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幅広いBTOで、自作パソコンでしかできないようなコダワリの1台にもできる

ポイントはこだわりケースと裏配線、小型でもしっかり冷却するゲーミングPC「G-Master Spear Mini III」

2019年12月25日 09時00分更新

文● 宮里圭介 編集●八尋/ASCII

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「G-Master Spear Mini III」

 リニューアルでケースが変更され、よりスタイリッシュに、そしてコンパクトになったサイコムの「G-Master Spear Mini III」。空冷クーラーを採用したゲーミングパソコンで、豊富なBTOメニューにより自分好みの1台へとカスタマイズできるのが魅力だ。

 ここで少し気になるのが、コンパクトなケースと空冷クーラーとの相性があまりよくないという点だ。具体的にいうと、空冷クーラーはCPUの熱をケース内に拡散してCPUクーラーを冷やすのだが、ケース内温度が上がってくると熱を逃がしにくくなり、CPUが高温になりやすい。つまり、熱を逃がすスペースの小さいコンパクトなケースは、冷却面で不利になるのだ。

 しかし、G-Master Spear Mini IIIが採用するCooler Master社製の「Silencio S400」の強みは、サイズのわりにケース内が広いのがメリット。また、サイドフローのCPUクーラーの排気先にケースファンを設置し、CPUから出た熱を素早くケース外へと排出できるよう配置が工夫されているのもポイントだ。これと合わせ、サイコムが得意とする裏配線を徹底することで、ケース内に熱がこもりにくいよう工夫されている。

ケースがコンパクトなためスペースは狭く感じるが、フロントからCPUクーラー、そしてケースファンまで、一直線に空気が抜けるよう配置されているのがわかる

 とはいえ、実際CPUがどのくらいの温度まで上昇するのかは気になるところ。そこで今回は、G-Master Spear Mini IIIの基本性能とCPUの熱についてチェックしていこう。

G-Master Spear Z390-Mini III
試用機のスペック 標準スペック
CPU Core i7-9700K(3.6GHz、8コア/8スレッド) Core i5-9600K(3.7GHz、6コア/6スレッド)
グラフィックス MSI GeForce RTX 2060 SUPER GAMING X MSI GeForce RTX 2060 AERO ITX 6G OC
メモリー 16GB(8GB×2) 8GB(4GB×2)
ストレージ G-Master Spear Z390-Mini III
マザーボード ASRock Z390M Pro4 ASUS TUF Z390M-PRO
価格 21万640円 17万6690円

まずは定番ベンチマークでCPUやゲーム性能をチェック!

 CPU性能は「CINEBENCH R20」でチェック。CGレンダリング速度から性能を計測し、独自のスコア「pts」で性能を評価してくれるベンチマークソフトだ。数値が高いほど性能が高いことになる。すべてのコアを使用する「CPU」と、シングルスレッドとなる「CPU(Single Core)」の2つのスコアを計測した。

「CINEBENCH R20」のスコア。「CPU」は3753pts、「CPU(Single Core)」は499ptsというスコアになっていた

 評価機が搭載しているCPUは、Core i7-9700K。8つの物理コアを搭載している高性能モデルだ。CINEBENCH R20の結果はCPUが3753ptsというもので、飛び抜けて高速だというわけではないものの、一般用途からゲーム、動画編集まで、多くの用途で不満なく使えるだけの性能がある。

 参考までに過去データと比べてみると、標準構成で搭載されているCore i5-9600Kは2605pts、上位のCore i9-9900Kでは4940ptsとなっているので、ちょうど中間の性能だ。

 どのCPUもBTOメニューで変更できるので、コスパ重視ならCore i5で価格を抑え、性能重視ならCore i9にするのがいいだろう。

 搭載するビデオカードは、GeForce RTX 2060 SUPER。多くのゲームをフルHDで快適にプレーできるだけの実力があるモデルだが、もう少し高い解像度でも遊べるか気になったため、1920×1080ドット(フルHD)に加え、2560×1440ドット(WQHD)の性能もチェックしてみた。

