平井時代の「ソニーらしさ」とは何だったのか
2012年4月12日の経営方針説明において、平井社長は、「ソニーを変える。ソニーは変わる」と宣言した。
それから、5年以上経過し、過去最高利益を達成するソニーは、まさに、この宣言通りに生まれ変わった。
だが、ソニーの復活感に対して、強い印象が持てないのも事実だ。
それは、かつてのソニーのように、ソニーブランドを力強く牽引する事業が見当たらないからともいえる。
業績の観点からいえば、プレイステーション4がその代表格となるだろうが、スマホなどにも広がるゲーム市場において、圧倒的なプレゼンスを誇っているわけではない。
だが、ソニーらしいといえる商品が増えているのは確かである。今後の課題は、それらを、ソニーブランドを力強く牽引する製品へと育て上げられるかどうかだ。それが、株式市場からの評価にもつながり、テクノロジーカンパニーを標榜するソニーにとって、課題となっている時価総額の引き上げにもつながるだろう。
今後、力強くソニーブランドを牽引する製品やサービスを生み出せるか──。そう考えると、自他ともに認めるカメラマニアで、モノ好きである平井社長兼CEOにこそ、次の3年間まで、舵取りをしてもらいたかった。