逆であれば低いと判断できる。では、実際にテストした結果を見てみよう。

CPU温度の緩やかな上昇からもわかる通り、CPUクーラーの性能は高い。また、動作クロックは少し下落はあるものの、おおむね安定していた

 CPUの最大温度は84℃。右肩上がりとなるため、まだ最大まで上昇していないように見えるが、グラフの傾きを見る限り、90℃まで上昇する可能性は低い。80℃後半あたりで安定してくれるだろう。

 グラフの動きを細かく見ると、負荷をかけるとCPU温度は緩やかに上昇し、負荷を止めた直後から50度以下に一気に下がっているのがわかる。この動きを見ると、32コアのRyzen Threadripperを冷やすのに十分な性能があるといっていいだろう。

 いくら温度が高くならないといっても、動作クロックが低くなっていては意味がない。そこで動作クロックもチェックしてみたが、最初こそ4GHzを超える動作クロックとなっているものの、わずかながら低下。といっても、温度が安定し始める2分過ぎあたりからは安定しており、大きく下がることはなかった。

安定した動作の高性能PCがほしいなら
デュアル水冷の「G-Master Hydro TRX40 Extreme」

 性能が高いCPU、とくにRyzen Threadripper 3970Xのように32コアというメニーコアCPUは発熱が大きく、扱いも難しくなってくるが、G-Master Hydro TRX40 Extremeなら巨大水冷クーラーの採用により、誰もが安定した動作で利用可能。さらにビデオカードも水冷化されているため、高負荷時でも騒音が抑えられるというのが魅力だ。

 サイコムのBTOパソコンならカスタマイズで選べるパーツも多く、ストレージやメモリーなど好みの容量へと変更可能。また、裏配線を多用した組み立て技術の高さもあって、ガラスパネル+ライトアップ仕様にしても、美しく映えるのがうれしいところ。

 せっかく高価なパソコンを買うなら、性能以外の部分でもこだわりたい。少しでもこう考えているのであれば、G-Master Hydro TRX40 Extremeは一見の価値ありだ。

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