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マカフィーは「闇のハッカーフォーラム」をチェックしている!

2019年01月25日 09時00分更新

文● せきゅラボ編集部

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サイバー犯罪者の集まる闇フォーラムを追え

 「サイバー犯罪者が地下で秘密裏に活動している」と聞くと、フィクション作品の話ではないかと思う人もいるだろう。しかし、それは現実のことだ。マカフィーは、サイバー脅威情勢を評価する最新のレポート「McAfee Labs 脅威レポート:2018年12月」を発表。その中で、サイバー犯罪者の集まる闇フォーラムの存在を挙げ、既知の脆弱性や企業のデータ漏洩といった攻撃に利用される情報を交換していることに注目している。

 闇のハッカーフォーラムやチャットグループが、サイバー犯罪者のための市場として機能している――しかも、マカフィーによれば、サイバー犯罪者の中には、大規模な市場で商品を販売するのではなく、独自のショップを開設するようになってるものさえいるという。取り締まりを回避して顧客と直に信頼関係を構築するためだ。この転換により、「闇ビジネスのオーナーを目指す犯罪者向けの闇店舗を構築する」ビジネスチャンスがウェブサイトデザイナーの間で浮上しているそうだ。

 逆に言えば、地下市場、闇フォーラムにおける傾向を追い続けることで、サイバーセキュリティコミュニティは最新の攻撃を防御し、攻撃に対して先手を打てるようになる。SFのような話だが、犯罪者たちの話題から、次のセキュリティトレンドを読むことが肝心な時代になっているのだ。

偽ゲーム、偽出会い系アプリを悪用したサイバー犯罪も増加

 今ではおなじみとなった仮想通貨も、サイバー犯罪の“タネ”になっている。マカフィーのレポートによれば、仮想通貨のマイニングマルウェアは71%も増加している。とくに、セキュリティが手薄な大量のIoTデバイスが悪用されているという。カメラやビデオレコーダーのようなIoTデバイスは、パソコンなどと比べマシンパワーが不足しているため、これまで仮想通貨マイニングに悪用されることはほとんどなかった。

 ところが、サイバー犯罪者たちは、IoTデバイスが普及し、またセキュリティ対策が甘いことに着目。多数のデバイスを勝手に利用してマイニングし、ごっそり横取りしようとするマルウェアが増えているのだ。サイバー犯罪者たちにとって、利用者のシステムに侵入し仮想通貨を集めるだけで、第三者に頼ることなく収益化が可能な点も好まれているのだという。

 また、闇フォーラムや仮想通貨などといった話題の中にあって、昔から知られている犯罪が消えているわけではない。被害者のサイト閲覧履歴をばらすと脅迫して金銭を要求する「セクストーション(性的脅迫)」スパムが横行しているほか、偽ゲーム、偽出会い系アプリを悪用したサイバー犯罪も増加しているという。スパムや偽アプリについてもより一層の警戒が必要といえる。たとえば、連絡先をよく確認する、あやしいリンクは開かないといった、基本的な対策は現在でも有効なのだ。

 サイバー犯罪者の攻撃は進化している。新しく世の中に広まった犯罪もあれば、古くからの手口が手を変えて現れる場合もある。セキュリティ ソフトウェアをしっかりとインストールする、ソフトウェアを最新のものに更新するなどの基本的な対策を講じたうえで、セキュリティ情報を知識として蓄え、リテラシーを高めることが重要といえる。

 最新のサイバーセキュリティ事情をよく知るために、「マカフィー、2018年第3四半期の脅威レポート」をじっくりチェックしてほしい。(せきゅラボ)

