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kintoneカスタマイズはもはや開発者だけのものじゃない

JavaScriptやAPIも学べる「ステップで学ぶkintoneカスタマイズ」大人気

2019年04月26日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/Team Leaders 写真●曽根田元

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サイボウズの「ステップで学ぶkintoneカスタマイズ」は、kintoneのカスタマイズを学びたい人に向けたハンズオンだ。サイボウズの開発者支援を手がけるメンバーに、これまで手がけてきた施策を振り返るとともに、満員御礼中のセミナーの中身や狙いを聞いた。(以下、敬称略 インタビューアー アスキー編集部 大谷イビサ)

2015年スタートしたdevCamp、今は地方や海外に波及

大谷:まずはこれまでのkintone開発者向けの活動について教えてください。

古田:はい。開発者向けのサイトとして、2014年にドキュメントやAPIガイド、サンプル、掲示板などを用意した「cybozu developer network」を立ち上げています。とはいえ、オンラインのコミュニティってやっぱり書き込むまでのハードルが高いので、サイボウズ社員が書き込むことなっていました。結局、ネットだけでは難しいんですよね。

サイボウズ システムコンサルティング本部 デベロッパーリーディング部 古田麻依氏

大谷:そこでリアルイベントに発展したんですね。

古田:はい。サイボウズとして開発者との距離も縮めたいし、開発者からもサイボウズに直接聞きたいという声が挙がっていました。そこで2015年から「kintone devCamp」というリアルイベントを始めました。社員と開発者がいっしょに学ぶ場所を作りたいという想いがありました。

大谷:devCampはどんなことやってるんでしょうか?

古田:Cybozu Developer Networkに載っている内容をハンズオンでやってみるという内容です。開発者ライセンスがあるので、事前にこれだけは取得していただいて、そこからカスタマイズしたり、他社サービスと連携させるといったハンズオンが多いです。

大谷:どんな参加者を想定していましたか?

古田:Cybozu Developer Networkで興味を持った方ですね。ドキュメントやAPIガイドを読める人なので、わりと開発者やプログラマーに近い人だと思います。

大谷:どれくらいの頻度でやっていたのでしょうか?

三宅:当時の水道橋オフィスで、30名くらいでやりました。東京と大阪で1年に7回くらいやってますね。2015年末には1日ですべてが網羅できるイベントをやりました。

古田:2016年も100名を超える大規模イベントやCybozu Days内での開催のほか、devCampは3回くらいやってみました。

大谷:2017年は地方や海外でも開催してますね。

相馬:はい。もともとdevCampは東京と大阪でしか開催していなかったのですが、kintoneの認知度も徐々に上がってきたので、地方や海外でもやるようになりました。これが「出張devCamp」で、2017年・2018年で沖縄、北海道、福岡、台湾、上海、韓国、ソウルにまで行きました。

大谷:これだけ回数を重ねているということは、わりとプログラムは固まっているのですか?

古田:これがですね、毎回変わってます(笑)。行く先ごとに連携先が変わるし、地方ごとにレベル感も違うので、コンテンツが決められないんです。毎回調整していたので、大変でした。

でも、こうした出張devCampを進める中で、カスタマイズ初期段階のハンズオンが必要だとわかりました。今までSEや情シスが多かったんですが、総務や企画、経理の人たちの割合が高くなってきました。kintoneではこういう人たちがアプリを作るのですが、カスタマイズできることもわかってきて、学びにきてくれるようになったんです。

エンジニアじゃない人がハンズオンを受けるのは敷居が高い

大谷:「ステップで学ぶkintoneカスタマイズ」が生まれた背景を教えてください。

相馬:結局、kintone自体の認知が増えるにつれ、現場のユーザーさんが増えてきたんです。でも、こういう方々は、エンジニアではないので、そもそもJavaScript APIってなにというところでつまづきます。今まではエンジニアにkintoneのカスタマイズを教えればよかったんですが、エンジニアじゃない人をkintoneエンジニアになってもらうというベクトルが生まれたんです。そこからステップで学ぶというコンテンツが生まれてきました。

大谷:4回ステップの内容を教えてください。

古田:新たに追加されたステップ0の「kintone newbieCamp」はそもそもハンズオンではないです。kintoneのカスタマイズとはなんぞや、なにができるのかをセッションで理解してもらうという話です。字が赤くなるみたいな簡単な事例から、作り込んだkintone hiveの事例まで見てもらい、実際どういうステップを踏めばこれができるというのを学んでもらいます。まずは「私たちでもハンズオンできそう」と感じてもらうのが目的です。

ステップで学ぶkintoneカスタマイズ

大谷:じゃあ、ハンズオンのはるか手前ですね。

古田:エンジニアじゃない人がハンズオン受けるって、敷居が高いんですよ。だからこれから学ぶ人向けに、「みなさんハンズオンできますよ」「私たちもサポートしますよ」というのを伝えて行く場をまず設けました。

大谷:2回目以降はハンズオンですよね。

三宅:はい。ステップ1はJavaScript、ステップ2はJavaScript API、ステップ3はREST APIです。資料は相馬が1人で一気に作ってくれました。

