英国で(も)携帯電話料金の問題が話題だ。一部のキャリアに対し、支払済みの端末代を消費者に課金し続けているのでは? という指摘が出ているのだ。
以前からわかりやすさを求めてきた英国当局は、ついに規制に乗り出す意向。わかりにくい料金体系が明確になるのか期待される。
端末代と通信の利用料がごっちゃになった料金
24ヵ月の利用期間終了後も同じ料金を払わせ続ける
英国の消費者団体であるCitizen Advice(https://www.citizensadvice.org.uk/)は9月中旬、同国のキャリア3社が、端末代金が含まれたプランを契約する消費者に対し、代金の支払いが完了した後も料金を上積みしたまま課金していると指摘した。
これについては日本とは若干異なる部分があるので、説明が必要となる。
英国でも顧客の多くが、新規契約/既存顧客の買い換えともに、端末購入と同時に24ヵ月(18ヵ月のこともある)の利用期間が設定されたプランを申し込む。ここにはデータ通信や通話、さらにローミング、セキュリティーや保証、コンテンツサービスなどがバンドルされているケースもある。
一例を挙げると、VodafoneでiPhone XS(64GBモデル)を購入した場合、月26GBのデータがセットで、頭金が49ポンド(約7000円)、毎月の支払いは66ポンド(約9800円)となる。
この月66ポンドの部分がグレーで、通信サービスの利用料と端末の分割代金がごっちゃになっている。最初の契約期間の24ヵ月が終わると、解約や機種変更も可能なのだが、多くの人は同じ料金をその後も支払い続けて利用している。
つまり24ヵ月後には(ごっちゃになっているとは言え)端末代の支払いが終了しているはずなのだから、料金が安くなるべきだという指摘なわけだ(Vodafoneのこのプランはあくまでも例。実際は24ヵ月目以降の料金は提示されておらず、iPhone XSの販売も開始されたばかりなので、それ以降もオーバーチャージになるのかは不明)。
Citizen Adviceによると英国で約400万人が、端末代金を不当に高く払っているとする。その額を合計すると4億9000万ポンド(約730億円)に及ぶと計算している。英国のMNOはEE、O2、Three、Vodafoneの4社で、O2を除く3キャリアで同様の行為が行なわれているという。
最低契約期間終了後は自動的に値下げすべき
では、どれぐらい不当に高く払っているのか。平均で月22ポンド(約3200円)というのがCitizen Adviceの計算だ。iPhoneやGalaxyの高級機種になると、最高で月38ポンド(約5600円)になるという。傾向としては、高齢の消費者がオーバーチャージされているケースが多く、平均で合計264ポンド(約4万円)も余計に払っているという。
契約期間を過ぎても使用する消費者は3人に1人、平均してその後6ヵ月とどまるという。調査では3キャリアが提供する12機種の端末料金を含む契約、SIMオンリーの料金を比較した結果、4分の3が、端末を単体で購入するより、端末代込みの契約の方が割高になるとしている。
こうしたなか、英国の通信規制当局のOfcomも動いた。Ofcomでは端末料金のオーバーチャージは150万人と前述よりは少ない見積もりになっているものの、問題視する姿勢は同じ。キャリアに対し料金の内訳を明確にするよう呼びかけてきたが十分ではないとし、規制化の意向を示している。
具体的には、契約期間が終了することを伝えることを義務化する、最低契約期間終了後に公正な料金を自動導入することを義務付ける、の2つを検討しているようだ。
試しにThreeのチャットサービスに「iPhone XSの購入を考えているが、24回支払った後はどうなるの?」と聞いてみると、「ダイレクトセールスに電話で問い合わせてほしい」との返答。ダイレクトサービスの担当者は「わからない」との答えだった。
なお、今回唯一指摘されていないのがO2だが、プラン内容は確かにわかりやすい。端末とセットでのプランでは、初期料金でいくら払いたいのか、何回に分割したいのかを1ヵ月単位で3~36ヵ月で消費者が選べ、同時にデータの量を選ぶ。どの組み合わせになっても端末代金は同じになるようになっている。Vodafoneでは表示されなかった内訳もちゃんと表示される。

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