ドコモ、KDDI、ソフトバンクが「+メッセージ」の機能拡張を発表
企業の公式アカウントと利用者間のメッセージをやりとり可能に
ドコモとKDDI、ソフトバンクの携帯3社は4月23日、3社が提供するメッセージサービス「+メッセージ」の機能拡張を発表した。企業の公式アカウントを提供し、利用者との間のメッセージを安全安心に提供することを目指す。5月以降、順次提供を開始する予定だ。
+メッセージは、国際標準のRCS(Rich Communication Services)を採用したメッセージサービスで、従来のSMSと同様に電話番号だけで送受信できる機能に加え、文字数を問わずにテキストメッセージを送受信できる。写真や動画、スタンプの送受信にも対応し、無線LAN環境でも利用できる。
3キャリアでは、標準のメッセージサービスの置き換えを狙って提供しており、すでに800万ユーザーを獲得しているという。従来のSMSも利用可能であるためユーザー数はまだ大きくはないが、確実に伸びている点をアピールしている。
公式アカウントはキャリアによる審査で認証済みマークを付与
新たな機能である公式アカウントは、キャリアによる審査を経て認証を受けた企業のアイコンに認証済みマークを付けて+メッセージのアカウントとして表示。ユーザーと公式アカウント間でメッセージをやりとりできるようにする。
+メッセージは電話番号を用いるため、利用者は「3キャリアの携帯電話番号を所有している」ユーザーとなる。契約時にキャリアは本人確認のうえ番号を発行しているため、企業側にとっては「本人確認をして支払い履歴のある利用者」であることが明確にわかる。利用者も企業が認証を受けていることがわかるため、お互い安心してやりとりできる、というのが特徴だ。
メッセージのやりとりだけでなく、画像とテキストを組み合わせた「リッチカード」、簡単に返信できる「アクションボタン」といった機能も盛り込まれており、たとえば予約サイトが近所のレストラン情報を送信し、そこからメッセージのやりとりだけで予約をする、といった用途や、銀行からの送付物が発送不明になったので、銀行公式アカウントから「住所変更しますか?」というメッセージが届き、そこから住所変更の手続きをする、といったような用途が想定されている。
電話番号宛で開封確認などの機能もあり、メッセージが届けやすいというメリットがある。その上で、その画面から手続きなどが行えることで利便性が高まる、というのが利点となる。
公式アカウントを希望する企業への営業や審査はキャリア各社が個別に行なう。3社共同という形ではどうやら独占禁止法などの問題があるようで、別の企業などが仲介として営業や3社への申請などをする、というパターンはありそうだ。
企業側にとっても利用者側にとっても、確実に本人確認された相手とのやりとりができ、電話番号を所有していることがわかってなりすましができない点が安心・安全である、というのが携帯3社のアピールだ。
業種ごとにバラバラだった各種手続きを
+メッセージから一括して行えるように
こうした+メッセージの機能拡張について、「共通手続きプラットフォーム」を提供するのがトッパン・フォームズだ。主に金融機関をターゲットとして、さまざまな手続きを一括して処理するプラットフォームを提供し、ユーザーの利便性向上を図る。
共通手続きプラットフォームには、現時点でJCB、東京海上日動火災保険、日本生命、野村證券、三菱UFJ銀行の金融、カード、保険、証券の5社が賛同を表明。プラットフォームを利用することで、ユーザーは住所変更などの手続きを+メッセージから1画面で一括してできるようになる。今後、すべての金融機関が参加するよう促していきたい考えだ。
今回の+メッセージの機能拡張は、あくまで公式アカウントの提供を発表しただけで、具体的なサービスや料金は発表されていない。基本的には、企業側には+メッセージ利用やAPI利用による料金が発生する。ユーザー側については、キャリアからはパケット通信料金(無線LAN利用の場合は費用がかからない)のみで、サービスの利用料金については各企業に任されているようだ。
+メッセージの電話番号と口座アカウントを紐付けすることで、なりすましのできない形でメッセージがやりとりでき、APIを経由することで契約者の情報とのマッチングができるため、たとえば「電話番号だけで送金する」といった銀行サービスも考えられるだろう。今後の機能、サービス詳細の発表を期待したい。
ちなみに、現時点でMVNOやSIMフリースマートフォンなどに+メッセージは提供されていないが、3社はMVNOや新規参入する楽天に対して、「要望があれば検討する」と回答している。