便利なサービスを使って時間短縮で英語を身につけよう
発音や読み方がわからない英単語を著名人がYouTubeで教えてくれる「YouGlish」
2019年08月31日 11時00分更新
PCやスマホを使って、英語学習を時短にする便利なサービスやツールなどを紹介する連載。今回は、英単語の使い方や発音をYouTubeから検索して表示してくれる「YouGlish」を紹介します。
「帽子を着る」と言われると違和感を覚えるように、言語には一般的に使われる特定の語彙の結びつきがある。YouGlishでは単語のみではなく例文の中で確認できるため、コロケーションの確認もできる。
検索ヒット数で使用される頻度もある程度判断できる
「心の温かい、元気な」を意味する「hearty」という単語は524件のヒット、その類義語として挙げられる「ebullient」はたったの21件。どのような単語が一般的に使われるのかも確かめられる。
英語学習で大事なポイントに「発音」がある。文章を読むだけなら必要はないが、英語を身につけるためには会話も大事だし、そのためには英語の発音を知ることは必須だ。
正確な発音は発音記号を確認すれば分かるし、最近のオンライン辞書サイト、翻訳アプリなどではネイティブの発音を聞くこともできる。ただ、英語の発音は前後の単語との組み合わせで変化する。そうした英語の発音を正しく知るためには、文章での会話を聞き込むことが大事だ。
そうしたときに便利なのが「YouGlish」だ。YouTubeと英語のEnglishを組み合わせた名称のこのサービス。英単語を検索すると、膨大な数のYouTube動画の中から、該当する単語が含まれる映像を抽出して表示してくれる、というものだ。
検索すると、動画の登場人物が該当する単語を話しているシーンの直前付近から再生が始まり、すぐにその単語の発音を聞くことができる。複数の動画が抽出されるので、動画を次々と再生して、該当する単語を何度も聞くことができるのも嬉しい。
次々と動画を再生できるため、色々な人の発音が聞けるのもポイントだ。検索して見た限りは、TEDの講演や著名人のインタビューなどが多いようで、「YouTubeがキャプションを設定できる程度には発音の聞き取りやすい映像」が抽出されているのだろう。学習には最適だ。
面白いのは、検索時にアメリカ、イギリス、オーストラリアの指定ができる点。例えば「Here」は米語ではRの発音をするが、英語はRの発音をしないか弱い。「Water」は英語は日本語の「ウォーター」に近いが、米語は「ワラー」に近づく。そういった点も、検索して聞き比べてみるとよく分かる。
さらに、動画の下には発話内容がテキスト化されて表示されるので、文脈も確認しつつ、単に検索した単語の発音だけではなく、文章としてきちんと理解することができるのだ。これは便利。YouTube自体のキャプション機能を使っているようだが、キャプションとは違って各単語にリンクが張られており、そのリンクをクリックすると、英文ながらその単語の詳細な説明を、英英辞書のように確認できるのも便利だ。
典型的なところでは、特に米語では「going to」は「gonna」と発音されるというのはよく知られているが、実際に同サイトで「going to」で検索して視聴してみると、例えばバラク・オバマ前米大統領もキャプションはgoing toながら、gonnaと発音している。これは、実際に聞いてみないと分からない部分でもあり、こうした点を確認できるのがYouGlishの強みだ。
動画の再生スピードを変更することもできるので、聞き取りが難しければゆっくり再生してみて、きちんと発音を確認してみてもいい。アクセントに注意しながら、まずは声に出してマネして発音することから始めると上達が早いだろう。単語だけでなく、一文を通してマネして発音してみるのもおすすめだ。
アクセントやイントネーション、国の違いなど、発音の違いにはさまざまな要素があるが、色々な人の発音を聞くことができるのは大きなメリット。現実に、日本でたくさんのネイティブの英語話者と交流するのは難しいが、YouGlishを使えば、それに近い環境で勉強ができて、より英語の会話の力を磨くことができるだろう。
協力:長束 啓樹(ENGLISH COMPANY)
大学在学中は、外国語学部で英語学・英文学・音声学などを学び、米ケンタッキー州でTESOL(英語教授法)について学ぶ。帰国後は、教育業界で英語指導に携わり実務経験を積んだ。各種SNSを駆使し英語学習に便利なWebサービス等について調べ、実際に使っては周りに紹介している。