さとうなおきの「週刊アジュール」 第64回
Ethereum on AzureのPoAモデルが機能拡張
Intel SGX搭載の新しいAzure VM「DCシリーズ」が利用可能に
2018年10月19日 13時10分更新
こんにちは、さとうなおきです。「週刊アジュール」では、2018年10月7日~13日の1週間に発表されたMicrosoft Azureの新機能から、筆者の独断と偏見で選んだトピックについて紹介していきます。
Azure Confidential Computing:DCシリーズVM、Open Enclave SDK
「Azure Confidential Computing」は、TEE(信頼できる実行環境)を利用して使用中のデータを保護できる、新しいデータセキュリティ機能です。
5月のBuild 2018カンファレンスで、Azure Confidential Computingのプライベートプレビューが始まっていました。
9月のIgnite 2018カンファレンスで、Intel SGXを備えた、Azure Virtual Machinesの新しい「DCシリーズ」のプレビューが、数週間以内に始まる予定であることが発表されていました。
今回、予定通り、DCシリーズVMのパブリックプレビューが始まりました。
また、「Open Enclave SDK」がオープンソースになりました。Open Enclave SDKの現行バージョン(v0.4)は、TEEとしてIntel SGXをサポートし、C/C++をサポートしています。
Ethereum on Azure:Proof-of-Authority
「Ethereum on Azure」は、Azure上にEthereumネットワークをデプロイするためのテンプレートを提供します。
8月に、Ethereum on Azureで、これまでサポートされていたProof-of-Work(PoW)モデルに加えて、Proof-of-Authority(PoA)モデルがサポートされていました。
今回、Ethereum on AzureのProof-of-Authority(PoA)モデルで、次の新機能がサポートされました。
- Governance DAppのユーザーエクスペリエンス改善
- WebSocketのサポート
- BlockScoutのサポート
- ジャストインタイムVMアクセス、Azure Backupのサポート
- VMサイズの選択
- 構成オプションの追加
- デプロイの信頼性の改善
- ブログポスト「Improved governance experience with Ethereum Proof-of-Authority 1.2」
- ドキュメント
Azure Migrate:継続的な検出、既存Log Analyticsワークスペース
Azure Migrateは、オンプレミスのVMware環境のAzureへの移行を支援する無料サービスです。オンプレミス環境の検出、アセスメント、依存関係のマッピング、VMのサイジングなどが可能です。そして、Azure Site Recoveryを使ったAzure Virtual Machinesへの移行、Azure Database Migration Serviceを使ったAzure SQL Databaseなどを行うことができます。
Azure Migrateでは、オンプレミス環境を検出するために使用される軽量アプライアンスであるコレクター(Collector)が使われます。コレクターでは、これまでサポートされていた「1回限りの検出」に加えて、今回、「継続的な検出」がサポートされました。「継続的な検出」では、vCenter Serverの統計設定を設定する必要がなく、リアルタイムの使用状況データを収集できます。
Azure Migrateでは、Azure Monitor(Azure Log Analytics)のService Mapを使って、マシン間の依存関係を視覚化できます。これまでは、Azure Migrateプロジェクトに新規のLog Analyticsワークスペースを関連付けることができました。今回、既存のLog Analyticsワークスペースを関連付けることもできるようになりました。
Azure API Management:10月11日のアップデート
Azure API Managementは、既存のAPIに対するAPIゲートウェイのサービスです。
9月24日のアップデートに続いて、Azure API Managementの10月11日のアップデートがリリースされました。いくつかの新機能や修正があります。
Azure IoT Edge:1.0.3
Azure IoT Edgeは、分析やビジネスロジックをクラウド側ではなくエッジ(デバイス)側で実行できるようにするサービスです。
9月のIgnite 2018カンファレンスでリリースされていた1.0.2に続いて、Azure IoT Edge 1.0.3がリリースされました。セキュリティ脆弱性に対する修正が含まれています。
Azure Portal:10月のアップデート
Azure Portalは、WebベースのAzureの管理コンソールです。
Azure Portalの10月のアップデートがまとめられています。9月のIgnite 2018カンファレンスで発表されていたアップデートも含め、多数のアップデートがあります。
Open Invention Network
10月のLOT Networkへの加入に続いて、Microsoftが、Open Invention Network(OIN)に加入しました。OINは、オープンソースソフトウェアを特許関連のリスクから保護することを目的としたコミュニティです。
それでは、また来週。
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