※以下はMcAfeeのプレスリリースからの転載となります。

マカフィー、2018年第3四半期の脅威レポートを発表

仮想通貨マイニングはIoTデバイスを悪用、金融機関ではデータ漏えいが20%増加

※当資料は、2018年12月18日に米国で発表されたプレスリリースの抄訳です。

ニュースハイライト

・サイバー犯罪の地下市場および闇フォーラムを分析し、犯罪者の戦術やターゲットを解明

・IoTデバイスを狙った新しいマルウェアは第3四半期だけで73%増加、通年では203%増加

・仮想通貨マイニングマルウェアは71%増加、セキュリティが手薄な大量のIoTデバイスを悪用

・モバイルマルウェアは24%減少、偽ゲーム、偽出会い系アプリを悪用したサイバー犯罪が増加

・金融機関でのデータ漏洩が20%増加、「トロイの木馬」が銀行を意外なアプローチで攻撃

・スパムボットネットが生み出す性的なWeb閲覧履歴を暴露すると脅迫する「セクストーション (性的脅迫)」詐欺が横行

・ランサムウェアは10%増加したが、新たなランサムウェア ファミリーは引き続き減少

 米国マカフィー(McAfee LLC、本社:米国カリフォルニア州)は、最新の2018年第3四半期の脅威レポート「McAfee Labs 脅威レポート:2018年12月」を発表しました。

 最新のレポートでは、サイバー犯罪者の地下活動とサイバー脅威の進化について分析しています。McAfee Labsは1分あたり平均480件の新たな脅威を検出しており、IoTデバイスをターゲットとするマルウェアの急増を確認しました。2017年のHansaとAlphaBayのダークウェブ市場摘発の波紋が続く一方で、サイバー犯罪者は取締り当局の目をかいくぐる新たな手法を使っています。

 マカフィーAdvanced Research Team(ATR)の上席セキュリティリサーチャー兼プリンシパルエンジニアのクリスチャン・ビーク(Christiaan Beek)は、次のように述べています。「サイバー犯罪者は新旧いずれの脆弱性も攻撃しようとしており、地下市場で多くのサービスとしての攻撃手法が利用可能なため効果は劇的に高くなっています。身代金が支払われ、フィッシング詐欺など比較的容易にできる攻撃が成功し続ける限り、これらの技術が攻撃に使われ続けるでしょう。地下市場、闇フォーラムにおける最新の傾向を追い続けることで、サイバーセキュリティコミュニティは最新の攻撃を防御し、攻撃に対して先手を打てることができるようになるのです」

 マカフィーは徹底的な調査と分析、世界中の複数の脅威の経路にある10億を超えるセンサーからMcAfee Global Threat Intelligence(McAfee GTI)Cloudが集めた脅威データを基に、四半期ごとにサイバー脅威情勢の評価を行っています。

サイバー犯罪者の闇チャットフォーラムでトレンドを読む

 2018年の第3四半期では、Dream、Wall Street、Olympusといった地下市場がシェアを競い合いましたが、Olympusは忽然と消えてしまいました。サイバー犯罪者の中には、取り締まりを回避し、顧客と直に信頼関係を構築するため、大規模な市場で商品を販売することを止め、独自のショップを開設するようになっています。この転換により、闇ビジネスのオーナーを目指す犯罪者向けの闇店舗を構築するという新種のビジネスチャンスがウェブサイトデザイナーの間で浮上しています。

 マカフィーのサイバー犯罪調査部門責任者のジョン・フォッカー(John Fokker)は次のように述べています。「サイバー犯罪者は機会を巧みにとらえ、攻撃を仕掛けてきます。今日私たちが直面しているサイバー脅威は、闇フォーラムでの会話から始まり、地下市場で利用可能な製品やサービスに成長しました。さらに、強力なブランドを持つ犯罪組織は、サイバー犯罪者 にとって、より高い感染率と、運用面および財政面の両面での確実性においてより重要性を増しています。」

 ハッカーフォーラムは、サイバー犯罪者同志がサイバー犯罪関連の話題を話し合うための人目を避けた空間になっています。マカフィーは、第3四半期において次のトピックに関する会話がなされたことを確認しています。

・データ漏洩事件の模倣攻撃が増加

 ・ユーザー認証:最近数多くの大規模データ漏洩があったことで、ユーザー認証は引き続き関心の高いトピックとなっています。ハッキングされた電子メールアカウントは、他のオンラインサービスのログイン認証の復元に利用されるため、サイバー犯罪者にとってとても重宝されています。

