●見せる売り場づくり
ところで同社が韓国で発表会を開いたのはAirEngineがよく売れたからだ。出荷台数は日本の約10倍だという。空気清浄機が売れるのは大気汚染の影響が大きいが、バルミューダが選ばれる理由はやはりデザインが大きそうだ。
「韓国大手家電メーカーもデザインにはずいぶん力を入れている。日本の大手メーカーとはケタ違いに力を入れている。見た目に対する興味が非常に強い。その人々にわれわれの製品のデザインの高さが受け入れられてる、または好まれているというのが大きな要因ではないか」(寺尾代表)
一方、デザインをどう見せるかという部分で大きいのが販売戦略だ。
バルミューダ海外セールス担当の伊奈博彦さんによれば、韓国の販路はテレビショッピングとネット通販が7割、百貨店やインテリアショップなど店頭が3割。取扱店はあえて増やさず、むしろしぼりこむ形で減らしてきた。
プレスツアーでまわったヒュンダイ百貨店と量販店ハイマートでは、どちらも店の中でバルミューダの世界観を伝えるショップインショップ形式をとっていた。写真を撮ってSNSに上げても絵になりそうな写真映えする売り場だ。同じくセレクトショップではバルミューダの製品が服や雑貨と並んで売られていた。ショップの写真はやはりSNSに上がっていることもあるという。
SNSといえば、もともとバルミューダが2013年に韓国に参入したとき最初の起爆剤にしたのもニューヨークから韓国人向けに発信しているSNSで人気のライフスタイル系ブロガーだったそうだ。「良いブランドのものを紹介してブログで販売もしているんですが、発表前からAirEngineのティザーをちょこちょこ出していただいて、販売を始めたら、300台が15分で売り切れたんです」(伊奈さん)
すぐれたデザインの製品を選ばれた売り場でだけ売っていくというやり方はアップルにも少し似ている。バルミューダ製品を売っている店頭はiPhoneやMacが整然と並んでいるところを思い出させるものがあった。
こうした展開を通じてバルミューダブランドは韓国に浸透。有名ブランドを特集する人気雑誌「マガジン・ビー(Magazine B)」にも取り上げられた。