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女性の労働を支援する「Empowered Woman JAPAN 2018」開催

「マルチステージの人生」に向けた女性の働き方改革とは

2018年04月23日 12時00分更新

文● 阿久津良和 編集 ● 羽野/TECH.ASCII.jp

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個人にも企業にも価値のあるテレワークの仕組みとは

 次の講演では、ファシリテーターを務めた中村氏が、経済産業省 大臣官房参事官 兼 産業人材政策室長 伊藤禎則氏と、育て上げネット 理事長 工藤啓氏に、さまざまな角度からテレワークの実現可能性や課題について話を聞いた。

 伊藤氏は、「2015年から働き方改革の旗を振ってきたが、いつも違和感をもっていた」と述べ、働き方改革とは、長時間労働の是正ではなく多様な選択肢が本質だと指摘した。現在、労働者の需要や価値観が多様化しているなか、企業や法律などの仕組みが追いついていない。だが、「政府は正面から本気で働き方改革に向き合っている。鍵となるのはテクノロジーだ。地方の労働構造は企業誘致から始まっていたが今は違う」(伊藤氏)と、テレワークの浸透によって働き方改革がよい方向に進みつつあることを強調した。

 総務省は、働き方の多様化に仕組みレベルで対応していくための取り組みとして、「テレワークセキュリティガイドライン(第4版)」への意見募集を2018年2月から実施する。「これまで(同ガイドラインはテレワークを)自宅で行うと定義していた。だが、現実は異なり、働くという概念が変わり始めている」(伊藤氏)。

 「働き方改革は、個人と企業の利益相反行為が衝突することが問題。大事なのは自身が何を大切にしたいのかを示すWill(意思)だ。そこにCan(できること)を交えることで、Mast(使命感)=労働の喜びにつながる」(伊藤氏)。

 また、政府は「人生100年時代構想会議」を2017年9月から開催し、一生涯の教育と就労を交互に行うことを推奨するリカレント教育や、教育の負担軽減・無償化などを俎上(そじょう)にのせてきた。この“大人の学び”について経済産業省は「社会人基礎力」と定義し、「昭和の(結婚から引退までをテンプレート化した)すごろくの時代は終わった。『前に踏み出す力』『考え抜く力』『チームで働く力』を身に付けなければならない」(伊藤氏)。

左から経済産業省 大臣官房参事官兼産業人材政策室長 伊藤禎則氏、育て上げネット 理事長 工藤啓氏、そしてファシリテーターを務めた中村寛子氏

 工藤氏は、育て上げネットの活動を通じて、生活支援と就職支援の中間に位置する「就労支援」に注力し、「『働く』ための支援と『働き続ける』ための支援」に務めてきた。

 環境変化やライフステージによって需要は異なり、「余暇や自分の楽しみをテクノロジーと組み合わせて、企業に就職する『働く』との両立を提案。自身も実験を重ねている」(工藤氏)という。「働く=雇用に最適化されると、セルフコントロールが難しい。他方、(個人や企業の役割が変化する時代を迎えた現状に)対応できない企業は敬遠される時代を迎える。この溝をテクノロジーで埋めたい(工藤氏)。

 就職については、テレワークの浸透によって企業説明会からインターンシップまでオンラインで完結する時代になりつつあると工藤氏。「地方の若者は東京の企業にインターン可能になり、企業も地方学生を対象にした人材発掘につながる」(工藤氏)と双方のメリットを語った。

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