アフリカで普及する中華スマホ
2017年の中国のスマホメーカーの出荷台数は、トップがおなじみ「ファーウェイ」の1億5341万台、2位が中国や東南アジアなどでシェアを拡大し、日本にも進出した「OPPO」の1億1620万台となる。
3位は、OPPOに僅差で「伝音」というメーカーが1億1250万台で続き、4位が「小米」(シャオミ)で9807万台。5位が「vivo」で9270万台、6位が「レノボ」(含モトローラ)の5238万台、7位が「ZTE」(含Nubia)の4265万台となる(旭日大数据調べ)。
中華スマホに関心を持つ人は、聞いたことがあるメーカーばかりだろう……伝音というメーカーを除けば。
IDCによる世界的なスマートフォン出荷台数と合わせれば、伝音はサムスン、アップル、ファーウェイ、OPPOに続く、第5位のスマートフォンメーカーとなっている。
ところが、中国市場では中国人にして「なんでも売っている」と言われる「淘宝網(Taobao)」を含めて一切売っておらず、入手は極めて難しい。
この謎の伝音(Transsion Holdings)というメーカーは深センにある。
そのほとんどがアフリカに出荷され、若干フランスやアラブ首長国連邦(UAE)やインドなどに出荷されている。
メーカーやOSシェアなどがわかるstatcounterによると、たとえば1億9000万人というアフリカ最大の人口を抱えるナイジェリアでは、伝音は38.71%のシェアを獲得し、続くノキア(8.72%)、サムスン(8.66%)を大きく引き離している。
伝音はTecno、Infinix、Itelの3ブランドがある。それぞれにブランドサイトが別々に用意されており、各サイトで英語の製品ラインアップを見ることができる。
各サイトのデザインは、中国メーカーのサイトでよくありがちなものだが、中国語版が用意されておらず、中国メーカーだと気づかない人も多いだろう。
そんな入手が難しい伝音のスマホだが、アフリカで2番目に人口の多いエチオピアという国を訪問した筆者の知人から「伝音のスマホを買ってきましょうか」というありがたいお声がけがあり、代わりに購入してもらった。
中国メーカーのアフリカ産スマホ「CamonCX」
なんとメイド イン エチオピア!
入手したのは写真撮影に強いTecnoブランドの「Camon CX」という5.5型ディスプレーのモデル。メタルボディーの本体サイズは幅75.8×奥行き5.6×高さ152.8mmで、重さは169g。よくある今どきのスマートフォンの大きさであり重さである。
スペックは1080×1920表示が可能な5.5型IPS液晶、CPUはMediaTek製MT6750(オクタコア 1.5Ghz)、2GBメモリー、16GBストレージ、4G対応DualSIM、microSDXCスロット、指紋センサー、3200mAhバッテリー(急速充電対応)、カメラ画素数はリア・インともに1600万画素、OSはAndroid 7.0ベースの「HiOS」というカスタムROMとなっている。
値段は5700ETB(約2万2430円)であり、日本で購入する同クラスのSIMフリースマホよりも高めだ。
パッケージは黒一色にブランド(TECNO)と製品名(Camon CX)と3ヵ月保証が書かれたシンプルなもので、中には添付品として、専用ケース、USB変換アダプター、USBケーブル、イヤフォン、説明書、保証書がついている。
説明書と保証書は英語に加え、エチオピアで使われているアムハラ語の2ヵ国語で、電話のかけ方やSMSの送り方など初心者向けの情報を中心に書かれている。
筆者が中国でスマートフォンを購入し、開封して取り出す感覚と同じ感覚をこのアフリカ向け製品でも感じた。違和感がないのである。
本体を取り出すと、本体の表面、裏面両方に製品の各箇所の説明が書かれた保護シールがある。
裏面ではメイドインエチオピアの文字が……。伝音のサイトを見ると、エチオピア工場の写真があるので本当にそうなのだ。アフリカ産のスマホなのだ。
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