ほとんどが日常生活で見るクルマの最大5倍以上のスピード、つまり300km/hで走るレーシングカーのためのアスファルト舗装がされたサーキットで行なわれている「モータースポーツ」。それは、ドライバーが気持ちよく走らせるため、何より彼らの安全を守るために設計されています。
中国の特別行政区・マカオの市街地のサーキット「ギア・サーキット」は峠道のようなコースで、普段は住民の「大動脈」としてたくさんのクルマが走っています。300km/hを超えるクルマが走ることなんてほとんど配慮されていない、建物の隙間を縫うように作られた難攻不落の公道サーキットなのです。
PC向けのレーシングシミュレーター「Raceroom Racing Experience」でギア・サーキットを走った映像をご覧ください。
このように、危険なコースほど人々を引きつける魅力を持っており、今回で65回目という歴史あるアジアを代表するモータースポーツイベントを、初の海外取材となった筆者が追っていきます。
とにかくレースカーと近い!
通常のサーキットではマシンと人を仕切る「バリア」や砂を敷き詰めた「グラベル」をしっかり設けています。当然ながら安全の確保です。ところが「ギア・サーキット」は、普段は公道ということもあって普通のガードレールより高く作ってあるバリア一枚だけが、猛スピードで走るマシンと撮影するカメラマンを隔てているだけです。なので写真のように目の前にマシンが突っ込んでくることも珍しくもないのです。
このようなアクシデントが多いだけに、レース進行を支えるオフィシャルには素早い対応が求められます。スイッチで直前のコーナーから警告ランプを点灯させ、旗を振りながらクルマの撤去とドライバーの安全確認、コース清掃をものの数分で行ない、あっという間にレースを再開します。