予選はコースレコードを更新!
そしてポールポジション!
開幕戦で優勝を飾り、幸先にいいスタートを切った2017年。GOODSMILE RACING & TeamUKYOは、1戦を除き確実にポイントを取り、2位表彰台2回を経て、ポイントリーダーとして最終戦ツインリンクもてぎに挑むことになった。
2位以下に9ポイント差と、端から見ると楽勝そうな最終戦だが、フタを開けてみるとチームにとって非常に苦しい戦いが待っていた。最終戦の時点でチャンピオンの権利が残っていたのは、ミクAMG以外に2位51号車(JMS P.MU LMcorsa RC F GT3)、3位65号車(LEON CVSTOS AMG)、4位55号車(ARTA BMW M6 GT3)と続く。タイヤはミクAMG以外はブリヂストンという、まさに四面楚歌状態。雨を得意とするブリヂストンだけに、「雨が降ったらマズイ」とチーム関係者は話していた。
天気予報は予選日の降水確率が50%と出ていたものの、なんとサーキットの周辺だけが晴れたのだった。これにより練習走行では片岡選手が「1'47.139」のトップタイムをマークする。そして予選1回目を担当した谷口選手も「1'46.825」と練習走行を上回るタイムを出し、ここもトップで通過。
予選2回目は片岡選手にステアリングが託された。路面温度が低いため、ゆっくりとタイヤを温めていく。アタックラップに入る前に55号車が「1'46.300」でトップに立つ。片岡選手も負けじと猛アタック。すべてのセクターでベストを記録し「1'46.076」でなんと今季2回目のポールポジションを獲得したのだった。さらにコースレコードを更新し、自身のGTキャリアでも初ポールと、予選日はパーフェクトゲームで終了した。
予選でポールポジションをとったおかげで、チームに1ポイントが加算され、9ポイント差は10ポイント差へと広がった。さらに優位にレースを進めることができる。この大一番で、先頭からスタートできるというのは非常に大きなアドバンテージだ。
3年ぶり3回目の戴冠
ミクAMGが頂点に上り詰めた!
明けて決勝日。この日も快晴。路面温度がやや低いものの、チームにとってみれば悪くない。チャンピオンの権利が残っているチームはもちろん、すでにチャンピオンの権利を喪失しているチームも今年最後のレースを勝って終わらせるべく牙を剥いて襲いかかってくる。
決勝レース直前のウォームアップ走行で、いきなり赤旗中断があったが、レースは遅れることなくオンタイムでスタートした。
スタートドライバーは片岡選手が担当。今年最後のレースがローリングスタートで幕を開けた。ライバルたちのペースが心配されたが、先頭の強味を活かしてじりじりと後続を引き離していく片岡選手。このままポールトゥウィンで勝ちたいところだったが、そう甘くはなかった。
タイヤのライフもあり、2位以下に4.3秒差をつけて15周目に早めのピットイン。タイヤは4本交換し、給油とドライバー交代を済ませて、今度は谷口選手がコースに出撃。だが、ほぼ同じタイミングでピットに入り、タイヤ2本交換で出た33号車(D'station Porsche)が襲いかかる。タイヤをすべて交換し、まだ温まりきってないミクAMGは33号車の先行を許してしまった。
19周目、実質トップを走っていた33号車はトラブル発生のため緊急ピットインで戦線離脱。ここから25号車、65号車、ミクAMGのトップ争いが始まった。1年を通じてこの2台と争うことが多く、まさにライバルと言える。
しかし、伏兵はほかにもいた。55号車がタイヤ無交換でこの3台の前に出たのである。65号車は早々に25号車を抜いて55号車の猛追を開始。ミクAMGは25号車をなかなか抜けずにいたのだが、このスキをついて9号車(GULF NAC PORSCHE 911)が背後に迫る。
25号車、ミクAMG、9号車の三つ巴状態がしばらく続くが、25号車のタイヤが厳しくなってきたのか、ややオーバーランしたところを突いてインから抜き去った。これで3位表彰台圏内だが2位には10秒以上の差がついており、残り周回数も少なかったこともあって、堅実な走りで3位をキープしたままチェッカーを受けた。
優勝は65号車だったが、獲得ポイントの差でGOODSMILE RACING & TeamUKYOがチャンピオンに輝いた。谷口選手も片岡選手もチャンピオンは3回目、チームとしても2011年、2014年に続く、3回目のシリーズチャンピオンということになる。今年は初音ミクGTプロジェクト参戦10シーズン、初音ミク10周年、Mercedes-AMG 50周年、横浜ゴム100周年というメモリアルイヤーだったが、最高の形でそのすべてに華を添える形になった。
2015~2016年は厳しいシーズンだったが、それでも諦めずに応援してくれたファンの力もあっただろう。もちろん今年も最後まで勝敗がわからない戦いだったが、ファンと共に走るレーシングチーム「GOODSMILE RACING & TeamUKYO」の2017年は、チームとファンが一丸となって栄光を掴み取ったシーズンだった。
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