Appleが中国市場におけるiPhoneの値下げを実施した。中国で消費税が下がることに合わせてのものだが、中国市場では目下苦戦中。需要喚起も狙った動きと見ることもできる。
中国でのiPhone XSは消費税減税に合わせての値下げ
Appleが値下げするのはiPhoneをはじめ、iPad、AirPodsなどの各製品。Xinhua(http://www.xinhuanet.com/english/2019-04/02/c_137941448.htm)によると「iPhone XS」「iPhone XS MAX」は500元(約8500円)、「iPhone XR」は300元(約5000円)の値下げを実施。率にして最大で6%になるという。
これは中国の消費税が16%から13%に引き下がることを受けてのもので、Appleだけではなく、Louis Vuitton、Gucciといった高級ファッションブランド、Mercedes-Benzなどの自動車も製品の価格を下げる。
だがAppleの値下げは消費税や為替の変動に対応しただけではない可能性もある。Appleはこのところ中国市場で苦戦をしており、値下げにより需要を喚起する狙いもありそうだ。
調査会社のCounterpoint Researchによると(https://www.counterpointresearch.com/china-smartphone-share/)、2018年第4四半期の中国スマートフォン市場でのシェアは4位で12%。直近の9%(18Q3)、8%(18Q2)に比べると上向いたが、1年前の15%からは落ちている。出荷台数は前年同期比で12%で減ったという。
なお、中国市場のシェアトップはファーウェイで、こちらは2017年Q4の20%から、2018年Q4は28%とシェアが大きく上昇した。この間、ファーウェイは米中貿易戦争の煽りを真っ向に受けたことを考えると、中国では逆の現象が起こったと言える。
サムスンはすでにトップ6の圏外に
だが、Appleが中国で低迷している理由は、米中貿易戦争の煽りだけではない。中国の経済とスマートフォン市場そのものが停滞しているが、それだけの原因でもない。おそらくは、ここ数年の高価格路線が中国市場の現状にはマッチしていないのだろう。
皆さんも記憶にあるように、Appleは2017年にiPhone Xを投入。そしてその後のiPhone XS/XS Max、iPhone XRなど、安価なモデルでも8万円、さらに10万円以上が当たり前となった。高価格帯に偏ったこともあり、上記のCounterpointによると、Appleの中国での売上高自体は伸びているという。
中国に限らず、成長国ではスマートフォン市場が飽和状態にある。IDCによると、2018年第4四半期の中国スマートフォン市場の出荷台数は前年同期比9.7%のマイナス成長なのだ。
そんな中で(少なくとも)中国では、高価格路線は受け入れられていないということだろう。Counterpointのデータでは、1位ファーウェイと4位Appleの間には、OPPO(20%)、vivo(19%)がおり、Appleの次もシャオミ(9%)、Meizu(2%)と続く。シャオミなどは高価格帯も拡充する戦略ではあるが、もともと強い安価な端末ラインで消費者のニーズに答えている。
なお、世界トップのサムスンは2018年第1四半期まではシェア1%で6位についていたが、その後は圏外となった。Samsungは幅広いラインナップを持つが、中国ではその存在が消えつつある。
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