業務を変えるkintoneユーザー事例 第19回
kintone hive sendaiレポート 前編
社労士がkintoneで作った「見える顧客」アプリとは
2018年03月28日 11時00分更新
2018年3月15日、仙台で初となる「kintone hive」が開催された。「kintone hive」はサイボウズが主催しているkintoneのユーザーイベントで、毎年全国各地で行なわれている。今年は、福岡、仙台、名古屋、大阪、東京の5ヵ所で開催され、それぞれの会場でAWARDを獲得した企業が秋開催の「Cybozu Days 2018」にファイナリストとして参加することになる。
まずはkintoneプロダクトマネージャー伊佐政隆氏から開会の挨拶があり、kintoneとkintone hive、そしていくつかの事例が紹介された。
基調講演として、「kintone AWARD 2017」でグランプリを獲得した株式会社京屋染物店代表取締役の蜂谷悠介氏から事例紹介が行なわれた。創業100年を迎える染物屋を消滅可能性都市に指定されている岩手県一関市で経営している企業だ。先が見えない状況から、kintoneを入れることで一変するストーリーは感動もの。プレゼンの内容は「優勝は岩手の京屋染物店!今年もkintone AWARDが熱かった」を一読してほしい。
3回作り直したkintoneアプリで顧客や時間を見える化
最初の事例発表は、辻野社会保険労務士事務所所長の辻野扶美氏。辻野氏は夫の海外赴任にともない海外で5年間過ごした経験がある。
「女性解放運動の先進国で、日本とはまったく制度が異なるところでした。周りの人も、人生はバカンスのためにあるという感覚です。そこで今までの私は何だったんだろうと馬鹿らしくなりました」(辻野氏)
帰国後、辻野氏は仕事を探したが、2人の子持ちだが正社員で、平日だけ働き、17時には帰りたいと考えていたそう。当然のようにそのような求人はなかったので、「自分で職場を作ろう」と奮起する。そして社労士の資格を取り、開業。しかし、大量の業務に忙殺され、毎朝2時に起きて仕事をし、6時に帰って家事をしてまた会社に戻り、夕方まで働いて走って保育所に行き、子供の面倒をみるという生活をしていたそう。
そこで、辻野氏は時間を買うつもりでITを徹底活用することになった。グループウェアや会計システムなど30種類以上ものITシステムを利用するなか、kintoneを使い始める。ITコンサルタントのスマイルアップ合資会社からアドバイスを受け、半年にわたって、徹底的に話し合ったそう。kintoneアプリを3回も作り直すことになったが、そのおかげで顧客や時間などを見える化できた。
「たとえば、お客様に対応する時には代表者様をなんて呼ぶかが大事なんです。「みえる顧客」アプリでは呼び方をはじめ、2代目なのか強いリーダーシップがあるのか、親孝行なのか、といった情報も記録します。最適な訪問時間や、車を止める場所などもわかるようにして、その情報を皆で共有しました。日報の入力も効率化しています。別のアプリで処理や案件の入力をしていれば、ワンクリックで日報アプリに引っ張ってきています」(辻野氏)
次回は、kintone hive sendaiの後編として、2つの事例紹介と、ショートセッションの「kintone hack」、そしてAWARDを取得した企業を紹介する。
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