中国を中心に世界で普及が進んでいる、QRコードやバーコードを用いたモバイル決済。ドコモ「d払い」や楽天ペイなど、ここに来て国内でも次々と開始&注目が集まっている。その中でもOrigamiの「Origami Pay」は2016年からサービスを提供。ロフトや無印良品、日本交通を始め、ローソンも対応を予定しているなど、いち早く広がっている。そのOrigamiがメディア向けに、同社の状況や今後の狙いについて説明した。
さらに新しい決済手段が必要なのは
ネット時代に最適化されたサービスが求められているから
あらためてOrigami Payについて概要を説明すると、決済時にショップ側がQRコードを用意(専用のスタンド、POSのディスプレー、タブレットなどを想定)。一方、ユーザーはあらかじめスマホに専用アプリをインストールし、クレジットカードなど決済手段を登録しておく。実際の利用時はアプリでQRコードを読み取ることで決済が完了する。同社はすでにALIPAYとの提携も発表しており、店舗はOrigami Payと同時にALIPAYに対応することも可能である。
一方で、同社代表取締役社長の康井義貴氏は、こうしたモバイル決済への疑問として、クレジットカードやおサイフケータイなど、すでに多様なキャッシュレスの決済手段が用意されている日本において、さらに新しい決済方法が加わって意味があるのかという意見を紹介した。
この意見に対しては、従来のクレジットカードはあくまでインターネット時代以前からあるアナログ型であり、ネット時代に対応した新しい決済手段が求められているとする。具体的には小売業界でよく用いられる「オムニチャンネル」という言葉を用いて説明する。
ECでは実際に製品を購入した消費者に対して、その後もさまざまな手段によってアプローチを取れるのに対し、小売店はその手段は限られる。たとえばメールアドレスを集めてメルマガを配信したとしても、実際にメールを開いてくれるのは9~10%、さらにリンクをクリックしてくれるのは20~30%。つまり1000人に送っても20~30人程度。これをCRM(Customer Relationship Management)と呼んでいるのが現実だとする。
これに対してOrigami Payでは、一度決済を利用してくれた消費者に対し、アプリ上での情報提供やクーポンなどを通じて、店舗が繋がりを深めることが可能である。現代ではこうした付加的な機能を持つ決済システムが求められており、それがないことには小売店がECサイトに対して、不利になる一方だろうとする。
また、同社ではOrigami Payをオープンプラットフォームとして成長させていくことも進めている。すでに大垣共立銀行との間ではOrigami Payで決済した金額を銀行口座から直接引き落とせるサービスを開始しているほか、自社のスマホアプリに決済サービスを搭載したい企業に対し、Origami Payの機能を一体化させる取り組み(すでにクレディセゾンとの提携でセゾンカード/UCカード会員用アプリに搭載)などが行なわれている。
金融庁と経産省は昨年、国内のキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げることを目標に各種施策を進めることを公表しているが、同社でも2018年をキャッシュレス元年と位置付け、日本の小売店がお客さんとの繋がりを維持することでECサイトに負けないよう、キャッシュレス決済を広げていきたいと意気込みが語られた。