サイバー犯罪だって災害並みに対策が必要
台風や地震など、自然災害の脅威にさらされることがめずらしくない日本。10月の台風では、事前に交通機関の運休や、防災グッズの点検が呼びかけられるなど、損害を最小限に抑えるための方針や対策などが強く打ち出されたのは記憶に新しいところだろう。
事前の予測がむずかしく、日本が標的になることも多い……実は、サイバー犯罪もそうだといってよい。国境のないサイバー攻撃は他国と同様に脅威にさらされるリスクがあり、年々、複雑化・巧妙化している。近年は特定の組織や個人を対象にして、金銭や具体的な情報の搾取を目的とする攻撃が増えている。
2017年、世界経済フォーラム(ダボスで開催される年次総会)で報告されたグローバルリスク(複数の国や産業に多大な悪影響を及ぼす可能性のある不確実な事象)として、異常気象、自然災害、テロと並んで、「サイバー攻撃」が上位のリスクとしてランクされた。つまり、企業や自治体は、自然災害などの対策同様に、サイバー攻撃の脅威を考慮する必要性があると考えられるわけだ。
また、経済産業省が2016年に発表した「IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果」では、「ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる」とされている。しかし同時に、2020年にはセキュリティ人材の需要数に対して、およそ19万人もの人材が不足すると推計されてもいるのだ。
国際的なスポーツのイベントを控え、日本をターゲットにするサイバー犯罪が激化することは想像に難くない。自然災害やテロ並みに危険であるというリスクを考えれば、セキュリティ分野のリソースを増強することが必要になってくるだろう。