水蒸気が漏れる前提で調理を
何回か作っていくうちに不安な点にも気づいた。前回も気にした本体のガタツキだ。メーカーサイトでは、
「ステンレスダッチオーブンは、本体とフタの間に多少のガタツキがあります。 これは、本体とフタの熱による伸縮に違いがあり、スムーズな開閉を保つために 設けています。12インチは他サイズに比べ、ガタツキはややおおきくなります。 ただし、本体とフタの間に「すき間」がでるような場合は当社へお問合せください」
とある。見た目上は特に問題なかったが、いくつかの口コミで見たように煮込み料理でフタをして加熱していると、どうしても水蒸気が漏れる。ほかの製品と比較していないので密閉性が弱いのかどうかわからないし、できた料理の味にどれくらい影響があるかも判断はつかない。でも、火加減と水加減には注意が必要。
試しにコールマンのサイトに載っている豚肉のビール煮をレシピどおり作ったところ、肉を焦がしてしまった。レシピには60分煮込むとあったが、調理中も水蒸気が漏れていたST-912は時間をもう少し短縮する、あるいは水を途中で足す、という工夫がいる。
ちなみに焦がしてしまったものの、肉自体は箸でほぐれるほど柔らかく仕上がっていた。味もしっかりしみ込んでいたので、まあいいかで済ませた。
無水カレーも問題なく作れる
水蒸気が漏れるのであれば、ほかの煮込み料理でも影響が出るのではないか。調べてみるために、そして単に食べたかったためにキャンプの定番、カレー作りに挑戦してみた。
作るのは野菜の水分を利用した無水カレー。レシピはCAMP HACKに載っていたレシピを参考に、適当なアレンジを加えて一部分量を変更した。
材料
鶏もも肉400g
トマト4個
玉ねぎ2個
にんにく4かけ
しょうが 3分の1個
カレールー 適量
サラダ油 適量
作り方
1.トマトは大き目にカット、玉ねぎはスライス、にんにくとしょうがはすりおろす。鶏肉は一口大に切る。
2.ダッチオーブンにサラダ油、にんにく、しょうがを入れ弱火で焦げないように炒める。
3.にんにくの香りがしてきたら、玉ねぎをしんなりするまで炒める。
4.鶏肉を投入。表面に色が付いたら、トマトを入れる。
5.トマトをつぶすように混ぜ、水分が溜まってきたらカレールーを入れる。ルーはお玉に入れて、少しずつ溶かすように入れていく。
6.フタをして40分ほど煮込めば完成。
40分ほど煮込んだところ、鍋底が少し焦げ付いていた。ただ、これはカレールーを入れてから火にかけた影響もあると思う。水蒸気は漏れていたものの、水分が飛んでしまうほど焦げてはいなかったので、無水カレーは問題なく作れる。
肝心の味は、大量に入ったトマトが下地になっていて、カレーのスパイスの味とともに酸味と甘みが感じられた。トロトロになった玉ねぎも甘く、鶏肉はほろほろと崩れるほど柔らかい。野菜の甘みが溶けた分、辛みは若干抑控えめ。好みに合わせてルーを変えて辛くするか、甘みを楽しむか調整するといいだろう。水で煮込むカレーとは味がまったく違うので、ダッチオーブンを手にしたらつくってみてほしい料理だ。
家でもキャンプでも使い勝手が良い
最後に、使った後の鍋について。焦げた鍋底はこびり付くことなく、きれいに落とせた。ただ、いきなり洗うと焦げが落ちないかもと不安になったので、重曹を使用。鍋に水と重曹を入れて沸騰させてから10分ほど弱火でじっくり煮込み、一晩放置してスポンジで焦げた部分を中心にこするときれいに汚れが落ちた。
一晩ほっておけばいいのだから、お手入れは簡単。洗ったあとも自然乾燥でいい。日常生活よりもずっと不便なキャンプでも、とても助かるはず。
いくつか料理を作ってみて、いずれも主観的な判断だがどれも満足いく味だった。密閉性に若干の難はあるかもしれないが、ダッチオーブンとは道具であり、肝心なのはそれでどんな美味しいものを作って食べるかだ。その意味では十分な役割を果たしていて、鍋としての完成度が高いのがうれしかった。
あとは自分がどれだけ料理に活用できるか、また本来の用途であるキャンプ場使用で楽しめるか。はやく野外投入したい。