2018年秋にキヤノン初のフルサイズミラーレスカメラ「EOS R」が登場した時、「快適・快速・高画質」というEOS思想の結実を見た気がした。一方で、EOS RがEOS 5D Mark4と同等のセンサーを搭載していることから、このモデルが中堅機(キヤノンの分類によるとハイアマチュアクラス)で、上位のプロフェッショナル機のEOS 1D系か、下位のミドルクラス機のEOS 6D系が登場するのは時間の問題だろうとも予測できた。そしてEOS Rが登場して約4ヵ月。登場したのはミドルクラス機「EOS RP」だった。
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EOS Rより良好なホールド感と操作性
EOS RPは心臓部にEOS 6D Mark 2相当の2620万画素センサーを搭載したミラーレス機。オープン価格で、キヤノンのオンラインショップでは17万3340円(税込)。上位機であるEOS Rは25万6500円と、およそ8万円近くお求めやすい価格設定となっている。EOS Rですら登場時はバーゲンプライスと言われただけに、EOS RPは価格破壊といった印象を受ける。
際立つのは値段もさることながら、その軽さ。重さわずか約485gと、ペットボトル1本に満たない。EOS Rが約660g、ソニーのα7IIIは約650g、ニコン Z 6が約675gと既存のミラーレス機より約200gは軽量に仕上げられている。
とはいえ、現在発売されているRFマウントのズームレンズを取り付ければ1kgはゆうに超えるのだが、キヤノンでは軽量のRF35ミリF1.8 MACROをキットレンズとしたパッケージも販売しており、これだと約880gに収まる。このRF35ミリに関しては別記事にて紹介する予定だが、素直な描写が好印象のスナップレンズだった。ちなみにセット価格は、キヤノンオンラインショップで23万7060円。EOS R本体より安価に設定されている。
ボディーもEOS Rよりコンパクト。ここまで小さくなると男性には……と思ったが、いざ握ってみるとEOS Rよりも良好なEOS RPのホールド感に驚いた。操作系も少しだけEOS Rとは異なり、従来のキヤノンの様式に戻った感じ。
EOS Rに搭載されていたマルチファンクションバーや、軍艦部のディスプレーはなくなっていた。EOS Rを初めて使った時は「これは何?」とマニュアルを見直すことが結構多かっただけに、従来のキヤノンユーザーならすんなり使えるだろう。とはいえ、Rシリーズ特有のカスタマイズメニューは多く、設定次第で大きく使い勝手が異なる点はEOS Rと同様だ。
バッテリーとSDカードスロットは本体底面に備えられている。バッテリーはEOS Rと互換性はなく、1040mAhと容量も小さめ。キヤノンでは撮影枚数約250枚と明記しているが、省電力設定を煮詰めていけば、より多く撮影が可能だ。
EOS Rでは電源オフ時にシャッター幕が降りて受像センサーの防塵対策をしていたが、EOS RPにその機構がないのは残念なところ。だが、シャッターがないためEOS Rに比べ起動が早いようで、電源を入れてから1秒もかからずに撮影できる。