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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第24回

旧盤のハイレゾ化で新たな発見も

麻倉推薦:アナログ時代の優秀録音が現代の技術で蘇る点に驚き

2018年05月13日 10時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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『ショスタコーヴィチ:交響曲 第 8番』
エリアフ・インバル、東京都交響楽団

 インバルと都響の相性がたいへんよろしいことは、名盤との誉れが高いマーラー全集でも実証されているが、本ショスタコビッチも素晴らしい。音はひじょうにクリヤーで、高解像度だ。響きは多いのだが、楽音がきちんと立つ。サントリーホールでのライブだが、同ホールらしい美麗なソノリティと、細部までのきりりと引き締まったディテール再現が両立している。なによりインバルの声の歌いが、まるで楽曲の一部であるかのように聴けるのが、高解像度の証拠(?)。低弦の弾みと、高弦の表情が心に染みいる。

FLAC:192kHz/24bit、WAV:192kHz/24bit
FLAC:96kHz/24bit、WAV:96kHz/24bit
DSF:2.8MHz/1bit
EXTON、e-onkyo music

『ラフマニノフ:楽興の時、前奏曲』
ラザール・ベルマン

 かつてのアナログ名録音のハイレゾ復刻だ。当時一世を風靡したロシアの濃厚なピアニズムの粋が、現代技術で蘇ったのは、たいへん嬉しいことだ。楽興の時第六番ハ長調。剛毅な和音が連続し、その中を縫って太っとい旋律が続く。音の重なりが演出する、音の壁のような重厚さと、それを構成する一音一音のクリヤーな隈取り感がベルマンの極意。ベルマンの音の秘密をハイレゾは高解像度にて、解き明かしてくれる。アナログでは、相当良い装置でないと伝えきれなかった音楽的なメッセージがハイレゾで正しく聴けるのが、改めて嬉しいことだ。特に「コレルリの主題による変奏曲」の峻厳さと濃密さが、好きだ。

FLAC:192kHz/24bit
Deutche Grammophon、e-onkyo music

『わたしが一番きれいだったとき:When I was young and so beautiful』
三枝伸太郎、小田朋美

 萩原朔太郎、茨木のり子、谷川俊太郎らの詞に三枝伸太郎が作曲し、小田朋美が歌うオリジナル作品集。ヴォーカルとピアノのデュオ。RMEのデジタルマイクを核とするハイレゾ録音機材を使う、MIC沢口録音による定評のある高音質シリーズの最新版。三枝のピアノが珠玉の美しい響きを奏し、小田のソプラノが、感情たっぷりに歌う。どちらもセンターに定位しているが、響きの量はピアノはたいそう多いのだが、ヴォーカルはむしろ明瞭度が確保されてる。後半に関口将史のチェロが加わると、より音楽的な表情が豊かになる。録音は圧倒的なクリヤーさ、透明度が高く、音の造型感が豊かだ。CDでもリリースされているが、それは話題のMQACDだ。

FLAC:192kHz/24bit、WAV:192kHz/24bit
5.0ch WAV 192kHz/24bit、5.0ch FLAC 192kHz/24bit
5.0ch Dolby HD 192kHz/24bit
MQA Studio 192kHz/24bit
RME Premium Recordings、e-onkyo music

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