政府が開会中の通常国会への提出を目指す著作権法の改正案をめぐり、文化庁が示した改正案のうち、違法にアップロードされたコンテンツのダウンロードを違法とする部分を削除するよう与党・自民党が指示した可能性が出てきた。
権利者の許可なくインターネットにアップロードされたものと知っているのに、マンガや写真などの著作物をダウンロードする行為を違法とするのが、今回の改正案の柱だ。
改正案に対して、権利者であるマンガ家やSNSでは、「範囲の広すぎる規制は、インターネット利用の萎縮を招く」と慎重な議論を求める声が上がっている。
違法にインターネットにアップされたコンテンツを含む画面を、スマホやPCに保存するスクリーンショットも、場合によっては違法になる可能性があるためだ。
与党含め一部の国会議員からは、法案の修正や国会への提出先送りを求める声も出ている。
8日早朝には産経新聞が、同党が総務会での了承を見送り、違法ダウンロードに関する項目の削除を求める方針を固めたと報じ、状況は混沌としてきた。
この点について菅義偉官房長官は8日午前の記者会見で、「法案の国会提出を目指し、著作権を侵害しているコンテンツのダウンロードを違法化する範囲の拡大を含め、引き続き文部科学省において与党、その他の関係者との調整を続けている」と述べるにとどめている。
●著作権法改正以外の手段もありそうだ
著作権法改正への注目が集まる中、ダウンロードをした人を取り締まるよりも、海賊版マンガなどの違法コンテンツをアップロードした側への対策を強めることで解決を図るべきだとの意見もある。
Japan Digital DesignでCTO(最高技術責任者)を務める楠正憲氏は2月28日、ツイッターに次のように書き込んだ。
「そーいえば漫画村の運営者って、どーなったんですかね?漫画村を捕まえられないダウンロード違法化をやって、サイバー捜査態勢の拡充とかやらないの、いったい何のために仕事してるんだか分からないんだよねホント」
海賊版のマンガをネットにアップロードして配布する行為はすでに違法だ。確かにダウンロードを違法化するのなら、より悪質なアップロード側を取り締まるのが筋だろう。
仮に法律が改正された後、漫画村のようなサイトから海賊版のマンガをダウンロードした人が摘発される一方、サイトの開設者らが摘発されないような事態が生じたとしたら極めてバランスが悪い。
インターネットに関わる法律問題に詳しい平野敬弁護士は「ダウンロードの違法化よりも、発信者情報開示制度の充実で克服すべきだと考えている」と話す。

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