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4K・HDRで蘇った『ウルトラQ』の映像は刮目の出来栄え

2019年11月20日 15時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●ASCII

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第4話「マンモスフラワー」(1966年1月23日)より
「巨大植物ジュラン」

東京都心に咲くマンモスフラワー

 東京都心に咲くマンモスフラワー。花弁部分の白の階調が細やかで、茎部分の黒階調も明瞭。ビルの輪郭がしつかりと描かれ、暗部の締まり感も良い。ビルの上に咲く花のシーンでは、ビルの表面の明るさや質感は、4K・HDRの方が遙かに良好だ。マンモスフラワーのアップでは、花の部分の細かな模様や透明感、茎の部分のディテール感など、4K・HDRが2K・SDRを圧倒する。茎の部分の小さな穴が鮮明だ。

ビルと花の明るさが背景よりも浮き立ち、より印象的に感じる。

花びらの部分から、後ろの光を透過している感じがよく伝わってくる。

第12話「鳥を見た」(1966年3月20日放送)より
「古代怪鳥ラルゲユウス」

このシーンでは左下の黒電話の黒光り感が非常に意識される。また左の窓の外が明るく室内は暗いといった光の強弱もよく感じられる。

 古代怪鳥ラルゲユウスに襲われた事務所。机の反射感、黒電話の黒光り感は2K・SDRは鈍いが、4K・HDRはクリヤーに再現し、本物感が高い。ラルゲユウスの目の反射感は4K・HDRが遙かに鋭い。

ラルゲユウスの目はそれ以外の明るさが落ちているため、より鋭く感じる。

第10話「地底超特急西へ」(1966年3月6日)より
「新東京駅」

遠景でとらえた新東京駅

 新東京駅の建物のコントラスト感が良く、黒の締まりが十分なので、画面からどっしりとした質感が感じられる。背景の空は不気味に輝き、黒雲に覆われていることがわかる。パースペクティブの透明感やクリア感、そして遠くまでの見え方は4K・HDRの独壇場。

駅を出発する電車を拡大したもの。画面上では小さいが、動きの過程で一瞬反射する様子までとらえ、映像の意図をよく反映している。

 駅に接近する。自動車の見え方がだいぶ違う。多分トヨタの車だと思われるが、2K・SDRではぼやっとしているのに対して、4K・HDRはしっかりとしたフォーカス感を持つ。ボンネットの反射感が鋭い。駅を出発する地底超特急いなづま号の質感も、2K・SDRに比べると4K・HDRは遙かにクリアで、しっかりとした金属感を保つ。

新東京駅の駅舎タイトル

 新東京駅の駅舎のタイトルの黒文字の黒のしまりは、圧倒的に4K・HDRが優れる。背景にある壁のタイルの白い反射の一枚一枚がひじょうに細やかに見える。タイル反射の光にブルーが混じってるようにも見える(白黒なのに)。

同じく、「地底超特急いなづま号」

金属的な質感の再現がまるで違う。

 新東京駅のホームに地底超特急いなづま号が入線。ボディの金属的な質感は、2K・SDRと4K・HDRではまるで違う。2K・SDRはすべてに鈍い。4K・HDRは先頭のとんがった部分の光り方の鮮やかさと、その後ろの黒い部分のざらついた質感が対照的。運転席のキャノピーガラスの立体的な反射感も鮮明。

金属の丸み感の大きな違いが分かるだろう。

 地底超特急いなづま号の金属ボディの丸みが立体的な感触を伴って見える。反射の中の白階調が細やかに出ているからこそ、この丸みが再現されるのだ。2K・SDRは階調感の出方が大雑把なので、金属の丸み感が今一つ出てこない。地底超特急いなづま号が発車する時のジェット噴射も全く違う。噴射筒の丸み感、黒光り感、金属感は遙かに4K・HDRがリアルだ。

ジェット噴射や噴射筒の黒光り感などにも注目だ。

同じく、「地底超特急いなづま号が暴走し、北九州駅に突っ込む」

 地底超特急いなずま号が暴走し北九州駅(の石油コンビナート)に突っ込むシーン。爆発で立ち上がる炎の描写がポイント。2K・SDRではフォーカスが甘いように見え、階調の出方が曖昧。4K・HDRは白から黒まで階調数が多い。爆発の光が生々しく発せられ、炎の熱さまで感じられる。北九州駅の駅舎の表面の質感も4K・HDRはとても細やか。

暴走して北九州駅に突っ込む地底超特急いなづま号

炎の熱さまで感じられるようだ。

 4K・HDRと2K・SDRの描写の違いは地底超特急いなづま号がガソリンタンクに突っ込み、爆発する場面で特に顕著。2K・SDRは階調が足りないので白側も黒側ものっぺりとした描写。4K・HDRは階調情報が多く、炎そのものが立体的だ。

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