台風などによる豪雨災害をさらにきめ細かく予測し警告可能に
理研研究チーム、スパコン京とひまわり8号で「10分ごとに更新される気象予測」を開発
2018年01月19日 18時30分更新
理化学研究所(理研)計算科学研究機構データ同化研究チームは1月18日、スーパーコンピューター「京」や気象衛星「ひまわり8号」の観測データを用い、10分ごとに更新する気象予測手法を開発したと発表した。
2015年より運用が開始されたひまわり8号による10分ごとの観測データを用い、予測シミュレーションにリアルタイムデータを追加して精度を高める「データ同化」と呼ばれる計算手法を用いたもの。ひまわり8号は従来のひまわり7号よりも分解能が高く、データ量にしておよそ50倍という詳細な観測を行なう。詳細な予測シミュレーションのデータ同化では膨大な演算力を必要とするが、理研ではスーパーコンピューターの京を用いることで2015年における台風13号降雨でおよそ9分、鬼怒川水害時の流量予測ではおよそ5分で予測計算を終え、10分以内での予測が可能とした。
現在、気象庁の全球モデル(解像度約20km)は6時間ごと、メソモデル(5kmメッシュ)は3時間ごと、局地モデル(2kmメッシュ)は1時間ごとに予測を更新している。新手法による10分ごとの予測更新を行なうことで豪雨や洪水のリスクをいちはやく捉えることが期待される。今後、10分ごとの予測を有効に活用するための防災体制など、技術的・社会的課題を解決し、将来の天気予報に役立てるとしている。