対応機器のハードルはやや高めだが、ディスプレーの設定は簡単
空気感までリアル! デル23.8型ディスプレーとApple TV 4KでHDRを堪能
2018年05月10日 19時00分更新
超狭額縁デザインを採用し、コンパクトな本体サイズを実現したデルの23.8型ディスプレー「S2419HM」。前回はその外観や基本性能を紹介したが、今回は目玉機能の一つであるHDRへの対応度合いをチェックしていく。
パソコン用ディスプレーとしてはトップクラスの輝度
S2419HMは、HDRコンテンツへの対応が大きな特徴になっている。HDRとは「High Dynamic Range」の略で、従来より幅広い範囲の明るさを表現できる技術(従来の表示技術は、SDR=Standard Dynamic Rangeと呼んで区別されている)だ。
規格上、SDR映像は最大輝度が100nit(1nit=1cd/m2、1cdはローソク1本程度の明るさ)であるのに対し、HDR映像はその100倍の10000nitとなっている。人間が肉眼で感知できる明るさが20000nitといわれているので、HDR映像ではそれに近い表現が可能になる。
HDRによって表現できる明るさの範囲が広がると、従来は白飛びしていたハイライトや黒つぶれしていた暗部の階調が犠牲にならず、肉眼で見た場合に近い自然な見え方になる。とくに明暗差の激しいシーンでは効果的だ。
もっとも、HDR対応をうたうテレビは、ミドルレンジモデルで最大輝度が500nit程度、ハイエンドモデルでも1000nitを少し超える程度。そのため、HDRコンテンツも1000nit以上を目安に制作されており、規格上の上限である10000nitを目一杯使うものはほとんどないのが現状だ。とはいえ、それでも従来のSDRに比べれば表現できる明るさの範囲は数倍になっている。
ちなみにS2419HMの最大輝度は600nitで、パソコン用ディスプレーとしてはトップクラスの明るさを実現している。
HDRコンテンツ表示のハードルはやや高め
S2419HMでHDRコンテンツを表示するには、パソコン側もHDRに対応している必要がある。具体的にはWindows 10 Redstone 2以降で、ビデオカードがHDRに対応しており、HDR対応のグラフィックスドライバーやプレーヤーがインストールされていなければならない。また、HDMI 2.0aに対応した端子とケーブルも必要だ(なおケーブルは本製品に同梱されているものでOK)。
NVIDIAやAMDの最近の単体GPUを搭載したマシンなら対応している可能性が高いが、インテルの統合グラフィックスの場合は、デルのシステム要件によると「Cannon Lakeまたはそれ以降」となっている。現状ではCannon Lakeを搭載したパソコンはまだ登場していないため、統合グラフィックス搭載パソコンでは本製品でHDRで表示できない可能性が高い。
パソコン以外だと、4K Ultra HD Blu-rayに対応したBDプレーヤーや、Play Station 4 Pro、XBox One Sといったハイエンドゲーム機が該当する。いずれにしろ、HDR表示のハードルは少々高めだ。
動画配信サービスのHDRコンテンツが見られればいいというなら、Apple TV 4KやChromecast Ultra、Fire TV(4K対応モデル)などのセットトップボックス(STB)を導入する手もある。設定も簡単で、1万円を切る価格のものもあるので、手軽にHDRを楽しみたいならこれらのSTBを検討してみるのもいいだろう。
HDRコンテンツを楽しむためのディスプレー設定
HDR表示に対応できる環境が整ったら、ディスプレーのOSDで設定する必要がある。手順は簡単で、「デスクトップ」「ムービーHDR」「ゲームHDR」のいずれかを選択すればOK。パソコンでの使用がメインなら「デスクトップ」、映画やドラマなら「ムービーHDR」という具合に利用シーンに合わせて選べばいい。
ちなみに「Smart HDR」がオフのときのHDMIのバージョンは1.4が適用されているが、「Smart HDR」が選択されるとバージョン2.0に自動的に切り替わるようになっている。その際、入力解像度も4K(3840×2160ドット)までサポートされる(あくまでも入力解像度で、画面表示時にフルHDにダウンコンバートされる)。4Kコンテンツは解像度以外にもHDRや広色域などの高画質化技術が採用されているが、本製品ではそういった技術の恩恵をそのまま受けながらコンテンツを楽しめる。
そのため、同じフルHDのディスプレーで4Kコンテンツを表示しても、一般的なSDRのディスプレーと本製品とでは画質が大きく違って見える。まるで薄いベールが取れたかのようにくっきり鮮やかで、その場の空気や雰囲気まで感じとれるくらいだ。一般的なディスプレーでは真っ黒につぶれてしまう逆光部分のディテールがうっすら見えたり、のっぺりとした白い雲がモコモコした立体的な雲に見えたりと、HDR対応のメリットも大きく感じられる。
現状ではHDR対応の優位性を感じる場面が限られるのが少々残念だが、動画配信サービスなどでもHDRコンテンツは徐々に増えてきており、今後急速に普及していくと考えられる。そうしたコンテンツを手軽に楽しむのにS2419HMはぴったり。より美しい映像でコンテンツを楽しみたい人には、ぜひ注目してほしい製品だ。
試用機の主なスペック | |
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製品名 | S2419HM |
ディスプレーサイズ | 23.8型 |
表示解像度 | 1920×1080ドット |
視野角 | 垂直178度、水平178度 |
輝度 | 600cd/m2 |
ダイナミックコントラスト比 | 800万:1 |
コントラスト比 | 1000:1 |
入力端子 | HDMI 2.0×1 |
インタフェース | 音声ライン出力×1 |
サイズ/重量 | およそ幅537.5×奥行157.6×411.6mm(スタンドを含む)/約4.0kg(スタンドとケーブル含む) |
付属品 | 電源ケーブル、HDMIケーブルほか |