 ・電子商取引サイトを狙うマルウェア:サイバー犯罪者の関心はPOSシステムから大規模な電子商取引サイトに設置された決済プラットフォームに移っています。Magecartのようなサイバー犯罪グループは、被害サイトから何千ものクレジットカード情報をスキミングすることに成功し、クレジットカード情報とそれらを盗むために使われる悪意あるツールの両方に対するニーズに拍車がかかりました。さらに、企業がセキュリティ対策を強化するにつれて、サイバー犯罪者もそれに応じて対抗しています。たとえば、オンライン購入の際のIPロケーション(位置情報)チェックが追加されると、盗まれたクレジットカード情報と同じ郵便番号の感染したコンピューターへの需要が高まります。

・既知の侵入及び攻撃方法が依然として一般的

 ・共通脆弱性識別子(CVE):ブラウザーのエクスプロイトキットRIG、Grandsoft、Falloutや、GandCrabランサムウェアに関する議論の中で、CVEへの言及が数多くみられました。これらのトピックへの高い関心は、脆弱性管理の重要性を世界中の組織に示しています。

 ・リモート デスクトップ プロトコル (RDP):一般ユーザーの自宅から医療機器や政府システムに至るまで、世界中のコンピューターシステムへのログインを提供するショップは、第3四半期を通じて人気を集めました。これらのショップは、詐欺を犯そうとしているサイバー犯罪者に、RDPアクセスや社会保障番号、銀行口座取引情報からオンラインアカウントへのアクセス情報までを売るワンストップサービスを提供しています。

 ・サービスとしてのランサムウェア(Ransomware-as-a-Service): ランサムウェアによる攻撃は引き続き頻繁に行われ、前年同期以来45%増となっています。闇フォーラムではGandcrabなど主要なRaaSファミリーへの関心が根強くあります。GandCrabランサムウェアとファイル暗号化サービス NTCryptの間の連携が第3四半期に見られるなど、重要なサービス間の連携が増加した一方で、新規のランサムウェアファミリー数は、2017年第4四半期以降減少しました。連携やアフィリエイト構造によって、サイバー犯罪者に提供するサービスのレベルが上がり感染率を高めました。

2018年第3四半期の脅威動向

・仮想通貨マイニングとIoT :カメラやビデオレコーダのようなIoTデバイスは、デスクトップやラップトップコンピューターなどと比べCPUパワーが不足しているため、これまで仮想通貨マイニングに悪用されることはほとんどありませんでした。ところが、サイバー犯罪者はIoTデバイスが普及し、またセキュリティ対策が甘いことに気づき、数千のデバイスを利用してマイニングできるスーパーコンピューターをつくり出すことに取り組み始めました。IoTデバイスをターゲットとする新たなマルウェアは72%増加し、合計サンプル数は過去1年間で203%増となりました。新たな仮想通貨マイニングマルウェアは約55%増加し、合計サンプル数は過去1年間で4,467%の伸びとなりました。

・ファイルレス マルウェア:新たなJavaScriptマルウェアは45%増加し、新たなPowerShellは24%の増加となりました。

・セキュリティインシデント:McAfee Labsの調べでは、セキュリティインシデントは公開ベースで215件となり、第2四半期から12%の減少となりました。発生場所は、南北アメリカが44%、続いて欧州が17%、アジア太平洋が13%でした。

・特定の産業が攻撃対象に:金融機関をターゲットとするインシデントは公表ベースで20%増加しました。 電子メールの基本的なセキュリティ機能をかいくぐろうと珍しいファイルタイプを悪用したスパム攻撃の増加が確認されました。また、金融機関をターゲットとしたマルウェアで、2要素認証を回避するためにWebインジェクションにおいて2要素運用が行なわれていることも確認されています。近年の金融機関側のセキュリティ強化に向けた幅広い取り組みを受けて、これらの手法が使われるようになっています。医療機関をターゲットとしたインシデントは低迷し、公的機関は2%減少し、教育機関は14%減少となりました。

