CPUの性能の高さが光る、Precision Boost Overdriveも試した
これぞ“王道”のAMD構成といえる、50周年記念モデルCPU搭載PCをチェック
2019年07月02日 09時00分更新
CPUベンチの結果はハイスペックパソコンにふさわしい高スコア
G-Master Spear X470 AMD 50th Editionのスペックは、8コア/16スレッドで基本クロックが3.7GHz、最大ブーストクロックが4.35GHzというもの。この性能をみるため、ベンチマークソフトの「CINEBENCH R15」と「CINEBENCH R20」を試してみた。なお、どちらのベンチマークソフトもCGレンダリングからCPU性能を測ってくれるものだが、「CINEBENCH R20」のほうがデータが大きく、より負荷の高いテストとなっている。
どちらのスコアもハイスペックパソコンにふさわしいもので、ゲームや動画編集などの負荷の高い作業も軽々こなしてくれるだけの実力がある。CINEBENCH R20の比較データが手元にないためCINEBENCH R15だけでの比較となるが、Core i7-9700Kだと1537cb、Core i9-9900Kだと2052cbとなっていただけに、ちょうどこの中間あたりの性能だということがわかる。
なお、以前別のマシンとなるが、ノーマルのRyzen 7 2700Xで試したときのスコアは1748cb。今回のスコアとほぼ同じことからも、50周年記念モデルだからといって特別な性能上昇があるわけではないことが確認できた。
ちなみにCINEBENCH R20は、少し前までスコアの単位が「cb」だったものが、今では「pts」となっていた。CINEBENCH R15と同じ単位だと紛らわしかっただけに、この変更はわかりやすい。
せっかくの「X」モデルなので、「Precision Boost Overdrive」を試してみた
オーバークロックというと自己責任の危険行為という印象があるが、より安全に、余裕があるときだけ上限を超えた動作クロックで動かしてくれるというAMD純正の機能がある。それが、「Precision Boost Overdrive」だ。この機能を使うには対応するチップセットやマザーボード、そしてCPUが必要となるのだが、G-Master Spear X470 AMD 50th Editionはこの条件をクリアしていたため、少し試してみた。
やり方は非常に簡単で、設定ツールとなる「AMD Ryzen Master」をインストールし、「Precision Boost Overdrive」を選択。後は「PPT」「TDC」「EDC」の3つのパラメーターを手動で設定するだけだ。
このパラメーターの意味をざっくりといえば、消費電力の上限が「PPT」、通常時の電流上限値が「TDC」、ピーク時の電流上限が「EDC」といったもの。設定できる範囲は環境によって異なるが、試した環境ではPPTは1000W、TDCは114A、EDCは168Aが最大となった。そこで今回は、TDCとEDCを最大値、PPTを180Wに設定。これで性能が変化するか、「CINEBENCH R15」で確認してみた。
うえのRyzen Masterの画面は、Precision Boost Overdrive設定を実施したあと、CINEBENCH R15を実行したときのもの。よく見てもらえるとわかるがTDCが上限となっており、OC設定で動作している様子がうかがえる。
ベンチのスコアは1176cbと、35cbだけとはいえ上昇していることが確認できた。今回はTDCの上限がネックとなってここまでの性能上昇だったが、さらに上の値へと設定できれば、さらなる性能上昇が期待できそうだ。
ただし、いくらPrecision Boost Overdriveを使っているとはいえ、オーバークロックには違いない。比較的安全だとはいえ、故障や不具合が起こったときは自己責任となるので、試すときはリスクを承知の上で挑戦してみてほしい。
50周年記念にふさわしい構成と性能で、そつのない1台
第3世代Ryzenの登場を控えたタイミングということもあり、今から第2世代RyzenとなるRyzen 7 2700X搭載機を購入するというのはやや抵抗があるが、このタイミングでしか買えない50周年記念モデルとなれば話は別。さらに、今なら特別割引で3万円安くなっているというのも見逃せない。
なお、AMDのCPUは世代が変わっても同じマザーボードのまま新しいCPUが動作することが多いだけに、後々のアップグレードも期待できる。パーツを交換しながら長く使えるマシンをお得に購入したいと考えているなら、50周年記念モデルとなるG-Master Spear X470 AMD 50th Editionを今のタイミングで購入するというのは、そう悪くない選択だといえるだろう。とくに、AMDのファンであれば尚更だ。