JAWS FESTAで友岡賢二CIOがぼっちに熱いエール!
武闘派CIOが「コミュニティに参加する理由」を経営理論からひもとく
2017年11月27日 09時00分更新
スモールワールド化とストラクチャーホール理論
次のトピックは広いように見えて、実は狭いというスモールワールド現象。まったく見ず知らず人に手紙を渡すのに、どれだけ人を介すればよいかを調べたアメリカのミルグラムの有名な実験で、平均すると6人が間に入れば本人に届くという結果が出ている。ここでも弱いつながりが効いてくる。「ミュンヘンにいる友達に手紙を渡そうとしたら、1度しか名刺交換してなくても、ドイツに住んでいたことのある友岡に渡すと思うんですよ。遠くにメッセージを飛ばそうとすると、弱いつながりがすごく重要になる」と友岡さんは指摘する。
SNSの普及でこのスモールワールド化はさらに進行している。前述した入山氏によると、Facebookでの実験ではミルグラムで6人だった隔たりは、すでに4.7人にまで縮まっているという。これは日常的にSNSを使っているユーザーであれば、誰しも実感できるところだろう。
次にブリッジに似たような理論として友岡さんが次に紹介したのは、ストラクチャーホール理論だ。ストラクチャーホールはいわゆるクラスター(集合)の結束点になるブローカーのこと。このストラクチャーホールが多いと儲かるという仕組みになっており、商売で言うと問屋や商社、コンサルティングファームなどがこの構造を利用しているという。「メーカーと小売りが直接話せば問題ないけど、問屋が間に入ることで、ビジネスを成立している」(友岡さん)。
個人で考えると、ストラクチャーホールが多い人は昇進も早く、イノベーションも多く起こせる。ここまで紹介した友岡さんは、「JAWS-UGの活動は会社で自分一人だけというぼっちの方に朗報です。あなたは会社とJAWS-UGとのつながりを持つブリッジで、弱いつながりもストラクチャーホールを持つ人です。ぼっちのみなさん、おめでとうございます!」とぼっち参加者に熱いエールを送る。
同質化と同一性の落とし穴から逃れるためのコミュニティ
続いて友岡さんは「同質性」というテーマを取り上げる。同質性(Isomorphism)とは、同じ集団に長く属すると考え方が似てくる現象で、ここから生まれるのは制度の常識(Institutional Logic)と呼ばれるものだ。そして、同質化が起こると、コーポレートガバナンスのような「強制的圧力」、「皆がやっているから」という「模倣的圧力」、前例を重視する「規範的圧力」の3つのプレッシャーを受けることになるという。「常識は同質化が生み出す幻想であると説明される。この常識に対しては、『従う』『無視する』『破壊する』の3つの向き合い方がある。自分の中でこのうちのどれで対処するかは考えてみたら、悩むことは少なくなる」と友岡さん。
同質性とは別に「同一性(Homophily)」という概念もある。これは似たもの同士が集まるという研究結果でから生まれたもので、多様性の反対の概念になる。そして、日本人は特にこの同質性が強く、多様性が低いという。実例として出したのは、前日入りして小島さん、友岡さん、長谷川さんの写真。「小太りのおっさんたちがみんなでラーメン屋に突撃してる。見事なホモフィリーの例。多様性に富んでない事例です」という説明で会場は笑いに包まれる。
実際、会社の中にずっといると同一性が進み、マンネリ化が進行する。「ですから、コミュニティに飛び込まなければならない。ぼっちで来ている人は同一性に染まらずに、自分を維持している人です。素晴らしい」(友岡さん)。
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