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ブランドの秘訣はデザインと見せ方:

バルミューダが愛される理由

2019年02月13日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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●18兆5000億円のブランドへ

 製品のデザインと見せ方がブランドにつながっているらしいことはわかった。では実際にバルミューダはブランド作りをどのようにとらえているのか。寺尾代表はある記者の質問に答え、バルミューダがやっている仕事はブランドビジネスだと語った。説明の中でわかりやすかったのは「ショービズ」という表現だ。

 「ショービズなんですよ、バルミューダって。どういう曲を提供してお客さんを喜んでもらって次に期待してもらうか。曲を安売りする必要はない。安い曲じゃなくて良い曲。良ければ良いほどお客さんは喜んでくださって、次のわたしたちの歌にまた期待してくれる。期待外れなら次の期待感は落ちる」(寺尾代表)

 つまりバルミューダのブランドはミュージシャンに対する期待や信頼のようなものということ。元ミュージシャンの寺尾代表らしい価値観だ。

 その上で、ショービズとしてのバルミューダのブランド価値を上げるのは「1つ1つのコミュニケーションや製品そのものでしかない」と寺尾代表は言っていた。その姿勢がデザインや見せ方にあらわれていると思えば納得だ。

 気になるのはバルミューダブランドの今後だ。

 寺尾代表が2003年に1人で始めたバルミューダは100人の企業になり、寺尾代表が自身の原体験にもとづいて作った製品をブランドの原点としていたバルミューダは転換期を迎えた。最近は社内のクリエイティブチームやR&D部隊などからも良い製品のアイデアが出てくるようになった。管理部門が社員の生産性を高め、生産部門が品質管理を徹底するなど組織としての力も強まってきたという。

 その中で寺尾代表の役割は今までのようにこれを作ろうと声をかけるのではなく2〜3年後を見通して現在の計画を立てる、経営者としての役割に変わってきた。経営者として組織を指揮し、大きなショーを続け、ブランドを維持することは、良いものを作ってヒットさせることとはまた別の難しさがありそうだ。

 バルミューダの年間売上は創業年の2003年から2018年までの15年間で600万円から100億円に増えている。実に1850倍だ。寺尾代表は「今後15年でまた1850倍にできるはず」と夢を語っていた。はたしてバルミューダは年間売上18兆5000億円のブランドになることができるのか、製品を通じて注目を続けたい。


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