サイボウズ システムコンサルティンク本部 デベロッパーリーディング部 三宅智子氏

相馬:2回目はほとんどJavaScript自体を教えていますね(笑)。飽きないようにkintone要素を入れているのですが、基本は「オブジェクトとは」とか、「コンソールにアラート出してみる」といったことを一からやります。でも、変数とか、for文やif文とかもやってません。

大谷:エンジニア相手じゃないハンズオンだと当然そうなりますよね。座学に加えて、きちんと手を動かさなければという。

古田:一番ハードル高いのそこなんですよね。でも、きっかけがないと一歩を踏み出せない人多いので、そこを応援したいという気持ちがありますね。kintoneカスタマイズするにしても、JavaScript自体を知らないと先に進めない。

三宅:いくら数行で済むといっても、知らないとそれすらできないので(笑)。だから、本や動画も紹介しますが、あくまできっかけ作りです。

大谷:大変なところは?

相馬:やっぱりコンテンツを作るところですかね。あくまで「kintoneに興味を持つユーザーがカスタマイズを学ぶためのきっかけにする」という目的に絞っているので、そこにそぐわないものはひたすらそぎ落としてます。障壁になるものは必要でも省いてしまうし、必要なことはわれわれすぐにできることでも丁寧に説明します。その結果、不満を感じる方がいても、これは「申し訳ございません」と伝えるしかないと思ってます。全部を網羅しようと思うと、趣旨がぶれてしまうので。

「ステップで学ぶkintoneカスタマイズ」はハンズオンの手前から始まる

大谷:もう実施済みなんですよね。そもそも名古屋で実施したのが好調だったので、この取材につなげたわけで。

三宅:名古屋のkintone hiveにあわせて、先日はkintone newbieCampをやりました。

相馬:目標としては20名だったのですが、最初は25名で募集したらあっという間に定員に達してしまい、その後37名まで増やしました。当日キャンセルが2名だったので35名くらい。hiveをやるということは、現地である程度認知があるということなので。

サイボウズ システムコンサルティンク本部 デベロッパーリーディング部 相馬理人氏

大谷:東京だとIT系のイベントの歩留まり6割、7割なので、すごいですね。

相馬:もう3人席が全部埋まるので、パンパンです。今までキャンセル待ちまではなかったので、「どうにかなりませんか?」「参加したかった」という声をいただいて、ありがたい悲鳴です。

大谷:反応はどうでしたか?

古田:kintone newbieCampでは質問も次々と上がり、しかも質疑応答の時間も延びました。過去、こうしたイベントで質問が出ることはほぼなかったんです。

相馬:イベントの最後にはAsk the Speakerを設けて、講師に直接聞けるようにしました。4回通して同じ講師にしたので、質問もしやすいと思います。

大谷:先生とタメ口で話せる予備校の夏期講習パターンですね(笑)。

相馬:会場も気を遣っていて、オフィスっぽくないところ。名古屋はコワーキングスペースを使わせてもらいました。

超満員だった名古屋のNewbieの会

古田:参加者からも「今日セッションを受けたら、ハンズオンも受けられるような気がしました」といったコメントをいただいて、「よっしゃ」みたいな感じです。いいステップ0になったと思います。

相馬:プレの会で受けた方は、今までJavaScript全然できなかったのに、自分で調べて、「こういうことですよね」と確認してくれるようになりました。

古田:セッションやハンズオンを受け、さらに自分で意欲的に学んでもらうことで、体得できるというものだと思います。

と言いながら、カスタマイズできるようになることがベストではないんです。たとえば現場の担当者として情シスに提案できるとか、依頼しやすくなるという点もメリットだと思います。

相馬:今までは標準か、カスタマイズかを見極めるくらいできても、そのカスタマイズが重いか、軽いかまではわからなかったんです。でも、これがある程度わかってくると、重いから外部の業者にお願いしようとか、自分たちでチャレンジしてみようとか、いろいろ情シスにも提案しやすいと思います。

古田:せっかく契約していただいているので、より効率的に使ってほしいじゃないですか。ですから、利用シーンがイメージできるという人が増えるのは重要だと思うし、今後講師側に回ってくれたり、学んだ体験を話してくれたら最高ですね。

次回は東京で開催! ハイレベルなコンテンツや連携サービスも

大谷:次回はどこ開催なんでしょうか?

三宅:GW明けから東京でも始めます。募集もスタートしています(下記URLにて募集中)

相馬:誰でも講師ができるようにコンテンツは作り込んであるので、あとは会場確保などをルーティン化してしまえば回数はどんどん重ねられると思います。

古田:新たにカスタマイズを始めたいという方を応援したい気持ちもあるのですが、すでにカスタマイズしている方も飽きさせたくないので、連携サービスのハンズオンももちろんやります。

三宅:去年はDataSpider、今年はTwilioとやったりしています。

古田:もしかしたら、もう少しハイレベルのコンテンツを用意するかもしれません。いずれにせよ、kintoneカスタマイズってエリア広いと思っているので、別のターゲット向けも作っていけたらと思います。

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