・地域別動向:マカフィーのリサーチャーは、第3四半期に ブラジルをターゲットとした新たなマルウェアファミリーCamuBotを発見しました。CamuBotはターゲットとする金融機関が要求するセキュリティモジュールであるかのように偽装しています。ブラジルでのサイバー犯罪グループは自国民をターゲットとする活動が活発ですが、過去の攻撃手法は単純でした。CamuBotは、ブラジルのサイバー犯罪者たちが他の犯罪者から学んだようで、マルウェアはより洗練され、他の大陸で見られるマルウェアに匹敵するようになっています。南北アメリカをターゲットとしたインシデントは18%減少し、アジア太平洋も22%減少、欧州は38%の増加となりました。

・攻撃経路:攻撃経路はマルウェアが最も多く、続いてアカウントの乗っ取り、漏洩、不正アクセス、および脆弱性が続いています。

・ランサムウェア:第3四半期に最も活動的だったファミリーの1つはGandCrabで、身代金の支払い要求額は1000米ドルから2400米ドルに吊り上がりました。多くのサイバー攻撃の配信手段であるエクスプロイトキットは脆弱性やランサムウェアをサポートするようになりました。過去1年間で、新たなランサムウェアサンプル数は10%、合計サンプル数は45%増加しました。

・モバイルマルウェア:新たなモバイルマルウェアは24%減少しました。下降傾向にあるにもかかわらず、いくつかの特殊なモバイル脅威が確認されており、その中にはFortniteの“チート”アプリや偽出会い系アプリがありました。イスラエルの国防軍の職員らをターゲットとした攻撃では、出会い系アプリを通じてデバイスの位置情報、連絡先、カメラにアクセスし、電話の通話を傍受する機能もありました。

・マルウェア:新たなマルウェアサンプル数は53%増、合計サンプル数は過去1年間で34%の増加となりました。

・Mac マルウェア:新たなMac OSマルウェアは9%増で、合計サンプル数は過去1年間で51%の増加となりました。

・マクロ マルウェア:新たなマクロマルウェアは32%増で、合計サンプル数は過去1年間で24%の増加となりました。

・スパム攻撃:スパムボットネットによるトラフィックの53%は、「セクストーション(性的脅迫)」スパムを生み出す最大のスパム製造ボットネットGamutによるもので、被害者のサイト閲覧履歴をばらすと脅迫して金銭を要求する手口です。

『McAfee Labs Threats Report: December 2018(McAfee Labs 脅威レポート:2018年12月)』のレポート全文(英語)は以下からダウンロードが可能です。
https://www.mcafee.com/enterprise/en-us/assets/reports/rp-quarterly-threats-dec-2018.pdf

McAfee Labs について

 McAfee Labsとマカフィーの Advanced Threat Research(ATR)チームは、脅威調査、脅威インテリジェンス、サイバー セキュリティに関する世界有数の情報ソースです。McAfee Advanced Threat Research(ATR)チームは、ファイル、Web、ネットワークなど、主要な脅威ポイントに配置された数億のセンサーから脅威データを収集しています。そして、それら脅威ポイントから収集された脅威インテリジェンス、重要な分析結果、専門家としての見解をリアルタイムで配信し、より優れた保護とリスクの軽減に取り組んでいます。さらに、McAfee Labs は、核となる脅威検出テクノロジーを開発し、それらを業界で最も包括的な自社のセキュリティ製品群に統合しています。

マカフィーについて

 マカフィーはデバイスからクラウドまでを保護するサイバーセキュリティ企業です。業界、製品、組織、そして個人の垣根を越えて共に力を合わせることで実現するより安全な世界を目指し、マカフィーは企業、そして個人向けのセキュリティ ソリューションを提供しています。詳細はhttps://www.mcafee.com/jp/をご覧ください。

※本記事はアスキーとマカフィーのコラボレーションサイト「せきゅラボ」への掲載用に過去のMcAfee Blogの人気エントリーやプレスリリースなどを編集して紹介する記事です。


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