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フェイスブックが超リアルなバーチャル空間を構築、AI学習向け

2019年06月17日 07時50分更新

文● Will Knight

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フェイスブックの研究チームが、住居やオフィスを模した非常にリアルなバーチャル空間の数々を作り出した。同社の人工知能(AI)アルゴリズムが、実世界がどのように動くものなのかを学ぶためのものだ。

フェイスブックの研究センターである「リアリティ・ラボ」の研究チームは、「レプリカ(Replica)」と呼ばれるプログラムを使って18個の「サンプル空間」を作り出した。その狙いは、探索と練習を通じて、AIエージェントに実世界の物体について学ばせることだ。理論的には、これによってチャットボットやロボットをより賢くでき、実質現実(VR)をより強力な方法で操作できるようになる。しかし、成果を実世界に移転するには、使用するバーチャル空間が本物そっくりでなければならない。

今回のサンプル空間の環境は、高画質3Dカメラ装置を使って、実際のオフィスや住居をマッピングして作られた。研究チームはまた、光の反射を処理できる新しいソフトウェアを開発した。スキャンをするシステムは、光の反射によって混乱に陥りやすいからだ。一般のシミュレーション・エンジンが毎秒50コマから100コマを処理するのに対し、フェイスブックの「AIハビタット(AI Habitat)」は毎秒1万コマ以上を処理できるという。これにより、AIエージェントを迅速にテストできるようになる。

こうしたバーチャル空間をAIハビタットのシミュレーション環境に読み込むことで、AIプログラムが同空間内で探索と学習を実行できるようになる。アルゴリズムはまず、さまざまな設定の中で物体を認識する訓練を受ける。だが、時を重ねるにつれ、アルゴリズムは物質世界における慣習について、常識的判断の理解を深めていくはずだ。たとえば、テーブルは通常、他のものを支えるという事実がそれに当たる。

常識的判断の欠如は、現在のAIシステムにとって明白な問題となっている。チャットボットやロボットは人間とは違い、曖昧な指令の意図を理解する上で、実世界に関する知識(物理学、論理、社会規範など)に頼れない。言語は複雑かつ曖昧であるため、こうした状況は非常によく起こりがちだ。

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