業務を変えるkintoneユーザー事例 第33回
「私にとって、システム導入は楽しいものでしかない」
ディップがkintoneで電子契約を実現!月1万5000時間の工数を削減
2018年07月05日 11時00分更新
圧倒的な工数削減!そして「簡単すぎて質問することないですよ」と言われた
導入したシステムでは、見た目には営業がクリックするボタンが変更されただけという。従来、紙で出力するために設置していた発行ボタンから、電子契約をする際のウェブ申し込みボタンに変わった。このボタンをクリックすれば、クライアントに自動でメールが送信され、クライアントが手続きを完了すると自動で完了通知が営業にも届くようになっている。
回収状況に関しても、既存の見え方が変わってしまうと、営業が混乱するという理由でほとんど同じに。電子上で手続きしているクライアントのみを赤字で表示しているだけだという。クライアント側は送られてきたメールのURLを開くと、企業情報や商品情報といった契約内容が表示されるので、下にスクロールしてメールアドレスを入力し、送信をクリックするだけと手間がかからない。
導入後は、朝礼や夕礼の後に説明会を15分程度行なったという。とはいえ、全員が説明会に参加できるわけではないので、リリース後は営業の近くに座って、いつでも質問しやすいような環境を作った。しかし、誰も質問に来なかった。
「寂しかったです。だんだん不安になってきて、なんで質問してくれないのと聞いたところ、簡単すぎて質問することないですよ、と言われたのです」(加藤氏)
それで、この営業の近くに座る取り組みは全国リリースの時にはやめてしまったという。その代わりに、リリースから2週間、1度でも営業から質問や要望があった項目は毎日Q&A表として配信した。
「導入の結果、クライアントからは忙しい中で既存の業務だけでなく、面接にも専念できましたと言われました。申し込み書の名称が『オンライン情報サービス申込書』なのですが、以前は紙で渡していたので『アナログじゃないか』と言われていたんです。それが、ウェブ申し込みを導入すると『やっとインターネット広告事業っぽくなってきた』という声もいただけるようになりました(笑)」(加藤氏)
月間で約1万5000時間を工数削減し、受注率までアップ
もちろん、社内の業務も大幅に改善された。営業スタッフの申込書回収期間が3週間から1週間と、2週間も短縮できた。工数も月間で約1万5000時間を削減できた。その分を営業活動に専念してもらうことで、受注率もアップしたそうだ。かつて紙の文字を目視でチェックしていたスタッフの工数も800時間あったが、それもまるまるカット。紙の保管コストも、年間175万円も削減することができたという。ものすごい改善効果だ。
「全社のシステム、約1万5000件の申し込み業務をウェブ化するのは大ごとです。これを私ともう1名で解決できたのも、柔軟性のあるkintoneだからだと思っています。そのkintoneに頼りながら、現場と繰り返し対話して、ユーザビリティを追求しました。私ははじめてのシステム導入になりますが、(システムの)形ができてきたら、だんだん楽しくなってきました。また、家庭への影響もなく、楽しく両立させていただきました。私にとって、システム導入は楽しいものでしかない、と感じています」(加藤氏)
初体験なのに、負荷のかかるシステム導入を楽しいと言える加藤氏もすごいが、これもkintoneのおかげか。ディップも今回の導入に満足したようで、今後は電子請求のウェブかも検討しているという。こちらももちろん、kintoneを利用するとのこと。
まだまだチャレンジは続くようだが、加藤氏の徹底的な営業目線でのシステム導入は、間違いなく大成功することだろう。
この連載の記事
-
第251回
デジタル
これからは“攻めの情シス”で行こう! 上司の一言でkintone伴走支援班は突っ走れた -
第250回
デジタル
誰にも求められてなかった「サイボウズ Officeからの引っ越し」 でも設定変更ひとつで評価は一変した -
第249回
デジタル
3000人規模の東電EPのkintone導入 現場主導を貫くためには「危機感」「勇気」「目的」 -
第248回
デジタル
入社1年目の壁を乗り越えろ!新卒社員が踏み出したkintoneマスターへの道 -
第247回
デジタル
Zoomを使わず「全国行脚」 振り返ればこれがkintone浸透の鍵だった -
第246回
デジタル
kintoneで営業報告を5.5倍に 秘訣は「共感を得る仕組み」と「人を動かす仕掛け」 -
第245回
デジタル
限界、自分たちで決めてない? 老舗海苔屋が挑んだkintoneの基幹システム -
第244回
デジタル
予算はないけど効率化はできる 山豊工建がkintoneアプリ作成で心掛けたこと -
第243回
デジタル
本社の100人全員がアプリを作れるケアパートナー kintoneをExcelのような身近な存在に -
第242回
デジタル
ヘビーなExcelをkintone化した阪急阪神不動産 迷っても「ありたい姿」があれば -
第241回
デジタル
頼られるってうれしい! やる気なかった若者がkintoneで変わった、成長した - この連載の一覧へ