音楽を楽しむための機器はこの20年で完全に変わったが
一方でテレビは薄型化されたもののまだまだ健在
カセットテープのウォークマンから、録再機能付きMDへ。6連奏CDのミニコンポから光デジタルケーブルでポータブルMDに接続し、デジタルで好きな曲を72分までの長さでセレクトして、通学中に楽しむ。それは筆者の1995年前後における、音楽の楽しみ方の原体験です。
スマホ以降の世代の人にとっては、「カセットテープ」「ウォークマン」「MD」「CD」「ミニコンポ」「光デジタルケーブル」「72分」という言葉は、全部完全に“謎”なんじゃないかと思います。
実際筆者も、ここ15年ほどはこれらのモノに触れる事は一切なくなりました。CDはさすがに2011年までは手元にありましたが、米国に引っ越すにあたり、すべて処分してしまいましたし。
音楽は流通・持ち運びがデジタル化し、所有ではなく、聞き放題の権利をサブスクリプションで契約する形へと変化しました。ケーブルがついたイヤホンはいまだにメジャーですが、それも怪しいところです。
音楽の楽しみ方がこれだけ劇的に変わっていながら、意外なほどに、テレビの変化はさほど進んでいないように思います。もちろん、映像ソースは地上波やケーブル、DVDやBlu-rayといったディスクメディアから、インターネット経由へと移行していますが、まだまだテレビという道具自体はまだまだ健在です。
そういう意味では、テレビの牙城はまだ崩せておらず、緩やかながらきちんと高画質化などの進化を遂げながら、そのポジションを維持していることが分かります。
スマートフォンとともにテレビの売上高も伸びている
Consumer Technology Associationの2018年7月の調査は、テクノロジー製品の市場規模の予測を公開しています。
この中ではスマートフォンが最大規模で、売上高780億ドルは昨年から13%増。出荷台数は1%増であることから、iPhone Xのような高付加価値モデルへの移行によって、販売台数が横ばいながら売上高は大きく伸ばしていることがわかります。
この結果はさほど驚きがあったわけではありませんでしたが、注目が集まる新しいテクノロジーの最有力にテレビが入っている点は意外でした。
Consumer Technology Associationは、スマートスピーカー、スマートホーム、メッシュWi-Fiネットワーク、ドローン、ウェアラブルの5つのカテゴリを、注目株として上げていますが、最新のテレビはこれらよりも大きな市場規模で成長しているというのです。
4K UHDテレビの市場規模は143億ドルで、前年から7%上昇したそうです。続いて、ウェアラブルは64億ドルで前年比10%増、スマートホーム製品は46億ドルで36%増、スマートスピーカーは32億ドルで64%増という予測となっています。
テレビって、米国ではやはりまだまだ重要な、家庭の中心的な存在なのですね。
大きい画面なのに手頃感が人気の要因?
金額ベースではすでにスマートフォンが大きな勢力となっている一方で、高解像度化したテレビの普及に注目が集まっている点は少し意外に感じました。
2016年頃から、50インチの4Kテレビは500ドル程度で手に入れることができていますが、最近は300ドル台前半に値段が下がってきています。そう考えると、5インチのスマートフォンに500~1000ドル出している一方で、50インチの4Kテレビは400ドルで手に入るというわけです。
もちろん、テレビはスマートスピーカーと同じジレンマ、すなわち家にいる間しか利用できないという問題があります。生活時間を考えれば、四六時中利用できるスマートフォンにより多くのコストを割くことは理にかなっているのですが、それでも大きく高画質なテレビの価格に手頃感があるな、と思います。
しかも、買ってきてすぐにコンテンツが楽しめるよう、テレビだけでNetflixやHulu、Amazonといった主要ストリーミングに対応する製品がほとんどで、ゴテゴテとテレビに他のデバイスを追加する必要もありません。
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