 試用したのは定番ゲームベンチとなる「漆黒のヴィランズ ベンチマーク - ファイナルファンタジーXIV」(FFXIVベンチ)と「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク」(FFXVベンチ)。パソコンに対する負荷でいうと、前者が軽量級クラス、後者が重量級クラスとなる。

Core i7-9700KとGeForce RTX 2060 SUPERという組み合わせなら、FF14ベンチは余裕。WQHDでも「非常に快適」となった

重量級となるFFXIVベンチでも健闘しており、フルHDでは「とても快適」、WQHDでも「快適」という結果だった

 画質設定はFFXIVベンチが「最高品質」、FFXVベンチが「高品質」と、どちらもプリセットで最高のものを選んでみたが、フルHDはもちろん、WQHDでも十分遊べる性能となっていた。

 なお4Kでも試してみたのだが、FFXIVベンチでもスコアが7157まで下がってしまい、一応は「非常に快適」という評価になるものの、シーンによっては若干もたつくこともありそうだ。

 FFXVベンチではスコアが3918で「普通」という評価。実際は、何とか遊べるがカクツキが気になるといった感じだろうか。一応は4Kでも遊べるが、WQHDに落としたほうが快適だろう。

気になるCPU温度はどこまで上昇する?
ストレステストで温度をチェック

 ベンチ中もとくに問題なく動作していたので、安定動作の面では問題ないとはわかっていても、やはり空冷クーラーを使うのであれば、CPUの温度がどのくらいまで上昇するのか気になるところ。

 そこで、負荷をかけるストレステストでCPUの温度がどう変わるのかをチェックしてみた。

 ストレステストとして使用したのは、CPUの詳細情報を表示する「CPU-Z」。これのBenchタブから利用できる、ストレステスト機能で試した。また、CPUの温度と動作クロックは、パソコンの各種情報を取得できる「HWiNFO」を利用した。

CPU情報を調べるのに使用される「CPU-Z」だが、ベンチマーク機能などもある。今回は、ストレステスト機能を使用

CPUやマザーボードから情報を取得し、温度や電圧、動作クロックなどを記録できる「HWiNFO」を使い、CPUの温度と動作クロックを計測した

 調べたのは、ストレステスト中のCPU温度と動作クロックの変化だ。CPUは温度が高くなると動作クロックを下げ、発熱を抑えるようになる。裏を返せば、動作クロックが下がっていなければ、CPUは本来の性能で動作しているともいえるわけだ。この確認のため、温度と動作クロックの2つの値をチェックした。

 実際のテスト内容は、約5分間ストレステストを実行した後、約1分間無負荷とし、この間の温度変化を調べた。

負荷をかけるとCPU温度は急激に上がるものの、80度未満で安定。動作クロックも約4.6GHzから動かず、安定しているのがわかる

 結果は上のグラフのどおりで、CPUの温度は最大でも78度と安全な範囲。当然動作クロックも4.6GHzから変わっておらず、まったく問題ないということが分かった。

 空冷クーラーでは冷却性に不安があるという人でも、この結果を見れば安心できるだろう。

豊富なBTOメニューで自分だけの1台にカスタマイズ

 評価機の構成は高スペック寄りとなっていたため性能が高いのは当然といえば当然なのだが、スペックを細かくカスタマイズできるのがBTOパソコンのいいところ。とくにサイコムは選べるパーツの幅が広いため、自作パソコンでしかできないようなコダワリの1台も注文できる。

 コスパ重視の「Core i5」、性能重視の「Core i9」、静音化のためにCPUクーラーを「Noctua NH-U12S」に変更する、ゲームはフルHDで十分と割り切って「GeForce GTX 1660 SUPER」を選ぶなど、カスタマイズの仕方は人それぞれだ。満足いくスペックで、長く使える構成のG-Master Spear Mini IIIを手に入れよう。

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