サイバーセキュリティ小説コンテストはとても重要
「BEATLESS」の原作者である長谷敏司氏が登壇したセッションは、アナログハックや近未来について、「BEATLESS」とのタイアップを通して考えていくディスカッションだった。
アニメを見て感動する気持ちといった、形や物で心が動く仕組みをSFとして書けないかを考えて「BEATLESS」を生み出したという長谷氏。ソーシャルエンジニアリングに近いアナログハックという概念を生み出した同氏は「個人を狙う攻撃が増えている」と最近のサイバーセキュリティついて指摘。
「人間がクリックという動作を行なったとき、機械は正常なやり取りなのか、だまされた結果なのかを判断できません。セキュリティホールとしていちばん弱いのは人間です」と解説した。
文月氏は「知っていることは防御になる」とし、「『BEATLESS』のような作品を見ると未来のサイバー攻撃が見えてきます。危ないとはどういうことかを知ることが大切」と言うと、長谷氏は「最近SFが求められている」と返し、「産業においては未来もわからず投資していることが多い。新しい技術が生まれたとき、どんな社会的影響や、社会的弱者が生まれるかがわからないのに、現実を動かしている人は社会を見ずに世界を変えています。だから、SFを作って対策を考えておくことは重要で、そういう要求が増えています」と語った。
さらに「だからこそ、サイバーセキュリティ小説コンテストはとても重要」と、このイベントでも紹介されたコンテストの重要性を説いた。
「我々が想像しないものがやってくる」という文月氏は、「コンテストではそういうものを生み出していってほしいです。我々の想像を超えてほしい。それが社会そのものを作っていきます。危険なことも事前に知っておくとトラブルも減っていく」とアピール。田村氏は「映像化された作品によって、そこに登場するものを作りたいという人のモチベーションになるような映像作品を作っていきたいです」と今後について語った。
また、このステージでは「人型AIが人であることを宣言した場合」や「魂の抜けた死体は人なのか」、「器は違うがデータが同じならそれは人なのか」といった深いテーマについてもディスカッション。持論を展開する長谷氏に対し、加藤氏がその考え方を自分の授業などで使ってもいいかと感心するシーンも見られた。