CPUがAtomからコアi5になって速度も2倍速に
Yoga Book C930 試用レポート = E-Inkのキーボードは未来なのだっ!!
2018年10月18日 16時00分更新
レノボはIFA2018の開幕にあわせ、8月30日に製品発表会を開催し、ThinkPadとともに、2画面ノートの「Yoga Book C930」を発表した.
日本では10月4日に新しいYogaシリーズを一気に発表.Yoga Bookとともに、フラッグシップモデルの「Yoga C930」(名前が紛らわしいですね)、そしてYogaといいながらYogaらない(つまり液晶が180度以上まわらない)クラムシェルの「Yoga S730」、そしてそして、CPUにクァルコムのSnapdragon850を搭載したWindowsマシン「Yoga C630」である.この中でも未来感のあるYogaBookが届いたので試用してみよう.
E-Inkでキーボードが変幻自在
ちょっと未来のマシンな感じだ
初代Yoga Bookは2016年10月に発売となったハイブリットタブレットで、キーボードがタッチパネルの平面で薄くて軽いのが特徴で、同じボディでAndroid版とWindows10版の2モデルがあるのも注目された.液晶は10.1インチのフルHDでCPUはAtom x5、メモリ4GB、SSD64GBとミニマムなスペックだった.
新しいYoga Book C930は、6月に台北Computexで公開したもので、従来のYogaBookの平面キーボード側に「E-Inkスクリーン」つまり電子ペーパーを仕込んだものだ.
タッチはもちろんペン入力も可能で、キーボードを表示して文字入力できるほか、手書き文字やスケッチを描くことができ、また電子ペーパーとして書類や雑誌、コミックを読むのに使うこともできる.
キーボードは3Dっぽいグラフィックス表示で、押すと画像が「押された感じに」変化するほか、ハプティック&サウンドで「押した感」を表現する.実際に文字を入力してみたが、確かに前のYogaBook(持っていますよもちろん)に比べると、「押した」感が高い.とはいえ、タッチパネルなので、キーの上に指を置いた状態から、押し込んでキーを押すということはできない.なので、ブラインドタッチするためには修行が必要そうである.
初代YogaBookもタイピングの学習機能はあったが、今回はタイピングのクセをみて、キーの位置まで変化する.表示装置となったので可能となった機能というわけだ.
キーボードのデザインはカタチと色で合計4種類から選べるほか、もちろんどの国の配列にも変更できる.これはE-Inkにしたからこその機能でおもしろい.世界のキーボードを体験することができるのだ.
このあたりの設定は、E-Ink側の右上の設定アイコンを押しておこなう.もちろんビジュアルでメニューが表示されて、それを選択するだけだ.
このE-Inkスクリーンは、PCとは独立したデバイスとして設計されており、専用のコントローラーとファームウェアが投入されている.つまりWindowsが描画、感知しているのではなく、USBでぶらさがったデバイスとして機能しているのだ.
なので、たとえばキーボードの配列を変更したあと、Windowsのキーボードの設定でその言語に変更しなければキーボードどおりの文字は入力されない.そこのところは、デスクトップマシンで日本語キーボードを抜いて、US配列キーボードを差したときと同じで、ユーザーが指定しなければいけないのだ.
CPUの速度は劇的に向上
「ノックでひら~く」で未来を感じてしまった
メインの液晶は10.8インチでQHD(2560×1600ドット)で、こちらもタッチ&ペン入力が可能となった.画面の比率が16対10なのもグッドである.
E-Inkも10.8インチだが16対9で解像度はフルHD(1920×1080ドット)と少し落ちる.両方ともに「広額縁」で、ちょっと今風ではない.
CPUはコアi5-7Y54またはm3-7Y30で、メモリは4GB、SSDは最高256GBでマイクロSDカードスロットも内蔵する.
バッテリー容量は35.8Whでスタンバイで16日、通常利用で8.6時間動作する.
初代と同様に、無線LANモデルと4GのLTEモデムを内蔵したモデルがある.インターフェースはUSB3.1のタイプC×2.初代ではあったAndroid版はなくなり、OSはWindowsのみである.
サイズは260.4×179.4×9.9ミリ、重量はWiFiモデルが775グラムでLTEモデルが799グラムとちょっと重い.
厚みが1センチを切ったことで採用された(?)のが、「ノックでひら~く機能」だ(レノボ的には「Knock to Open」です).閉じたYogaBookの天板を、「コンコン」と2回ノックすると、フタがカパッと1センチほど開く.形状記憶合金と磁石を組み合わせて実現した機能だそうで、これは試用機が来たとたんに編集部でみんなで楽しんだ.これもちょっと未来な感じなのだ.
ベンチマークテストは上々
メモリは8GB欲しいところ
というわけで気になるベンチマークテストです.今回の試用機はCPUがi5-7Y54の2コア4スレッドで、メモリはもちろん4GBです.7GですがTDPは4.5Wの超省エネモデルでベースクロックは1.2GHzですが、最高で3.2GHzまで回ります.
まずはおなじみのシネベンチですがCPUは261、OpenGLは38と出ました.手元にある先代YogaBookはAtom x5-Z8550で1.44GHz/2.4GHzですが、119と14でしたから、CPUは2.2倍、OpenGLは2.7倍速くなっていることになります.ちなみにちょっと前まで普通のモバイルノートで使われていた7Gのi5-7200Uは310と44でしたから、それを少し弱めたくらいです.
さて、3DMarkではどうかというと、FireStrikeでは819が出ました.これもi5-7200Uでの結果の90%に達していますし、先代のAtomでの292の約3倍速くなっています.
実際にブラウザーでネットを回ったり、動画を鑑賞するなら、対Atom的にも、CPUの速度は十分となっております.ただし、大きめのアプリを起動すると、やはりメモリ4GBが重しになっていて、スワップで待たされる感じは否めません.
SSDはクリスタル・ディスクマークのシーケンシャルマルチでリード1574、ライト817とPCIeとしては標準的な速度が出ました.
この極薄ボディなので、バッテリーは35.8Whしか積んでいませんが、電源モードを最も高いパフォーマンスにして液晶輝度最高で、BBenchで2時間52分動作しました.りっぱな駆動時間です.
充電のほうは、動作しながらでは50%になるまでに85分もかかりました.同梱のACアダプターがスマホ用クラスの小型なので仕方がないでしょう.
ちなみに、ベンチを回したときも、バッテリーを充電するときも、温かくなるのはE-Ink側でした.ファンレスですが、熱いと感じるまではいかない設計です.メインボードもバッテリーもE-Ink側に入っているようです.
お値段がちょっとHighだが
未来を買ってみよう
初代YogaBookは、その薄さと軽さと安さでみんなが購入した.スペックによるが5~8万円だったのだが、今回は13万円である.確かに2倍速くなっているが、お値段はもう少しお求めやすくしていただきたかった.深夜セールと週末セールを狙うのだ.
一部のマニア(初代も買った人たち)からは、あのままで、液晶側にペン入力機能をつけて、CPUを最新にして、メモリを8GBにしていただくだけで結構なんですがという声が聞こえてくる.値段を考えるとそのとおりだが、この電子ペーパーを使ったインターフェースは未来的で好きなのである.ぜひ、購入して、キーボード学習をとことん効かせてみたいのだ.このマシンで超高速タッチタイプができれば未来な人な感じなのである.