JVCケンウッドは10月18日、振動板に木を使った「WOODシリーズ」の新製品「HA-FW10000」を発表した。90周年をきっかけに、昨年復活した「ビクターブランド」の製品として展開する。価格はオープンプライスで、11月上旬の発売。実売価格は18万円(税抜)程度になる見込みだ。
WOODシリーズの最上位モデル
WOODシリーズのイヤホンは「HP-FX500」以来、10年の歴史を持つ。HA-FW10000はそのフラッグシップ機だ。木製のハウジングに多層の漆塗りを施すなど、高い質感を出すとともに、「原音探求」というブランドコンセプトに基づいた高音質に取り組んでいる。
直径11mmの振動板は、カバ材から50μmの薄さで削り出したウッドドームをカーボンコーティングしたPET素材に貼り付けたハイブリッド構造。これをチタン製のドライバーケースに収納。空気が動きやすくする「エアダンパー」や強力な磁気回路と組み合わせている。
ノズル部はステンレス製で、ユニット前面に不要な音を拡散するドットを置いた「アコースティックピュリファイアー」という構造になっている。イヤーピースは新素材のSMP iFitを使い、内側にスパイラル配列の突起(ディンプル)を付けて、内部の反射音を拡散減衰させている(スパイラルドット+ イヤーピース)。
このあたりは「不要な振動が音に与える悪影響」を最小限に抑えるための仕組みと言っていいだろう。
こだわりの外装に関しては、ハウジング素材がカエデ。無垢材から精密に切り出し加工をしつつ、さらに硬度が高い、漆塗りで仕上げている。さらに、吸音材には阿波和紙と絹を使うなど、天然素材を効果的に活用した響きの良さを追究している。ちなみに絹は無酸素銅を利用したケーブルにも使われている。
この響きを生かすために、MMCX端子部はハウジングから分離した。ステンレス製のポッドに収納しており、木材部分と切り離すことで、ハウジングの形状を0.1mm単位で細かく調整することが可能になったという。
結果としてL字型の特徴ある形状となった。デザインコンセプトとしては管楽器をイメージしている。なお、よく見ると「HIS MASTER VIOCE」のビクターマークが入っている。レーザー刻印したものだという。
本体は約21.5gあり、手に持つと重いのだが、装着感はよく、耳に収まってしまえば重量をあまり感じない。周波数特性は6Hz~52kHzとワイドレンジ。インピーダンスは16Ω、出力音圧レベルは102dB/mWとなっている。