グーグルは間もなく、ユーザーが当座預金口座を開設できるサービスを開始する。多くのテック企業が金融サービスへの参入を狙う中、グーグルも流れに加わることになる。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、グーグルのプロジェクトは「キャッシュ(Cache)」というコードネームで呼ばれており、来年開始する予定だ。グーグルは、シティグループおよびスタンフォード大学の信用組合と提携しており、口座はこの提携のもとで管理されるという。ユーザーは、グーグルの電子決済プラットフォームである「グーグル・ペイ(Google Pay)」を介して口座にアクセスできる。
大手テック企業が金融サービスに着目するのは、新規ユーザーを獲得し、貴重なユーザー情報を収集できるからだ。アマゾンは2018年に、ユーザーが当座預金口座を保有できるよう銀行と協議中であると述べた。アップルはゴールドマン・サックスと提携し、独自のクレジットカードを発行している。ペイパル(PayPal)は「ベンモ(Venmo)」のクレジットカードを発行し、サービスを拡大している。もっとも野心的と言えるのは、フェイスブックだ。決済に加えて、独自の暗号通貨およびブロックチェーン・ネットワーク「リブラ(Libra)」を立ち上げようとしている。
だが、消費者は当然、テック企業が自分のデータを非公開かつ安全に保持していられるか疑念を抱いている。この懐疑的な態度が原因で、グーグルや他のテック企業の銀行業の推進が困難になる可能性もある。ワシントンの大手銀行とそのロビイストも、事業の損失を懸念するようなことがあればテック企業にとって障害となり得る。政治家らはすでに、グーグルやフェイスブック、アップル、アマゾンなどの企業による独占を懸念しており、「ビッグテック」と呼ばれるこれらの企業が金融業へ進出するのを遅らせたり、あるいは妨害したりする可能性もある。
グーグルの取り組みは、フェイスブックの取り組みほど野心的なものではないが、それも理由があってのことかもしれない。グーグルのシーザー・セングプタ決済担当副社長はWSJに、「私たちのアプローチは、銀行や金融システムと深く連携していこうとするものです」と述べた。「少々回り道になるかもしれませんが、この方が長く継続できるものになります」。