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見知らぬ人に「飾らない自分」を見せられますか?
「雑談は見知らぬ人に『飾らない自分』を見せること」 ライブ配信ならではの難しさと魅力
2018年04月24日 17時00分更新
いま、個人のライブ配信は「ゲーム実況」ジャンルの配信が人気で、鉄板のコンテンツとなっているというお話を、前回の記事で紹介をしました。
そのゲーム実況に次いで人気(多い)のジャンルは「雑談」です。どのライブ配信サービスをみても、「ゲーム実況」と「雑談」の2つジャンルが圧倒的な割合を占めています。ただ「雑談」と一言で言っても、具体的にどの配信が「雑談」ジャンルなのかを明確に分けるのが難しいほど、さまざまな内容のものがあります。
例えば、お絵描きやハンドメイドをしながらライブ配信するときにも「雑談」をしながらその作業を進める人もいます。さらに言えば、料理をしながら「雑談」を交えたライブ配信をする人もいますし、第5回記事で紹介したように勉強や宿題をしながらライブ配信をする「雑談」も。
何を基準に「この配信は雑談ジャンルのライブ」であるかを分類するのはとても難しいのですが、この記事における「雑談」は、
・スマートフォンやカメラを自分(配信者)のすぐ目の前に置き
・自撮り(セルフィー)、もしくは、音声のみのラジオ配信で
・特にテーマを定めず、気楽に会話することがメイン
としたものを、「雑談」のライブ配信であると前置きをしたうえで、話を進めていきます。
画面の向こうの人との距離感が縮まる「雑談」の魅力
テレビや雑誌でよく見かける著名なタレントさんやモデルさんがソーシャルメディアのアカウントをもつことが多くなりました。特に「Instagram」を利用する著名人が増えてきているように感じます。
普段、テレビや雑誌だけでしか見ることがない人の姿をInstagramを通じて、毎日のように投稿されるその人ならではの写真やメッセージを見ているだけでもより身近に、さらには親近感が感じられる楽しいものです。最近では「Instagram Live Stories」という機能を使ったライブ配信をする人も多くなりました。
テレビのように決まったストーリー(台本など)で展開されるものとは異なり、よりリアルなその人自身や新たな一面を垣間見ることができます。なによりも、ライブ配信ならではのチャット機能によって、その画面の向こうの人に対して、直接メッセージを送ることができます。場合によっては、そのメッセージに対するお返事が返ってくることも魅力のひとつ。
著名の人がライブ配信をし、特にテーマを定めず、気楽に会話している姿も、広い意味では「雑談」ジャンルのライブ配信と言えるでしょう。特に画面の向こうの人が著名であれば著名であるほど、何気ない雑談で展開されるライブ配信の楽しさを感じることができるはずです。
確かに、著名であればあるほどタレントさんやモデルさんのライブ配信には多くの人が一斉に集まり、人気もあります。その一方で、見てくれる人は少なくても、私たちのような個人が放課後に学校の教室で少人数の友だち同士で集まって「雑談」をするライブ配信の形も同じです。
特に、「ツイキャス」や「LINE LIVE」といったライブ配信サービスでは、若い世代の人たちの「雑談」ジャンルのライブ配信を見かけることができます。
私たちのような個人が話す「雑談」は著名な人の「雑談」と比べ、誰もが楽しめるような「雑談」を聞くことはできないかもしれません。ただ、放課後に学校の教室にいる友だちに話しかけるような感覚で、たまたま見かけた画面の向こうの人にチャット機能を通じて気楽に声をかけてみるのも楽しいのです。
「画面の向こうの人」になりたいときに注意したいこと
こうした「雑談」のライブ配信を覗いているうちに、自分もライブ配信をして「画面の向こうの人」になりたいと感じる人もいるかもしれません。
いざ、実際に「ライブ」のボタンを押して配信をすると、「何を話したら良いのかわからない」とか「コメントをしてくれた人に対してどう返事をしたらいいのかわからない」などの戸惑いを感じます。テーマを定めず気楽に会話する「雑談」は実際にやってみると意外に難しいのです。
著名人がやっているようなライブ配信のように、いきなり流暢にお話をしたりすることはできませんが、「等身大の自分」であることが大切です。普段、学校で友だちとお話するときと同じように、飾った自分を演じ続けると自分が疲れてしまいます。
配信中に話しかけられた相手から、自分にとって都合の悪いこと(聞かれては困ること)に対しては、適当に嘘(=事実ではないこと)を答えてしまうと、結果、飾った自分を演じ続けなければなりません。事実ではないことをその場限りで答えるのではなく、「その質問には答えられないの、ごめんね」と正直に応じるのも、ひとつの方法。
ライブ配信における「雑談」の魅力は、先に挙げた「画面の向こうの人との距離感が縮まる」と同時に、見てくれている人はきっと画面の向こうにいる人(=自分)の何気ない「雑談」をしたくて声をかける(チャット機能を通じてメッセージを送る)はずです。
その一方で、放課後に学校の教室で友だちと話をするときと違い、ライブ配信では視聴者には自分の姿や声がわかりますが、自分は視聴者の姿や声はわかりません。唯一わかるのは、チャット機能で送られたメッセージだけしか相手の人となりを感じることができません。
第2回記事で「必ずネットで知り合った友だちとの一定の距離感を保ち続けること」というお話をしましたが、画面の向こうの人との距離感が縮まる「雑談」のライブ配信でも同じ。
スマートフォン一台で手軽にライブ配信ができ、ライブ配信で気軽にさまざまな人とコミュニケーションができる「雑談」は誰もが楽しめる人気のコンテンツです。しかし、「画面の向こうの人」になるとき(なりたいとき)、ぜひ「飾らない自分」であることを心がけてほしいのと同時に、その“飾らない”コミュニケーションがライブ配信における「雑談」の最大の魅力であると思うのです。
ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda)
ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com
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