映画史に名を刻んだ『ジュラシック・パーク』の続編となる「ジュラシック・ワールド」。2015年に公開され、大ヒットを記録した。そして7月13日、最新作となる『ジュラシック・ワールド/炎の王国』が公開される。
『ジュラシック・ワールド/炎の王国』の舞台は、テーマパークであり豪華リゾート地であったジュラシック・ワールドが、解き放たれた恐竜たちによって破壊された事件から3年後。恐竜たちは大自然で自由に生活を始めていた。しかし、島で火山噴火の予兆がとらえられており、恐竜たちの生死を自然にゆだねるか、救い出すかの判断を人間たちは迫られていた。
そんな中、恐竜行動学のエキスパートのオーウェン(クリス・プラッド)は、ジュラシック・ワールドの運営責任者だったクレア(ブライス・ダラス・ハワード)とともに恐竜たちを救うべく行動を開始するが、恐れていた島の大噴火が発生してしまい……。
『永遠のこどもたち』や『インポッシブル』で知られるフアン・アントニオ・バヨナ監督がメガホンをとり、前作で監督・脚本を務めたコリン・トレボロウ氏は製作総指揮と脚本を担当している。
今回、コリン・トレボロウ氏とJ・A・バヨナ監督にインタビューを実施。前回は、コリン氏のインタビューを紹介したが、今回はバヨナ監督へのインタビューを紹介する。
「ジュラシック・ワールド/炎の王国」は未来に進む物語
ノスタルジックなだけの作品にはしたくなかった
ーーまず、本作の監督を引き受けられた経緯を教えてください。
J・A・バヨナ監督(以下、バヨナ):何年も前からスティーブン・スピルバーグ監督などから一緒に仕事をしようと話をもらっていました。実は前作の『ジュラシック・ワールド』の監督のお話もきていたのですが、色々な事情で断念しました。その後、『ジュラシック・ワールド』がヒットして、次回作ができるということで合意しました。
ーー脚本を初めて読まれたときの感想をお聞かせください。
バヨナ:初めて脚本を読んだときは、物語とテーマを理解することに専念しました。あとは、火山や恐竜のシーンは大掛かりになるなと(笑)。トーンとしては、夏の楽しい家族映画かなと思いましたが、それと同時に一連の概念と自然への考え方も感じました。また、マイケル・クライトンが初めに書いた小説に忠実ではありますが、一歩先に進む話だとも思いました。
ーー『ジュラシック・パーク』が大好きとのことですが、本作の監督という役職を通じて『ジュラシック・パーク』、『ジュラシック・ワールド』について感じたことを教えてください。
バヨナ:衝撃を受けたのは、スピルバーグ監督のサスペンスの能力ですね。『ジュラシック・パーク』という大きなコンテンツの中で、ヒッチコック監督並のサスペンスができているということは衝撃です。
ーーバヨナ監督は『永遠のこどもたち』といったホラー作品を手掛けられています。本作でもホラーのように怖い演出の部分があったのですが、意図的に演出をされたのでしょうか。
バヨナ:脚本の段階でホラーのような設定があったため、(ホラーを)突き詰めたいなと思う部分はありましたので、そういう風に感じられたのかもしれないです。でも、全体的に流れているファミリーなトーンは壊さないように心掛けました。
ーー監督は撮影時に音楽をかけていたとのことですが、その狙いや実際の効果について教えて下さい。
バヨナ:セットに合わせて音楽を変えることで、みんなでトーンなどを共有できるんです。あと、音楽を流すと俳優が自由になれて、カメラの前で起こっていることに対して集中しやすくなっているように感じました。
ーーあと、音楽に関して気になったのは、前作と比べて「Theme from Jurassic Park」といった有名なBGMを使用する回数が極端に少なかったなと感じたことです。これは意識されたのでしょうか。
バヨナ:どこでどの音楽を使用するかは、かなり話し合いを重ねました。何度か昔のテーマ曲を使っていますが、すごく使用箇所を限定しています。本作のテーマ曲もあるのですが、こちらもかなり限定しました。これはノスタルジーを出すためだけに音楽を使うのはだめだと思ったからです。本作は前に進む物語ですから。
ーー逆にアニマトロニクスは多用されていたようですが。
バヨナ:そうですね。脚本を読んだ段階で遊べる(使用できる)ところがあると確認できましたので。例えば恐竜は動かず俳優が近くにいるシーンなどは、俳優が演技しやすいと思って使っています。恐竜が複雑な動きをする場合はCGを使いましたが、どちらもいい効果がでたなと思っています。
ーー最後に、『ジュラシック・ワールド/炎の王国』を楽しみにしている人へメッセージをお願いします。
バヨナ:本作は、『ジュラシック・パーク』からのレガシーを受け継ぎながら、未来のために新しい扉をひらくかつてない作品になっていると思います。楽しみにしていてください。
ーーありがとうございました。
2人のインタビューを実施して、コリン氏と共同で脚本を担当したデレク・コノリー氏が観客を楽しませるため、世の中に対して伝えたいメッセージが詰まった脚本を、バヨナ監督が見事に映像化した作品なのだなということがわかった。人間が蘇らせた恐竜が、果たしてどんな運命をたどるのか、オーウェンをはじめとした登場人物がどうなってしまうのか、ぜひ劇場で確かめてほしい。『ジュラシック・ワールド/炎の王国』は、7月13日より全国ロードショー。
作品情報
作品名:『ジュラシック・ワールド/炎の王国』
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、コリン・トレボロウ
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー、ベレン・アティエンサ
キャラクター原案:マイケル・クライトン
脚本:デレク・コノリー、コリン・トレボロウ
監督:J・A・バヨナ
キャスト:クリス・プラット、ブライス・ダラス・ハワード、B・D・ウォン、ジェームズ・クロムウェル、テッド・レヴィン、ジャスティス・スミス、ジェラルディン・チャップリン、ダニエラ・ピネダ、トビー・ジョーンズ、レイフ・スポール、ジェフ・ゴールドブラム
配給:東宝東和
© Universal Pictures
Photo:Kazuhiko Okuno