インターネット企業を目指すというが、
売上の大半は今もハードウェア
Xiaomiがユニークな点は、同社が提供しているハードはスマートフォンだけではない点だ。フィットネスバンド、それに空気清浄機、TV、AIスピーカーなどの家電系、自転車など幅広い製品を持つ。Xiaomiは自社をどう位置付けているのか。IPOにあたって同社が提出した書類は興味深い(http://www.csrc.gov.cn/pub/zjhpublic/G00306202/201806/P020180611106685793601.pdf)。
Xiaomiは自社製品を大きく、「スマートフォン」「IoTとライフスタイル製品」「インターネットサービス」と3つに分類、このうち70.3%が、スマートフォンからきており、2のIoTとライフスタイル製品はは20.5%、3つめのインターネットサービスに至ってはわずか8.6%である。また、低価格モデルを重視しており、ハードウェアからのマージンは5%以内に収めるようにしているという。
これに、利益率の高い広告、オンラインゲームアプリなどのインターネットワービス、スマートフォンと繋がることでメリットが得られるIoT/ライフスタイル製品を組み合わせる。Xiaomiはこのビジネスモデルをトライアスロンと称している。実際、2014年の段階でXiaomiの共同創業者兼社長のLin Bin氏は、Xiaomiを「インターネット企業」と紹介している。戦略にブレはなさそうだ。
当然、インターネットサービスが重要となるが、2017年の比率であるインターネットサービスの8.6%は、実は2016年の9.6%から下がっている。増えているのはIoT/ライフスタイル製品だ。つまり依然として、9割強がハードウェアからの売り上げとなっている。また書類からは、同社が2017年の売上高を前年比100%増で増やしたこと(売上高は1146億2474万人民元、約1兆9000億円)なども明らかになった。
今後の成長の柱は、国外市場とサービスとなる。国外については米国進出の噂もあり今後の様子見と言えるが、インターネットサービスをどのようにして伸ばしていくのかについては疑問が残る。同社は調達した金額を製品開発、IoTとライフスタイル製品のエコシステム拡大、国際展開の大きく3つに投資するとしている。
筆者紹介──末岡洋子
フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている
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