ツイッターやフェイスブック、インスタグラムなどのSNS。炎上が起きるたびに「〇〇発見器」なんて揶揄されますが、ちょっとこのところの炎上傾向が違ってきた…と、感じているのは筆者だけではないはずです。
そこで、今回は2018年版の炎上の傾向と対策について、5つのケースを例に考えてみたいと思います。
【炎上ケース その1】ホテル支配人がYouTuberに激怒(続報あり)
少し珍しい「CtoB マーケッティング炎上」ケース。経緯は以下の通りです。
アイルランドのラグジュアリーなホテルにYouTuberが「宣伝するからタダで泊めて」ってメールしたことが発端です。メールには「YouTubeに87000人の登録者がいて、インスタグラムでは…」とあり、ほかにも「恋人と泊まる」こと、「バレンタインを含む5泊」などと、要求が書かれていたそう。
そのメールの要求にあきれたホテルの支配人はフェイスブックに「私の2つのフェイスブックに186000人のフォロワーがいますし、ツイッターは12万人のフォロワーがいます。みんなと同じようにお金を払って泊まってください」などのコメントとともに公開しました。
支配人のフェイスブック投稿では、メールの個人情報は隠していたのですが、22歳の女性のYouTuberである事が判明。彼女のYouTubeアカウントは炎上して弁明の動画をアップすることになりました。
こうしたSNSを使ったPRのビジネスモデルは珍しくないように思えます。しかし、このケースではYouTuberが「ハイシーズンに恋人と5泊」というムチャぶりや、「YouTubeで収益をもらってるはず」という矛盾が、ホテルを含め、人々の怒りを買ったのでしょう。
対策:フォロワー数が多いからといって、自分が偉いとか、有名人だと思ったりしない。
(続報)後日、ホテルが「この出来事が4億5000万人がアクセスできる20カ国で114件のニュースになったので、YouTuberへ宣伝費530万ユーロ(約7億円)の請求書を送るね」と請求書の写真とともにフェイスブックへ投稿。おそらくジョークだと思いますが…。
【炎上ケース その2】日本で大量逮捕?!違法自作アイテム紹介
これは自作の火炎放射器を動画に投稿した日本でのケース。自作といっても、灯油を燃料に巨大な炎が2メートルも吹き出す危険なモノ。
最近では、警察がこうした違法行為を検挙するキッカケとして「SNSで話題になり、閲覧者が通報」「動画が違法行為の証拠なる」ケースが目立ってきました。
SNSがなかった頃でも危ない道具を作る人がいたかもしれませんが、動画投稿によって閲覧回数が増え、さらに過激さがエスカレート。そんな傾向が目立ちます。
対策:「ウケる、ウケない」を投稿の最優先にしない
【炎上ケース その3】大雪対応に上から目線発言
いままでも、災害や大事件についてのSNSへの投稿は炎上しやすさがありました。大雪で交通が麻痺した東京での働き方へのブログやツイートが炎上しました。炎上しているのは「大雪なんだから会社休め」「天気予報でわかっていたはず」なんて、上から目線な発言内容が目立ちます。
また発言者がフリーランスか、地方都市在住かによっても炎上がまちまちですが、ポイントは「人それぞれ、いろいろな立場や考えがある」を投稿者が忘れがちなこと。
電力や水道、交通網、病院など、不可欠なインフラにかかわる人もいえれば、そうした仕事を支える飲食や流通などの人々がいます。さらにそれを支える…、そんなことを想像しつつ、投稿は慎重に。
対策「自分は頭が良くて、他人は愚か」という意識や発言はNG
【炎上ケース その4】人気YouTuberが樹海遺体の動画を投稿
1500万人が登録する人気ユーチューバーが青木ヶ原樹海で遺体を撮影した動画を投稿。24時間で600万回再生されました。
米国のYouTube社が遺族への哀悼とともに「暴力的なコンテンツを扇情的に、敬意に欠ける方法で投稿することをポリシーで禁じています」と声明を出すなど、世界中のマスメディアなどでも大きく報道されました。
批判を受け、投稿者は「(再生回数のためではなく)自殺防止の認知を高めようとした」と謝罪動画を投稿しましたが、その弁明によってさらに炎上。今もアカウント停止の署名運動に発展しています。
対策:炎上の謝罪や弁明ではごまかそうとしない。
【炎上ケース その5】自作自演の質問を公式アカウントが暴露
ツイッターのタイムラインに匿名で質問やメッセージが送れるアプリが登場。2018年初頭に運営会社は1400万質問(回答数1000万件、運営発表)を超えたことを発表しましたが、そのツイート中に「なお、自作自演の質問が30万件ありました」とコメント。そのことで、公式アカウントが炎上しました。
第三者からは興味深い現象ですが、そのアプリを利用しているユーザーにしてみれば「自分への質問」を自作自演していることを疑われることに怒っているわけです。
企業でなくても、誰かに聞いた話を本人に無断でSNSに投稿するのは禁物。
対策:他人の秘密を勝手にSNSで明かさない
前田知洋(まえだ ともひろ)
東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。
著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。
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