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「お互いに罵り合って、ぜんぜん違う方向に行くのが一番最悪」

せやろがいおじさん「人を傷つけない笑い」を追求する理由

2018年11月13日 10時00分更新

文● 上代瑠偉

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せやろがいおじさん。

 すべては、1本の動画から始まった──。

 綺麗な海をバックに、眼鏡をかけたおじさんが「せやろがい!」と叫ぶ動画を観たことのある方は多いだろう。彼の名前は「せやろがいおじさん」。真っ赤なタオルを額にまとい、真っ赤なふんどしを身につけている。

 彼はときにダウンタウンの松本人志さんの「死んだら負け」発言にもの申し、ときに東京五輪の〝エゲツない〟ボランティア募集に怒り、ときに『新潮45』の「そんなにおかしいか杉田水脈論文」にブチ切れる。一方で、身近な問題にも言及する。ハゲを馬鹿にする価値観に疑問を投げかけ、人の体をいじって笑い取る人を徹底的に論破してみせる。

 彼の正体は「リップサービス」の榎森 耕助(えもり こうすけ)さんというお笑い芸人。担当はツッコミで、沖縄の芸能事務所オリジン・コーポレーションに所属する。従来のお笑い芸人のイメージを覆すように、彼はせやろがいおじさんでは、社会問題に真っ正面から切り込み、「人を傷つけない」笑いを追求している。〝SNS時代の新しい芸人〟に位置づけられるだろう。筆者はその点に興味を持った。

 前回は、東京五輪ボランティア募集の〝まさかの結果〟を導入として、社会問題に言及するときのこだわり、松本人志さんの「死んだら負け」発言の背景にあった友人の死などを語ってくれた。

 今回は、その後編。『新潮45』の「そんなにおかしいか杉田水脈論文」への怒りを導入として、「人を傷つけない」笑いを追求するワケ、動画を撮るなかで浮かんできた課題、今後の目標などを語ってくれた。

(次ページでは「『新潮45』動画は「本当にやって良かった」」)

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