結局のところ、日本で問題なのは
個人に時間の自由度がないこと
個人的には、五輪だからと言って、サマータイムを制度化して実施することには反対です。
競技時間を選手にとって最もパフォーマンスが高まる条件に合わせて決めて、朝早くでも夜遅くだとしても、それをいち早く発表し、選手や関係各所が周到に準備するだけの時間を用意するだけで良いのです。
いつまでもずるずるとサマータイムをやる、やらないと時間を消費することが、一番避けるべき事態だと思いました。
環境省のサマータイムに関する文書では、サマータイムを自治体や企業・団体などが導入した事例も掲載されていました。滋賀県や北海道などが地域として活用したり、日本経団連が事務局で実施したり、全日本金属産業労働組合協議会による導入で、温室効果ガス削減などの成果をアピールしています(https://www.env.go.jp/earth/ondanka/summertime/attach/pamph.pdf)。
制度として決まらなくても、一人でサマータイムを実施して、体験してみても良いかもしれません。たとえば普段は朝の7時に起きるところを6時、5時に起きてみたり、夜23時に寝るところ21時頃寝てみたり。
そうすると、仕事や余暇などで、どんな工夫をすれば良いのかも見えてきますし、涼しい時間に移動できる、明るいうちに帰ってスポーツができる、といったメリットも体験できるかもしれません。
そして、日本における最大の問題は、特に仕事において、時間の裁量が個人にあまり多くないことに気づくことになるでしょう。だからこそ制度化して、「せーの」と時計の針を進めようという議論に頼ろうとするわけです。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。米国カリフォルニア州バークレーに拠点を移し、モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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