垂直同期を無効にしてゲームをプレーしていると、急に視線を左右に振った際、画面にチラつきが発生する「ティアリング」が気になっている人は少なくないはずだ。それならばと、垂直同期を有効に変えると、今度は画面のカクツキ、いわゆる「スタッタリング」が起こる場合がある。とくにハイエンドなGPUを使っているコアなゲーマーほど、こういった現象を目にする機会が多く、わずらわしく思っているのではないだろうか。
ティアリングやスタッタリングの対策として有効なのが、NVIDIAの「G-Sync」やAMDの「FreeSync」といったディスプレー同期技術である。今回紹介するエイサーの27型ワイドディスプレー「XB271HUbmiprz」は、G-Syncに対応した製品で、同社のゲーミング向けブランドとして展開している「Predator」シリーズに属するモデルとなる。では、XB271HUbmiprzはどのようなディスプレーなのか詳しく見ていきたい。
チルトやスイベルなど細かな調節機能
OSDメニューに3つのゲームモードを搭載
XB271HUbmiprzの液晶パネルには、IPS方式で反射のないノングレアタイプを採用し、解像度は2560×1440ドットまで対応する。中間階調応答速度は4msと高速で、リフレッシュレートはオーバークロック時に165Hzに対応する。リフレッシュレート165Hzを利用するには、OSDメニューの「オーバークロック」という項目から有効に変更し、最大リフレッシュを165に設定する。
なお、XB271HUbmiprzでは映像入力インターフェースとして、HDMI 1.4とDisplayPort 1.2の2系統が用意されているのだが、165Hzに対応するのはDisplayPort側だけで、HDMI側は60Hzまでしかサポートしない点は注意してほしい。また、オーバークロックを適用しない通常時は、DisplayPort側がサポートするリフレッシュレートは144Hzまでとなる。
さらに、XB271HUbmiprzではG-Syncをサポートしているが、こちらもDisplayPort側のみとなる点は覚えておきたい。なお、デスクトップがGeForceのビデオカードを搭載している場合、本製品と接続するとNVIDIAコントロールパネルに「G-Syncの設定」という項目がという項目が表示され、G-Syncに関する設定変更が可能となる。
XB271HUbmiprzのコントラスト比は1000:1で、輝度は350cd/m2と画面は比較的明るく、白黒がかなりハッキリ付いている印象。画面表示もきめ細かい。若干明るすぎて目が疲れるような懸念が残るが、眼精疲労の原因といわれるブルーライトを低減する「BluelightShield」や、チラつきを抑える「Flickerless Technology」といった機能が用意されているので、心配はない。
デフォルト設定が暖色のため、若干黄色み掛かった色合いだ。なお、視野角は水平と垂直ともに178度と広く、正対する位置からずれて画面を見ても、色むらはなかった。
外観は黒一色でまとめられ、中央下部にPREDATORロゴをプリント。落ちついた中にスタンドの赤色などが映えるデザイン。さらに、フレームは実測で3mmほどしかなく、余白を加えても幅は7㎜と非常に薄い。そのため、本製品を並べてマルチディスプレー環境でゲームをプレーする場合でも、余白に違和感を覚えないはずだ。
さらに、最大で150mmの高さ調節が可能なほか、チルト調節は上35度下5度、左右のスイベル調節は30度ずつそれぞれ用意されている。時計回りと反時計回りのそれぞれ90度回転させるピボット機能も利用可能だ。実際に使ってみると、これらの調節機能は非常に使い勝手がよく、画面を自分の目線に簡単に合わせられる。
OSDメニューの操作は筐体右下に用意された5つのボタンで可能。前面からアクセスできるため、操作性は良好だ。OSDには「Empowering Technology」により、「ムービー」「グラフィック」「標準」「ECO」「ユーザー」と用途に合わせた5つの動作モードが用意されているのだが、このXB271HUbmiprzがユニークなのは、それとは別に3つのゲームモードを有している点だ。
これら3つのゲームモードは設定1~3として用意されており、設定1ではブライトネスが27に抑えられ、FPS表示が有効になるといったやや暗めの設定内容。設定2では、ブライトネスが50に上昇し、オーバードライブが有効、つまり応答速度を高速化することが可能となる。そして、設定3は設定2からブライトネスが再び45に下がるが、カラー設定が寒色、つまり青みの色相が強い内容となる。ユーザーはプレーするゲームに合わせて設定を選択することになるが、内容は自由に変更し、保存することも可能になっている。そのほか、暗いシーンの視認性を高める「Dark Boost」やFPSゲームの照準を画面中央に表示するといったゲーミング向けモデルらしい機能も用意されている。
また、XB271HUbmiprzでは4ポートのUSB 3.0(Type-A)端子を装備。キーボードやマウスといった周辺機器をXB271HUbmiprzに接続、つまりUSBハブとして利用すれば、デスクトップから少し離れた場所であっても、ケーブルが届くかどうかを心配する必要もないというわけだ。
高フレームレートを活かせる製品
価格は8万3000円前後だが十分魅力的
XB271HUbmiprzの実売価格は8万3000円前後と、27型液晶ディスプレイとしてはゲーミング向けモデルらしく比較的高価。しかし、リフレッシュレート165Hzに対応している点や、G-Syncのサポートは、ゲーマーにとっては魅力的な機能であり、これらの機能を考慮すると、かなりお買い得感は高い。
とくにFPSゲーマーにとっては、より有利にゲームを運べるため、高フレームレートを活かせるディスプレーがほしいところ。そういったニーズに応えられるモデルとして、XB271HUbmiprzはおすすめの製品だ。
試用機の主なスペック | |
---|---|
製品名 | XB271HUbmiprz |
ディスプレーサイズ | 27型ワイド(IPSパネル、ノングレア) |
最大解像度 | 2560×1440ドット(WQHD)、16:9 |
表示色 | 約1670万色 |
色再現性 | 100%sRGB |
可視角度 | 水平178度/垂直178度 |
輝度 | 350cd/㎡ |
コントラスト比 | 1000:1 |
応答速度 | 4ms(GTG) |
インターフェース | USB 3.0端子×4、HDMI 1.4端子、DisplayPort 1.2端子、ヘッドフォン端子 |
角度・高さ調整 | チルト角:上35度/下5度、スイベル機能:右30度/左30度、高さ調整機能:最大150mm、ピボット機能:90度時計回り/90度反時計回り |
サイズ | およそ幅612×奥行268×高さ401~551mm |