クラスターは6月29日に、秋葉原にあるツクモパソコン本店の3Fイベントスペースにてバーチャルイベント空間「cluster(クラスター)」の体験会を実施した。
clusterは、HTCのVIVEやVIVE Pro、Oculus Reift、Oculus Goなどの対応VRヘッドマウントディスプレー(HMD)を使ってVR空間に入り、バーチャルイベントに参加したり、開催したりができるサービス。
今月に入り、過去のイベントを保存し、いつでも体験できるアーカイブ機能の実装なども発表。体験会では、そのアーカイブ機能で保存されたイベントを体験できた。
アーカイブ機能で保存されたイベントは、人気VTuber「ときのそら」や「東雲めぐ」のお誕生日会や、同社の公式VTuber「くらすたーちゃん」のライブなどで、一部は有料。有料コンテンツは、クレジットカードまたはVプリカにて購入できる。
体験会ではPC6台による体験スペースが設けられており、利用方法も伝えるため、同社が用意したVプリカにて、有料コンテンツの買い方から体験までがセットとなっていた。
筆者はくらすたーちゃんのライブを体験。体験会に用意されていたVRHMDはHTCの「VIVE Pro」と、1台だけ中国企業であるPimax社の「Pimax 8K」が用意されていた。
まずは、VIVE Proにて体験。イベント会場のロビーから始まり、地下のライブ会場へ。バーチャルな会場には、ファンからのイラストが壁に飾られていたり、くらすたーちゃんのフィギュアが置いてあったりと、実際のライブ会場のような雰囲気づくりがされていた。
会場にはアバターもたくさん詰め寄っていたため、そのままだと場所によってはステージ上が見えづらい。そんなところは、本物のライブっぽいが、ここは仮想空間。コントローラーのメニューボタンから設定画面を開き、「パーソナルスペース」をオンにして、スライダーを調整すると、視界に入るアバターの数が調整できる。
また、アバターに接触したら動けなくなるわけでもないので、どんなにアバターがいてもステージ最前列に移動すれば問題なし。これが実際のライブとは違うところだ。
ライブはトークショーもあり、ライブ会場の入り口まで移動してのファンとの触れ合いであったり、やりたい放題。自由奔放にできるのも仮想空間の醍醐味かもしれない。映像は片眼1440×1600ドットと高解像度のVIVE Proで体験しているため、従来のVIVEやOculus Riftなどよりも高精細で、文字もはっきり見えて快適だった。
さて、最後にPimax 8Kにて同じコンテンツを体験。
Pimax 8Kは、クラウドファンディングサービス「Kickstarter」にて出資を募り、最終的には420万ドル(約4.6億円)の資金を調達して話題になった。すでに発売されており、コントローラーとベースステーションは独自のモノが用意されているが、会場では同時にVIVE Proを複数動かしていて、混戦も懸念されていたためか、今回はVIVE Proのベースステーションとコントローラーでの体験となっていた。
Pimaxの日本市場マネージャーである王楷倫氏によると、Pimaxのアプリはすでに日本語に対応し、出荷も日本から行なえるようになっているという。現状、ヘッドセットを支えるヘッドバンドはゴム製のモノを使用しているが、VIVE Proに近いヘッドホン付きで頭に固定しやすいヘッドバンドも開発中とのこと。
今回は、VIVE Proのヘッドバンドを使用して、頭に被る形になっていた。
Pimax 8Kは、解像度が片眼3840×2160ドット。その解像度もスゴイが、さらに特徴的なのがその視野角。一般的なVRHMDの視野角は110度のところ、Pimax 8Kは200度。人間の視野角は左右で180~200度と言われているので、いつも見ている視野角で仮想空間が見られるという。
実際に試したところ、解像度はコンテンツのつくりによるところもあるので、VIVE Proと圧倒的な違いは感じなかったが、パッと見ただけで、感覚的にあっ広いと感じた。もちろん、VRHMDを被っているので、物を被っているという感覚はあるし、窮屈な感じがゼロという訳にはいかないが、見えている範囲はかなりいつも見ている範囲に近かった。
ヘッドセット部分は耳の近くまで来ており、かなり重いように思えたが、頭にしっかり固定していたのもあるが、思っていたほどは重くなかった。計測したわけではないが、おそらくVIVE Proよりは軽いはずだ。
王氏によると、ひとまずPimaxは法人向けに販売するという。商用利用の先は、これからとのこと。海外ではユーザーとのコミュニケーションも盛んで、すでにユーザーからヘッドセットを冷やすファンが提案されて、実際に作ろうという動きもあるという。
ファンというのが、実際にどういった形で付くのかはわからないが、フレキシブルアームファンのような形である程度自由度が利くのなら、ユーザーの前面に取り付けて風を感じるコンテンツの際に連動して動くようにしてくれるとおもしろそうだ。
clusterはアーカイブ機能により、VRのイベントが増えることで、楽しめるコンテンツも増え、活用の場も広がりそうだ。VTuber人気もさることながら、本物のアーティストが登場する仮想ライブなどがあれば、人の混雑に関係なく楽しめる仮想ライブとしても盛り上がりそう。それには、当然HTCのVIVEやPimaxが体験できる商用施設の拡充なども必要不可欠。
clusterの今後の進化や話題になるイベントの配信、VRHMDの進化に期待したい。